第49回 高級腕時計トレンド2025｜ロレックス新工場と生産体制の未来

2020年代に入ってからも「ロレックスが正規店で買えない」という話をよく耳にします。そんな中で、 スイス・グリュイエール地方ブュルに建設されるロレックスの新工場計画は、時計ファンにとって非常に大きなニュースです。

この記事では、ロレックスの新工場プロジェクトの概要から、スイス時計産業全体の数字、そして新品・中古市場への影響までを、 腕時計初心者の方とコレクターの方、それぞれの視点で分かりやすく整理していきます。

*引用：ロレックス

ロレックスが新工場を建てる理由とは？

「正規店を何軒回ってもデイトナに出会えない」「サブマリーナーの入荷連絡を何年も待っている」。そんな経験談をSNSをはじめ、そういった情報を見る機会が多くあります。当店コミット銀座でも、お客様から「ロレックスはなぜこんなに手に入りにくいのか」という相談を日常的にいただきます。

その背景には、世界中での時計需要の高まり、一方でロレックス自身の生産能力の限界があります。また、世界中で高級時計が求められている現状もあります。

そこでロレックスが動きました。スイス・フリブール州グリュイエール地区ブュルに、環境性能と生産能力を兼ね備えた巨大な新工場を建設する計画を進めているのです。

初心者の方へ：なぜ「工場ニュース」が重要なのか

一見すると、工場のニュースはマニア向けの話題に見えるかもしれません。しかし、生産拠点が増えるということは、長期的には 「正規店に並ぶ本数」「中古市場に流れてくる本数」にも影響してきます。つまり、これからロレックスを初めて買いたい方にとっても、 将来の買いやすさや価格動向に直結するニュースなのです。

コレクターの方へ：供給増はプレミア価格にどう影響するのか

一方で、デイトナやサブマリーナーのようにプレミアムが付いているモデルをお持ちのコレクターにとっては、 生産能力の拡大＝二次流通価格の調整要因にもなり得ます。供給が増えれば、ラインナップやリファレンスごとに 「上がるモデル」と「落ち着くモデル」の差がさらに鮮明になるはずです。

*AIによるイメージ画像です。

ロレックス新工場計画とは？ブュル工場の全体像

ロレックスが新工場を建設するのは、スイス・フリブール州グリュイエール地区にあるブュル（Bulle）という街です。 スイス時計協会FHや現地自治体の発表によると、このプロジェクトは「環境配慮」と「地域経済への貢献」を前面に打ち出した、いわば ロレックス版“グリーン・ファクトリー”構想といえます。

正式な投資額は非公開ですが、報道ベースでは総投資額は約10億スイスフラン規模とされており、 ロレックスの工場としては過去最大級のプロジェクトです。時計メーカーの「一つの工場」としては広大な規模感といえるでしょう。

初心者の視点：どんな時計が作られるの？

ブュル新工場では、ムーブメントの製造から組立、品質管理まで、ロレックスの中核となる工程を担当するとみられています。 公式には「どのモデルを生産する」といった公表はありませんが、デイトナやサブマリーナーといったスポーツモデルを含む、 大量のベストセラーモデルの製造を支える拠点になる可能性が高いでしょう。

コレクターの視点：既存工場との役割分担

すでにロレックスは、ジュネーブやビエンヌなどに複数の工場を持っています。ブュルは「第5の拠点」として位置付けられており、 既存工場の生産ラインを丸ごと移転するというより、全体のキャパシティを押し上げる役割が大きいと考えられます。 つまり、「既存の名作がなくなる」のではなく、「人気モデルの供給が少しずつ厚くなる」というイメージに近いです。

*AIによるイメージ画像です。

スイス時計輸出260億フラン超えと、ロレックスの生産拡大

ロレックスの新工場を理解するには、スイス時計産業全体の数字も押さえておきたいところです。スイス時計協会FHの統計によると、 スイスの時計輸出額は2023年に267億スイスフランと過去最高を更新しました。2024年は世界的な需要調整の影響で 約260億スイスフラン（対前年 -2.8％）とわずかに減速したものの、依然として歴史的に見れば非常に高い水準です。

