2024年10月に公開され話題の『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。本作の主役、アメコミ界の最凶ヴィラン「ジョーカー」は、1940年にバットマン最強の敵としてコミックに登場したものの、1950~70年代には暴力表現規制の影響で、イタズラ好きのお茶目な泥棒キャラに成り下がっていました。
そんなジョーカーを「サイコパスの最凶犯罪者」として復活させたのが、ティム・バートン監督の『バットマン』(1989)。
この作品を見た映画ファンが最も驚いたのは、アカデミー賞ノミネート歴13回、受賞歴3回を誇る名優中の名優、ジャック・ニコルソンが白塗りメイクで嬉々としてジョーカーを演じていたことでした。「製作費の半分がニコルソンのギャラ」と噂された本作ですが、彼の怪演により映画は大ヒットを記録。公開から10日間で興収1億ドルを超えた、史上初の作品となりました。
映画やテレビなどで活躍する俳優の腕時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第194弾の今回は、そんなジャック・ニコルソンの愛用時計をご紹介して参ります。
カルティエ
タンク【Ref.-】
1984年の第56回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚色賞、主演女優賞、助演男優賞の堂々5部門で栄冠に輝く名作『愛と追憶の日々』。夫に先立たれた母と娘の絆を描いたこの作品に登場する、シャーリー・マクレーン演じる母親が心を惹かれていく、ワイルドな元宇宙飛行士ギャレット。彼を演じたジャック・ニコルソンは、主演男優賞を獲得した『カッコーの巣の上で』(1975)以来、二度目のオスカー受賞となりました。
授賞式ではオスカー像を握りしめ、笑顔で喜びを表現したジャック・ニコルソン。その時にタキシードの袖口からチラリと覗いていた腕時計は、カルティエ タンク(Ref.不明)でした。エレガントなタンクウォッチが、フォーマルな装いに華を添えています。
タイメックス
イージーリーダー デイデイト【Ref.T20461】
NBAの観戦に頻繁に足を運ぶ、大のバスケットボール好きとして知られるジャック・ニコルソン。愛するレイカーズの応援にコートを訪れた彼が着用していた腕時計は、タイメックス イージーリーダー デイデイト(Ref.T20461)でした。日本の家電量販店でも1万円前後で購入できるこちらの腕時計。オスカーを何度も獲得した名優が身に着けるには庶民的すぎる気もします。
しかし実は、ジャック・ニコルソンはこの腕時計の色違い(金色)も所有しており、そちらを着用した写真も、何度もパパラッチされております。余程この腕時計がお気に入りなのでしょう。価格でもステイタスでもなく、純粋にこの腕時計を愛して使い続けるジャック・ニコルソン。ある意味、時計愛好家の鑑と言えそうです。
ウォルサム
プレミア【Ref.-】
浮気調査をしていた私立探偵が、いつの間にか大きな陰謀に巻き込まれていくサスペンス映画『チャイナタウン』(1974)。本作で主役の探偵役を演じ、ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞を獲得したジャック・ニコルソンが劇中で着用していた腕時計は、ウォルサム プレミア(Ref.-)と思われる腕時計。劇中写真と時計の参考写真は文字盤のデザインが少し異なりますが、ケースやブレスレットは酷似している為、同じ時計のバリエーション違いかもしれません。
『チャイナタウン』は1930年代のロサンゼルスを舞台とするフィルム・ノワール。1925年頃から始まった「アールデコ様式」のデザインが世界中を席巻していた時代の物語だけに、直線の美を感じさせるこの腕時計は、映画の舞台設定にピッタリの一本に思えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
カルティエ、タイメックス、ウォルサムと、気に入った腕時計ならどんなブランドでも、高くても安くても構わないというポリシーの感じられるラインアップとなりました。
前述の通り、バスケットボール好きで、熱狂的なレイカーズファンとしても知られるジャック・ニコルソン。コミット銀座のバスケ番長である接客スタッフの古小路は、この写真を見て「このオッサン、レイカーズの試合の最前席にいつもいますよね。誰なんスか?」と言っておりました。ジャック・ニコルソンだよ。
彼が「ジョーカー」を演じた後、その役を引き継いだ「ジョーカー俳優」は、ヒース・レジャー、ジャレット・レト、ホアキン・フェニックスの3人。実はこの3人、全員がオスカー受賞歴のある名優ばかり。まるで、彼の「名優としてのDNA」が、ジョーカー役を介してハリウッドに広がっているかのようです。
2010年頃に引退宣言を行ったジャック・ニコルソン。今後、彼の新たな演技を見ることは難しいと思われますが、彼のDNAを受け継いだ俳優たちが、しっかりとその替わりを務めてくれるでしょう。
ではまた!