機械式時計を選ぶ際、皆さんはどこに注目されるでしょうか。
多くの方は"デザイン性"や"機能性"、"資産性"とお答えになると思います。もちろん見た目やリセールというのは非常に重要なポイントになりますが、ここにブランドやモデルの歴史的背景、年代毎のマイナーチェンジなど、知識や理解が増えることで、さらに時計が好きになり、選ぶ楽しみを味わえるのではないでしょうか。 本コラムでは、初心者、上級者を問わず、機械式時計に関する知識を一つでも多くお伝えし、皆さまの時計選びの参考となるよう徹底解剖、徹底解説してまいります。
今回は【ロレックス】『サブマリーナー』「Ref.116610LN&116610LV」にフォーカスを当ててお話ししていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
第四世代サブマリーナーデイト Ref.116610LN & Ref.116610LV
ロレックスのサブマリーナーは、1953年の誕生以来、数々の進化を遂げながらも本質を変えずに続いているダイバーズウォッチの象徴的なモデルです。今回は、第四世代にあたる「Ref.116610LN」と「Ref.116610LV(通称”グリーンサブ”または”ハルク”)」について、細かいディテールを交えながら紹介していきます。
モデルの概要
「Ref.116610LN」と「Ref.116610LV」は、2010年に登場した第四世代のサブマリーナーデイトです。これらのモデルは、前世代の「Ref.16610、Ref.16610LV(第三世代)」と比較して、ケース・ブレスレット・ベゼル・ムーブメントなどが大きくアップデートされ、現代的なデザインと実用性が向上しています。
両モデルともにセラクロム(セラミック)ベゼルを採用し、耐傷性が大幅に向上。特にグリーンサブの「Ref.116610LV」は、従来のアルミ製グリーンベゼルを廃止し、グリーンセラクロムベゼルを搭載し、文字盤もグリーンに変更されました。このカラーリングが、マーベルコミックのキャラクター「超人ハルク」を連想させることから”ハルク”と呼ばれています。
この世代の特徴として、太いラグを持つケースデザインが採用され、より力強い印象になっている点も挙げられます。また、ブレスレットにはグライドロッククラスプが採用され、細かい調整が可能となっており、利便性の向上が図られています。
基本スペック
「Ref.116610LN」
・製造年:2010年〜2020年
・ケースサイズ:40mm
・ベゼル:逆回転防止式(セラクロム製インサート)
・風防:サファイアクリスタル(6時位置に王冠透かし)
・防水性能:300m防水
・ブレスレット:オイスターブレスレット(グライドロック付き)
・ムーブメント:Cal.3135(パワーリザーブ約48時間)
・振動数:28,800振動/時
「Ref.116610LV」
・製造年:2010年〜2020年
・ケースサイズ:40mm
・ベゼル:逆回転防止式(セラクロム製インサート、グリーン)
・風防:サファイアクリスタル(6時位置に王冠透かし)
・防水性能:300m防水
・ブレスレット:オイスターブレスレット(グライドロック付き)
・ムーブメント:Cal.3135(パワーリザーブ約48時間)
・振動数:28,800振動/時
①文字盤
「Ref.116610LN」
ブラックダイヤルにクロマライト夜光が採用されており、暗闇でブルーに発光します。夜光面積が大きくなったことにより、視認性に優れたデザインとなっており、シンプルかつクラシカルなサブマリーナーの王道スタイルを踏襲しています。
「Ref.116610LV」
コーポレートカラーであるグリーンがダイヤルに採用され、角度によって異なる表情を見せるサンレイ仕上げが特徴です。通常のブラックダイヤルと比べると、光の反射によって色味が変化し、より高級感のある仕上がりになっています。サブマリーナーで唯一のグリーン文字盤となっており、ファンの間で特に評価が高く、現在もプレミア価格で取引されています。
共通するダイヤルの特徴
・クロマライト夜光:従来のルミノバ夜光から変更され、青く発光する夜光塗料を採用。
・「SWISS MADE」表記:6時位置に配置され、ロレックスの品質保証を象徴。
②ベゼル
「Ref.116610」系の最大の進化ポイントのひとつが、セラクロム製ベゼルの採用です。
セラクロムベゼルの特徴
・耐傷性:アルミ製ベゼルに比べて傷がつきにくく、経年劣化による色褪せも起こりにくい。
・耐紫外線性:紫外線による劣化が少なく、長期間美しい状態を維持。
ベゼルのインデックス部分は、プラチナPVDコーティングが施され、耐久性が向上しています。
③ブレスレット
「Ref.116610」シリーズのブレスレットは、従来のオイスターブレスレットと比較して、剛性と利便性が大幅に向上しています。
主な変更点
・グライドロッククラスプ:ツールなしで約2mm刻みの細かい調整が可能(最大約20mm)。
・ブレスレットの剛性向上:以前のモデルよりも各パーツがしっかりとした作りに変更され、ヨレにくくなった。
また、2015年中頃よりバックルのマイナーチェンジが行われており、梨地仕上げから鏡面仕上げへと仕様変更がされています。
④ムーブメント
両モデルに搭載されている「Cal.3135」は、ロレックスが長年使用してきた定番ムーブメントです。
「Cal.3135」の特徴
・精度の向上:クロノメーター認定(COSC取得)、日差-2〜+2秒以内の高精度。
・パラクロムヒゲゼンマイ:耐磁性・耐衝撃性に優れ、環境変化による影響を受けにくい。
・パワーリザーブ約48時間:実用性の高いパワーリザーブを確保。
まとめ
「Ref.116610LN」と「Ref.116610LV」は、第四世代のサブマリーナーデイトとして、従来のデザインを継承しつつ、機能性と耐久性を大幅に向上させたモデルです。特に、グリーンサブ”ハルク”は独自のカラーリングが高く評価され、2020年に生産終了してからもプレミア価格で取引される人気モデルとなっています。
現在もなお、「Ref.116610LN」と「Ref.116610LV」の相場は安定しており、特にコンディションの良い個体や最終ロットの新ギャランティー(2020年7月頃以降)が付属した個体は高値で取引されています。今後の市場動向に注目しつつ、気になる個体があればぜひチェックしてみてください。
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