みなさま、こんばんは!
機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第17回となる今回は、
『革ベルトの正しい取り扱い方法』
こちらをテーマにお話ししていきます。
暑い暑い夏がようやく過ぎ去り、過ごしやすい季節になってきました。つまりは、革ベルト仕様の腕時計が活躍する時期が到来したということですね!
でも、誤った保管方法や手入れを怠ると徐々に劣化し、革の魅力は失われてしまいます。
ということで今回は、"革ベルトを長持ちさせる方法"をまとめました。ぜひ最後までご覧ください!
革ベルトを長持ちさせる方法
①乾拭き
革ベルトが劣化する最大の原因は"汗・湿気"といった水分。特に汗は塩分を含んでおり、相性は最悪です。また、革には微細な繊維が絡んでいて、その隙間に汚れが侵入すると取り除くことが難しくなり、劣化に繋がります。
その日のうちに落としてあげることが非常に重要となりますので、”乾拭き”を毎日のお手入れとして習慣化しましょう。また、季節問わず革ベルト内側の汗は特に丁寧に拭きとるようにしましょう。
そして、乾拭きする時は柔らかいクロスのような布で、軽く「なでる」ように付着した汗や皮脂を拭き取りましょう。強くこすりすぎると汚れを奥に押し込んでしまう可能性がありますので、十分に注意です。また、先の柔らかい乾いた歯ブラシなどで汚れをかき出してあげることも有効です。
それでも落ちない場合には、レザー用クリーナーを使用して落とすようにしましょう。
②ゆとりを持った装着
時計の扱いになれていない方に多く見受けられるのが、革ベルトをきつく締めてしまうこと。革はとても繊細な素材であり、強く引っ張るなど、無理な力を加えると劣化してしまいます。
そこで、革ベルトと腕の間に指一本が入る程度のゆとりを目安に、締めるようにしましょう。
③折り曲げない
革ベルトをきつく締めようとするあまり、尾錠が強く食い込むほど引っ張ってから遊革へ差し込み、その際に折り曲げてしまう方が非常に多い印象です。
この行動は、革に皺が入って劣化やひび割れの原因にも繋がりますので、十分に注意です。
革ベルトと尾錠が直接触れないようにやさしく装着すること、そして無理にひっぱらずに、つく棒を小穴に通すことを意識してみましょう。
④Dバックルを使う
着脱による革の負担を軽減するため、尾錠を通す必要がないDバックルを使うこともオススメです。革を痛めずに着脱することが可能でありますし、ゆるく締めても時計が移動しづらく、腕と革ベルトの隙間を作ることで汗を逃がすことも可能です。
⑤同じ革ベルトを使い続けない
スーツや靴は同じものを毎日使うと寿命が縮まるとされていますが、それは革ベルトにも言えることで、毎日使うことは負担に繋がります。
休ませつつ使うことにより、劣化は緩やかになりますので、できる限り複数の時計や、革ベルトをローテーションして使用することを心掛けてください。
保管時の注意点
①保管場所
基本的に"日光の当たらない風通しのよい場所"での保管が適しています。丸めたままや、折れたままで保管をしてしまうと、クセがついてしまい、劣化に繋がります。そのため革ベルトを保管する時はなるべく伸ばした状態で保管するようにしましょう。
ただし、丸めた状態で時計ケースなどに保管する必要がある場合は、乾拭きをした後に汗や湿気を完全に乾いてから収納することをオススメします。
②しばらく使用しないときの保管方法
使っていなかった革ベルトを久しぶりに使おうとしたら「ベルトが劣化していた...」なんてことはありませんか?そんなことにならないためにも、革ベルトをしばらく使用しないときは以下の点に気を付けて保管してください。
■時計からベルトを外して2、3日乾燥させる。
■布や紙といった"湿気"を吸収してくれる素材の袋の中に入れ、不安な場合は防虫、防カビ剤も一緒に入れる。
■保存期間が長くなると、カビが生えてしまうことがあるため、時々袋から取り出し、乾いた布で磨く。
このように、ちょっとした手間を掛けることで、劣化を抑えた状態で再度使用することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は革ベルトにフォーカスを当ててお話ししましたが、使用後のお手入れを怠らず、清潔に保つことはブレスレットやラバーベルトにも共通して重要なポイントとなります。ぜひ意識してみてください!
そして、徐々に涼しくなってきたこれからの時期は、クラシカルな革ベルトに付け替えて、腕時計ライフをより楽しんでみてはいかがでしょうか?
本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも沸いたようであれば幸いでございます!また、ご不明点は直接ご質問いただければしっかりとお答えさせていただきますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。
次回もお楽しみに!ではまた!