みなさま、こんばんは!
機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第33回となる今回は、
『ベゼルについて』
こちらをテーマにお話ししていきます。
「ベゼル(Bezel)」の意味・役割をご存知でしょうか。
多くの種類が存在するベゼル、実はそれぞれに意味を持っています。一見何の変哲もないベゼルも存在意義があるのです。
これから購入する、あるいは既に所有している時計についたベゼルの意味を知れば、その一本をより愛することができるでしょう。
ということで今回は、腕時計のベゼルの意味や多彩な種類を解説していきたいと思います。
ベゼルとは
腕時計の風防(ガラス)周りのリング状のパーツを指す"ベゼル(bezel)"。
元来"枠"や"額縁"の意味を持ち、パソコンやスマートフォンなどの液晶ディスプレイの外枠部分のことを指しますが、時計においては腕時計のフェイス部分にあたる文字盤外周の部位、表面的には風防の外側を囲んでいるパーツのことを指します。
本来の役割としては風防を固定するためのパーツでしたが、腕時計の多機能化やデザインの進化に伴い、ベゼルの役割も年々変化してきており、計測機能を備えた目盛りや、ダイヤモンドなどの宝石をあしらったものなど、様々なベゼルが登場しています。
ではここで、ベゼルにどのような種類があるのか見ていきましょう。
ベゼルのデザイン
今回はドレス系の腕時計に使用されることが多いベゼルに絞ってご紹介したいと思います。
1.スムース(ポリッシュド)ベゼル
鏡面仕上げで、フラットな形状のものを指すこちらのベゼルは、通称"ポリッシュド(Polished)ベゼル"と呼ばれることもございます。
こちらが用いられた代表的なモデルと言えば、やはりロレックスのデイトジャスト。シンプルなデザインのため、オンオフ、年齢問わず使えるスタンダードなベゼルです。
ダイバーズウォッチやクロノグラフでもスッキリとした外観を保つため、あえて外装はスムースベゼルにして、機能面ではインナーベゼルを採用するブランドも少なくありません。
2.フルーテッドベゼル
ベゼルが等間隔でギザギザに加工された縦溝彫りのベゼルを指すこちらは、光の角度によって明暗が異なるため、手首を傾けるたびにキラキラと輝くのが特徴です。ロレックスの金無垢、コンビモデルに装備されており、ホワイトゴールド(18KWG)、イエローゴールド(18KYG)、ピンクゴールド(18KPG)素材があります。近年、素材的に加工が難しいとされてきたプラチナ(PT)製も登場しましたね。
ロレックスのデイトジャスト(コンビモデル)、デイデイト、スカイドゥエラーが代表的なモデルで、画像のような、フルーテッドベゼルとジュビリーブレスの組み合わせを「フルジュビ」と略す方もいらっしゃいますね。
3.バークベゼル
"樹皮"という意味を持つこちらの"バークベゼル"は、切込みが不規則な様が、まるで樹木の皮のようであることから、その名が付きました。
1990年代前半より前に製造されていたデイデイトやデイトジャストに見られるベゼル装飾で、味のある独特の雰囲気が特徴ですね。現行モデルには存在しないディテールで、特にヴィンテージ好きの方に人気のデザインという印象です。
4.クル・ド・パリベゼル
鋲打ち模様のように繊細な掘り込みが入っているこちらのベゼルは、パテックフィリップ カラトラバの歴史的モデルなどでよく見られるベゼルでもあり、時計愛好家にはたまらないベゼルでもあるのではないでしょうか。
キレイな掘り込みを入れるには高い技術力が必要なこともあり、歴史のある高級ブランド以外で採用される例は少ないですが、上品さが漂よいますね。
しかしながら、ぶつけて凹み傷を作ってしまったときに、仕上げ直しを行うことが難しいとされており、そういったところも含めて、薄型のドレスウォッチに採用されることが多いのかもしれません。お取り扱いには十分に気を付けましょう。
まとめ
今回は数あるベゼルの中から、ドレスウォッチに多く見られるデザインの一部をご紹介させていただきました。次回以降、スポーツモデルに使用されるベゼル等もご紹介して参りますので、ぜひ本記事をきっかけに、一度ベゼルに着眼点を置いて時計を見てみてはいかがでしょうか。
本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも湧いたようであれば幸いでございます!また、ご不明点は直接ご質問いただければしっかりとお答えさせていただきますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。
次回もお楽しみに!ではまた!