つまり高級時計市場は「急成長期から一段落したが、高止まりしている」状態。ここでロレックスが新工場に踏み切るのは、 短期の利益追求よりも長期的な需要の強さを見ているからにほかなりません。

初心者の視点：世界のロレックスはどこに売れている？

• アメリカ、中国などの大市場を中心に、アジア・中東でも根強い需要
• 近年はインドやメキシコなど新興国市場の成長も目立つ
• 円安の影響で、日本は「インバウンド需要」と「国内コレクター」の両方が支える重要市場

こうした世界的な需要の広がりを背景に、ロレックスとしても生産を「少しずつ、しかし確実に」増やしていく必要に迫られています。

コレクターの視点：生産増でも「希少性」は維持されるのか

コレクターが一番気にするのは「プレミアムが薄れるのでは？」という点かもしれません。 生産能力が増えても、ロレックスはモデルごとの配分や限定カラー、金無垢やプラチナといった上位素材でしっかりと希少性をコントロールしてくるはずです。

市場全体がやや落ち着きを取り戻しつつある今だからこそ、「本当に作りが良く、来歴がはっきりした個体」が 中長期で評価されるフェーズに入ったともいえるかもしれません。

*AIによるイメージ画像です。

ロレックス新工場は新品・中古相場にどう影響するのか

一番気になるのはここかもしれません。ブュル新工場が本格稼働するのは2029〜2030年とまだ数年先ですが、 いまから「どんな変化が起こりそうか」をイメージしておきましょう。

初心者の視点：初めての一本が手に入りやすくなる可能性

• スポーツモデルを中心に、正規店の入荷本数が徐々に増える可能性
• 並行輸入・中古市場の在庫が厚くなり、状態や付属品で選びやすくなる
• 「とりあえずどの個体でもいい」より、「自分の基準で選ぶ」買い方へシフトしやすい

もちろん、すべてのモデルが一気に買いやすくなるわけではありませんが、「興味はあるけど手が届かない」と感じていた方にとっては、 長期的には良いニュースと言えそうです。

コレクターの視点：モデルごとの二極化が進む可能性

コレクターの皆様にとって重要なのは、モデル別のメリハリです。供給が増えれば、

• 「ブランド人気＋生産数が少ないモデル」…希少性が保たれ、むしろ評価が高まる可能性
• 「大量生産ゾーンに近いモデル」…新品価格に近づく形でプレミアムが落ち着く可能性
• 「コンディションの良いヴィンテージ」…新作供給とは別軸で評価されやすくなる

特にヴィンテージ、セミヴィンテージに分類されるモデルについては、新工場がどれだけ最新設備でも「二度と作れない時代のディテール」が価値を持ち続ける分野です。 その価値は安定的に上昇していく可能性が高いと思われます。新品の供給が安定しても、良質なディスコンモデルはむしろ相対的な存在感を増していくでしょう。

*AIによるイメージ画像です。

ロレックスの「グリーン・ファクトリー」と環境配慮の本気度

ブュル新工場で特筆すべきは、単に規模が大きいだけでなく、環境面で非常に野心的な目標を掲げている点です。 再生可能エネルギー比率約98％（暖房）というのは、製造業としてもかなり攻めた数字です。

• 屋上全面にソーラーパネルを設置し、自家発電を最大限活用
• 冷暖房には熱交換システムと地下水冷却を採用し、エネルギー効率を最適化
• 建物の外装に木材を多用し、CO₂排出の少ない建築素材を活用
• 敷地の1/3を緑地として保全し、自然の小川や生態系への配慮を徹底

ここまで来ると、「ラグジュアリーブランドだからこそ、環境投資にも妥協しない」というロレックスの姿勢がはっきり見えてきます。 高級時計の世界でも、サステナビリティはもはや欠かせないテーマになりました。

地域経済へのポジティブな波及

約2,000人規模の雇用が生まれるということは、ブュル一帯の飲食・住宅・交通など、周辺産業にも大きな波及効果をもたらします。 スイスでは時計産業がGDPの数％を占める重要な柱であり、今回の投資はその地位をさらに強固なものにするでしょう。

