Dr.伊藤の機械式時計徹底解剖！！ Vol.26～価値が下がりにくい高級時計とは？～｜高級腕時計の販売・買取ならコミット銀座

みなさま、こんばんは！

機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第26回となる今回は、

『価値が下がりにくい高級時計とは？』

こちらをテーマにお話ししていきます。

高級腕時計の多くは機械式時計であり、単なる実用品ではなく工芸品またはアート的な価値を持ち合わせています。

そして、この「永く色あせない価値」こそが人気高級腕時計である条件なのです。

長く愛される時計ブランドとして重要なのは「工芸品、アートとしての価値」と「時計としてのクオリティー」の両立です。どちらかが欠けてしまったら、何十年後も価値の下がらない時計にはなりません。

とはいえ、10年後に時計業界がどのように変化しているか予想することは難しいです。

クォーツ時計の開発で時計業界のあり方が大きく変わったクォーツショック、あるいはそれを超えると言われる、現在のスマートウォッチの脅威・・・いつどんなことが起こるか、予測をつけることすら難しい状況です。

ただ、こう言った変化の中でも揺るぎない価値を保ち続けるであろう人気時計は確かに存在しており、その傾向を知ることで「価値が今後も下がらない高級時計」を取り上げることは可能です。

価値が下がらない高級時計の条件

永く価値を保てる時計はトータルクオリティーが高い必要があります。

まず第一に機能面。耐久性・防水性が高いといった使い勝手の良さや、時計としての高い精度を持ち合わせていることは非常に重要です。

次に欠かせないのは芸術性。

ケースや文字盤の美しさはもちろん、装飾や素材への拘りに至るまで、高級腕時計としてのクオリティーが高くなければ評価は下がっていくでしょう。

実用性も芸術性も両立してこそ、真の「価値が下がらない高級時計」と言えるのではないでしょうか。

例えばポルシェ911。どれだけ時間が経っても評価され続けるモノには、変わらずに造り続けてきた歴史とステータス性があります。

それがブランド力となります。

一般的にはルイヴィトンといわれればモノグラム柄のカバンや財布が浮かび、ポルシェといわれれば特徴的な形状のスポーツカーが浮かぶでしょう。この”名前を多くの人が認知している”ということに加え、代表的な商品やモデルが浮かぶことこそブランド力なのです。

腕時計でいうと、ブランド名を聞いて多くの方が特定のモデル・さらにはデザインが思い浮かぶのであればブランド力があるといえます。

パテック・フィリップと言えば「カラトラバ」「ノーチラス」

ロレックスと言えば「デイトナ」「サブマリーナー」

オーデマピゲと言えば「ロイヤルオーク」

そしてこのブランド力はステータス性と歴史から生まれます。現在100年以上続いている老舗ブランドは、今後も高い価値を持ち続ける可能性が高いと言えるでしょう。

ブランド力を生むためには伝説や歴史的エピソードに恵まれていることも重要です。

「泳いでドーバー海峡を渡った」「世界最古の時計ブランドである」「貴族や王に愛された」など、超一流時計メーカーは必ずといっていいほど、このようなエピソードを持ち、それを広告戦略にうまく組み込んでブランド価値を高めています。

伝説や歴史的エピソードを生みだすほどのブランド哲学を持っているブランドは、今後も末永く評価される可能性が高いと考えられます。

新品時計の製造や販売ばかりに力を入れ、メンテナンス体制を疎かにしてしまう腕時計ブランドは、一時的な人気を獲得できる可能性はありますが、長期的に考えると未来はありません。

機械式時計はメンテナンスを継続的に受けていくことで数十年という長期にわたって使うことができます。”古いモデルは修理できない・異常に修理費が高い”など、せっかく買った時計のメンテナンス体制が不十分だった場合、時計愛好家はそのブランド自体に不信感を抱くでしょう。

結果的に長く愛用される人気時計ブランドとして君臨するためには、充実したメンテナンス体制が必須になるのです。

このメンテナンス体制は、近年非常に注目度を浴びています。使い捨てではなく、良いものをしっかりと手入れしながら、長期使用するという概念が根付いてきたことから、各メーカーにとっても消費者にとっても「末永く愛用していくための体制」はますます重要度が高まっています。

そういった意味では、使い捨ての素材で作られていない「高級機械式時計」は、10年後はもちろん世紀を超えて価値を持つにふさわしい逸品と言えます。

高級腕時計は中古品の人気が高いため、製造終了モデルが高い人気を集めることができるブランドは圧倒的に有利です。ましてやヴィンテージと呼ばれるような古い時計にも高い価値が付けられているブランドはなおさらです。

これまでお読みいただいた方はお分かりかと思いますが、上記①②③の条件を満たした時計こそが、ヴィンテージ市場でも人気を博していることは間違いありません。

ヴィンテージモデルが人気となるブランドは、それだけ歴史が評価されておりメンテナンスが充実している証拠とも言えます。おそらく、現在発売されている時計も50～100年後同じようにヴィンテージウォッチとして評価されるのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。

高級腕時計としての美しさや実用性、加えてブランドがもつ歴史とステータス性。腕時計ブランドとして、末永く評価され続ける為にはいくつかの条件があります。

そして、その条件を兼ね備えた腕時計ブランドは今後数十年、さらには100年後も今と変わらない価値を持ち続ける可能性を秘めています。

本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも湧いたようであれば幸いでございます！また、ご不明点は直接ご質問いただければしっかりとお答えさせていただきますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。

次回もお楽しみに！ではまた！