機械式時計を選ぶ際、皆さんはどこに注目されるでしょうか。
多くの方は"デザイン性"や"機能性"、"資産性"とお答えになると思います。もちろん見た目やリセールというのは非常に重要なポイントになりますが、ここにブランドやモデルの歴史的背景、年代毎のマイナーチェンジなど、知識や理解が増えることで、さらに時計が好きになり、選ぶ楽しみを味わえるのではないでしょうか。 本コラムでは、初心者、上級者を問わず、機械式時計に関する知識を一つでも多くお伝えし、皆さまの時計選びの参考となるよう徹底解剖、徹底解説してまいります。
今回は【ロレックス】『サブマリーナー』「Ref.16803、16613」にフォーカスを当ててお話ししていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
モデルの概要
1983年頃に登場した「Ref.16803」は、『サブマリーナー』初となる ステンレススチール×18Kイエローゴールドのコンビネーションモデル。それまでツール色の強かった『サブマリーナー』にラグジュアリー感を加えた、まさに転換点となったモデルと言えるでしょう。製造期間は短く、1988年頃までの数年間に限られるため流通数が多くない点もこのモデルの特徴です。
基本スペック
製造年:1983〜1988年頃
ケース:40mm
素材:ステンレススチール × 18KYG
ベゼル:逆回転防止ベゼル
防水性能:300m
風防:サファイアクリスタル
ブレスレット:ハードブレス
ムーブメント:Cal.3035
ダイヤル
◯フジツボインデックス仕様
◯後期型インデックス仕様
初期型は「フジツボ(ニップル)インデックス」を採用。ゴールドの立体的なインデックスにトリチウム夜光を配しており、独特の存在感を放ちます。後期型はステンレスモデルと同様に夜光面積が大きいインデックスへ移行し、より実用性を意識したデザインとなりました。ダイヤルカラーはブラックとブルーの2種。ブルーダイヤルにはトロピカル変化が見られる個体も存在します。
トロピカル変化の画像
夜光
◯T SWISS T仕様
◯SWISS-T<25仕様
「Re.16803」は、すべてトリチウム夜光が採用されているだけでなく、経年でクリーム色や濃い焼けを帯びた個体が比較的多いのも特徴で、ヴィンテージ感を強く感じられる要素となっています。
ベゼル
逆回転防止式アルミインサートを搭載。ブラックとブルーの2色展開で、経年変化によってブルーが退色した個体はコレクター人気が高くなっています。
ムーブメント
「Cal.3035」を搭載。【ロレックス】初のクイックチェンジデイトを備え、毎秒8振動(28,800振動)のハイビート仕様。わずか数年で生産終了したため、短命キャリバーとしても知られています。
モデルの概要
1988年に登場した「Ref.16613」は、「Ref.16803」の後継機として約20年間にわたり製造されたロングセラーモデル。搭載ムーブメント「Cal.3135」は【ロレックス】を代表する名機で、安定性・精度ともに抜群。ブラック・ブルーの2色展開に加え、ダイヤやサファイアを散りばめたシャンパン・グレーダイヤルも人気を博しました。
基本スペック
製造年:1988〜2009年頃
ケース:40mm
素材:ステンレススチール × 18KYG
ベゼル:逆回転防止ベゼル
防水性能:300m
風防:サファイアクリスタル
ブレスレット:ハードブレス
ムーブメント:Cal.3135
ダイヤル
◯ SWISS-T<25仕様(トリチウム)
◯SWISS仕様(ルミノバ)
◯SWISS MADE仕様(ルミノバ)
◯16613SG(グレー・サファイア)
◯16613SG(シャンパン・サファイア)
◯16613(ヴァイオレット)
前モデル同様にブラックとブルーがラインアップされており、経年によりダイヤルカラーがブルーからヴァイオレットへと変化した個体(Ref.16803、Ref.16808、Ref.16618にも存在)は非常に人気を博しています。また、「Ref.16613」からジェムセットダイヤルも登場し、『サブマリーナー』にラグジュアリーウォッチとしての選択肢が増えました。夜光は1998年頃を境にトリチウムからルミノバへと移行し、製造年によって仕様が異なる点もコレクション性を高めています。
ベゼル
ブラック/ブルーのアルミインサート。ブルーベゼル、ブラックベゼルともに褪色した個体が人気となっています。
ムーブメント
「Cal.3135」を搭載。耐久性・精度・メンテナンス性に優れ、ロレックスの代表的な自動巻きムーブメントです。
まとめ
「Ref.16803」は『サブマリーナー』初のコンビモデル として短命ながらも歴史的価値が高く、独自のヴィンテージ感が楽しめる一本。
一方、「Ref.16613」は完成度の高い第3世代コンビサブとして20年にわたり愛され、とりわけ「青サブ」を象徴的存在へと押し上げました。
どちらも実用ダイバーズにラグジュアリーを融合させた『サブマリーナー』の進化を語るうえで欠かせないモデルです。
それではまた次のモデル解説でお会いしましょう!
ではまた!!