本記事は、時事ニュースを高級腕時計と絡めた記事となります。記事の内容における画像、記事内容はAIをベースに1次作成したものを編集者にてリライトしております。
2025年香港オークションに見る、高級腕時計の「今」と「頂点」
突然ですが、皆様は「腕時計一本に数億円の値がつく瞬間」を目の当たりにしたことはありますでしょうか?
日常で使う実用品としての時計とは一線を画す、まさに美術品としての側面。その熱狂の最前線にあるのが世界的時計オークション。
先日開催されたフィリップスの「The Hong Kong Watch Auction: XXI (HK080425)」の結果が発表されました。
トップロットに輝いた価格は、なんと日本円にして数億円規模。数字だけを見ると「別世界の話だ」と感じられるかもしれませんが、実はここには、今後の時計市場全体のトレンドを読み解く重要なヒントが隠されています。
今回は、このオークションで高額落札された上位モデルを紐解きながら、なぜそれらが評価されたのか、そして今コレクターたちが何に熱視線を送っているのかを、初心者の方にも分かりやすく解説していきたいと思います。

*AIによるイメージ画像です。
圧倒的な王者、パテックフィリップの「複雑機構」
まず、今回のランキングを見て一目瞭然なのが、Patek Philippe(パテックフィリップ)の圧倒的な強さです。なんと、売上の上位11本のうち9本をパテックフィリップが占めるという結果になりました。
中でも1位に輝いたのは、Ref. 5002P-001「スカイムーン・トゥールビヨン」。落札価格は脅威のHK$14,970,000(開催日のレート換算で約3億円)でした。
【初心者の方へ】なぜこれほど高いのか?
「時間が分かるだけの機械になぜ?」と思われるかもしれません。この時計はいわば、手首の上に載るプラネタリウムであり、オーケストラです。
12個もの特殊機能(複雑機構)を搭載し、裏面には夜空の星座が動く「天空図」まで備えています。部品数は686個。これを職人が手作業で組み立てるのですから、もはや工業製品ではなく芸術作品なのです。
【コレクター視点】プラチナケースの希少性
Ref. 5002自体が2001年から2012年までの製造と限られていますが、この「プラチナケース」モデルの重厚感と輝きは別格です。
加えて、第4位のRef. 5531R(ワールドタイム・ミニットリピーター)や、第5位のRef. 5208P(トリプル・コンプリケーション)など、パテックの技術の粋を集めたグランドコンプリケーションが上位を独占しました。これらが市場に出ること自体がニュースであり、価格が跳ね上がるのも納得の結果と言えるでしょう。

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「資産」として受け継がれる伝説の系譜
パテックフィリップを語る上で外せないのが、「永久カレンダー搭載クロノグラフ」の系譜です。今回のオークションでは、この歴代モデルが勢揃いし、いずれも高額で落札されました。
- Ref. 1518 (Lot 936): 初代モデル。HK$6,350,000で落札。
- Ref. 2499/100 (Lot 1014): 第4世代の「MK I」。HK$8,890,000で落札。
- Ref. 3971 (Lot 998): 幻の第2シリーズ。HK$10,130,000で落札。
- Ref. 3970ER (Lot 929): 近代の傑作。HK$6,096,000で落札。
特に注目すべきは、Ref. 3971の第2シリーズが1000万香港ドル(約2億円規模)を超えた点です。兄弟機であるRef. 3970に比べ生産数が極端に少なく、コレクターの間で「幻」とされていたモデル。
また、Ref. 2499/100も、状態の良さが評価され高値を記録しました。「魔法のような発見」とカタログで評されるほどのコンディションは、ヴィンテージウォッチにおいて何よりも代えがたい価値となります。
歴史的な名作が、時を超えて正当に、あるいはそれ以上に評価され続ける。この事実こそが、高級時計が「身につける資産」と呼ばれる所以です。