*AIによるイメージ画像です。

ロレックス新工場と2029年以降の腕時計市場の展望

では、ブュル新工場が本格稼働する2029年以降、市場はどう変わっていくのでしょうか。ここからは、あくまで一つのシナリオとして整理してみます。

初心者の方にとっての展望

• 正規店・中古市場ともに「選択肢の幅」が広がりやすい
• 並行輸入品や中古品の価格が、モデルによっては安定してくる可能性
• 状態や付属品、保証期間など、自分なりの基準を持って選びやすくなる

コレクターにとっての展望

• 人気スポーツモデルは引き続き高い需要を維持しつつも、極端なバブルは抑えられる
• ヴィンテージやレアリファレンスは、供給面ではほぼ増えないため選別が一層進む
• 「来歴のわかる個体」「適切にメンテされた個体」のプレミアムが明確になる

いずれにしても、「しっかり情報を集めて、自分に合う一本を選ぶ」という姿勢がますます重要になっていくはずです。 その意味で、ブュル新工場のニュースは単なる企業投資の話ではなく、今後10年のロレックスとの付き合い方を左右するトピックだと言えるでしょう。

*AIによるイメージ画像です。

まとめ

ロレックスのブュル新工場プロジェクトは、単なる工場新設ではなく、 生産能力の拡大 × 環境配慮 × 地域経済への投資という、ブランドの長期戦略を象徴する出来事です。

• スイス時計輸出は2023年に267億フラン、2024年も260億フラン前後と高水準を維持
• ブュル新工場は敷地約10万㎡、約2,000人の雇用、再生可能エネルギー比率約98％（暖房）の巨大プロジェクト
• 2029〜2030年の段階的稼働により、ロレックスの供給体制は中長期的に強化される見込み
• 新品の買いやすさ向上と同時に、ヴィンテージやレアモデルの選別もより重要になる

コミット銀座では、「これからロレックスを一本目として選びたい初心者の方」から、 「資産性とコレクション性を両立させたい上級者の方」まで、それぞれに合った選び方をご提案しています。 市場環境が変化しても、一本一本の時計と丁寧に向き合う姿勢は変わりません。

ロレックス選びでお悩みの方へ｜関連ページのご案内

• ロレックスを売却・お乗り換え検討中の方はこちら： ロレックス買取・下取りのご案内
• 希少モデルをじっくり売りたい方はこちら： 預かり販売サービスの詳細
• 在庫を今すぐチェックしたい方はこちら： ロレックス在庫一覧

「このニュースをきっかけにロレックスが欲しくなった」という方も、 「手持ちコレクションの見直しをしたくなった」という方も、ぜひ一度ご相談ください。

*AIによるイメージ画像です。

ロレックス新工場に関するよくある質問（FAQ）

Q1. ブュルのロレックス新工場はいつから稼働しますか？

公式発表や業界団体の情報によると、ブュル新工場は2029〜2030年頃に段階的に稼働開始する見込みです。 造成や建設工事はすでに進んでおり、今後数年かけてラインが立ち上がっていきます。

Q2. 新工場ができると、デイトナやサブマリーナーは買いやすくなりますか？

生産能力が増えることで、長期的には正規店や中古市場の在庫が厚くなる可能性があります。ただし、ロレックスはモデルごとの配分や生産数を慎重に調整しているため、「誰でもすぐ買える」という状況になるとは限りません。モデルごとの差はむしろ大きくなるかもしれません。

Q3. 中古相場は下がってしまうのでしょうか？

一部の大量生産ゾーンに近いモデルではプレミアムが落ち着く可能性がありますが、希少リファレンスやヴィンテージ、 金無垢・プラチナなどのハイエンドモデルは引き続き高い需要が見込まれます。大切なのは「どのモデルを、どんな状態で持つか」です。

Q4. 環境配慮という点で、他社と比べて何が特徴的ですか？

再生可能エネルギー比率約98％（暖房）という目標値は、製造業としてかなり高い水準です。さらに、木材を多用した外装や 敷地の1/3を緑地として保全する設計など、建物そのものが「サステナブルなブランドイメージ」を体現しています。

Q5. コミット銀座ではどんなサポートが受けられますか？

初めての一本選びから、売却や預かり販売のご相談まで、 ロレックスに精通したスタッフがトータルでサポートいたします。店頭・オンラインいずれも対応可能ですので、 お気軽にお問い合わせください。