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「物語」が価値を決定づける瞬間
今回、注目のロットのひとつであった、Ref. 2597/1 "The Australian Pink Travel Time" (Lot 993)。
落札価格はHK$6,604,000。しかし、この時計の真価はその「来歴(プロバイナンス)」にあります。
「1976年に盗難に遭ったオーナーのために、名門宝飾店ギュブランが特別にパテックに手配した、世界で唯一のピンクゴールド製ダブルネーム個体」
まるで映画のようなエピソードではありませんか?
約45年ぶりに公の場に姿を現したこの時計は、単なる工業製品としての価値を超え、その時計が歩んできた「歴史」そのものに値がつけられました。
時計選びにおいて、スペックやデザインも大切ですが、こうした「誰が、どんな想いで持っていたか」というストーリーもまた、私たちを惹きつけてやまない魅力の一つです。
大手ブランドに並ぶ「独立時計師」の偉業
パテックフィリップが席巻するランキングの中で、気を吐いたのが「独立時計師」たちの作品です。
組織に属さず、個人の哲学を貫いて時計を作る彼らの作品は、今やアートとして世界中で争奪戦になっています。
- Philippe Dufour (Simplicity): HK$6,223,000
- F.P. Journe (Répétition Souveraine): HK$6,223,000
「シンプリシティ」の名が示す通り、極めてシンプルな3針時計にこれほどの価格がつく。これは、フィリップ・デュフォー氏の「究極の手仕上げ」に対する敬意に他なりません。
大手メゾンだけでなく、個人の天才たちの作品がトップランクに食い込む現状は、時計界の多様性と成熟を示しているのかもしれません。

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今回のTOP11 落札結果一覧
| Lot | ブランド / モデル | 落札価格 (HKD) | 日本円換算 (約) |
|---|---|---|---|
| 828 | Patek Philippe Ref. 5002P Sky Moon Tourbillon | 14,970,000 | 299,400,000円 |
| 998 | Patek Philippe Ref. 3971, Second Series | 10,130,000 | 202,600,000円 |
| 1014 | Patek Philippe Ref. 2499/100 “MK I” | 8,890,000 | 177,800,000円 |
| 1123 | Patek Philippe Ref. 5531R World Time MR | 8,318,500 | 166,370,000円 |
| 963 | Patek Philippe Ref. 5208P-001 | 7,620,000 | 152,400,000円 |
| 993 | Patek Philippe Ref. 2597/1 Australian Pink | 6,604,000 | 132,080,000円 |
| 936 | Patek Philippe Ref. 1518 | 6,350,000 | 127,000,000円 |
| 953 | F.P. Journe Répétition Souveraine | 6,223,000 | 124,460,000円 |
| 981 | Philippe Dufour Simplicity | 6,223,000 | 124,460,000円 |
| 901 | Patek Philippe Ref. 5016P-010 | 6,096,000 | 121,920,000円 |
| 929 | Patek Philippe Ref. 3970ER-028 | 6,096,000 | 121,920,000円 |
※1HKD = 20.0円で計算(2025年11月23日時点の概算レート)
今後の市場展望:何が「価値」となるのか
今回のオークション結果から見えるのは、市場の「成熟」です。
単に人気モデルだから高くなるというフェーズを超え、「圧倒的なコンディション」「確かな来歴(プロバイナンス)」「希少な複雑機構」という、時計本来の価値がシビアに見極められています。
パテックフィリップのヴィンテージやグランドコンプリケーションは、今後も「ブルーチップ(優良資産)」として堅調に推移するでしょう。
一方で、独立時計師の作品も、その芸術性がより広く認知され、資産価値としての地位を盤石なものにしつつあります。
これから時計を購入される皆様にとって、こうした「本質的な価値」に目を向けることは、素晴らしいコレクションを築くための第一歩になるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
億越えの世界は遠い存在のように思えますが、そこで評価されている「美しさ」や「物語」への情熱は、私たちが普段愛用している時計にも通じるものがあります。
コミット銀座では、こうした世界的なトレンドを注視しつつ、お客様にとって本当に価値のある一本をご提案できるよう努めております。
「自分の時計の価値を知りたい」「資産性の高い時計を探している」など、どのようなご相談でも構いません。ぜひお気軽に店舗まで足をお運びください。
皆様と時計談義ができる日を、心より楽しみにしております。





