みなさま、こんばんは!

 

 

機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第34回となる今回は、

『ベゼルについて Part2』

こちらをテーマにお話ししていきます。

 


前回は、ベゼルの役割と、主にドレスウォッチに多く見られるデザインの一部をご紹介させていただきましたが、今回はスポーツモデルに使用されることが多いベゼルデザインを、ご紹介していきたいと思います。

まず、前回のおさらいとして、ベゼルの機能についてご説明します。

 

 

ベゼルとは

 

腕時計の風防(ガラス)周りのリング状のパーツを指す"ベゼル(bezel)"。

元来"枠"や"額縁"の意味を持ち、パソコンやスマートフォンなどの液晶ディスプレイの外枠部分のことを指しますが、時計においては腕時計のフェイス部分にあたる文字盤外周の部位、表面的には風防の外側を囲んでいるパーツのことを指します。

本来の役割としては風防を固定するためのパーツでしたが、腕時計の多機能化やデザインの進化に伴い、ベゼルの役割も年々変化してきており、計測機能を備えた目盛りや、ダイヤモンドなどの宝石をあしらったものなど、様々なベゼルが登場しています。

では、スポーツモデルのベゼルにどのような種類があるのか見ていきましょう。

 

 

スポーツモデルのベゼルデザイン

 

1.タキメーターベゼル

 

クロノグラフモデルのベゼル部分に表示されている平均時速を計測する機能。タキメーターの数字を読み解くことで計算することなく時速を判別できます。ロレックスの場合「UNITS PER HOUR」、他の時計は「TACHYMETRE」などと記載され、その下に数値が入ります。

多くのクロノグラフにはタキメーターベゼルとともにクロノグラフ針が搭載されており、1km走行した時点でストップを押します。その時にクロノグラフ針が指し示す数値が、"1時間当たりの走行距離"つまり平均時速となります。

ロレックス デイトナのベゼルに"200タキ"、"300タキ"、"400タキ"などと呼ばれるものが存在しますが、これらはレーシングカーの平均時速の上昇に合わせて数字が大きくなっていったと言われています。今では移行期の希少なベゼルが、大変な高額で取引されていますね。

 

2.両方向回転ベゼル

 

両方向に動かすことができるベゼルのことで、目盛りと時分針を合わせることで経過時間を読み取ることが可能です。簡易的な時間計測時に役立ちます。

仕事の合間、何時何分に休憩に出たのかを忘れないようにベゼルを回転させておいたりと、日常生活でも意外と便利ですよね。

代表的なモデルはロレックスのターノグラフ、ヨットマスター(初期モデルは逆回転防止ベゼル)などです。

 

3.逆回転防止ベゼル

 

ダイバーズ時計のベゼルに刻まれた目盛りと時分針を合わせることで経過時間を読み取ることができるのが、逆回転防止ベゼルです。

ベゼルに表示されている数字は0~15分は1分刻み、それ以上は5分刻みの表示となっています。逆回転防止ベゼルは潜水時に誤ってベゼルが回転しないように、一方向(通常は反時計回り)にしか動かない仕組みです。

なお、決まった方向にしか回転しない仕様なのは、安全のため。もし進めてしまったとしても想定するダイビングタイムが短くなるだけですが、逆行させてしまうと「想定よりもまだ進んでいない」と勘違いしてしまい、長時間ダイビングを行ってしまうことになりかねません。こういった誤作動を防ぐために、逆回転防止装置が付いていることは現在ではダイバーズウォッチ規格で標準化されています。

ロレックスのサブマリーナー、オメガのシーマスター、ブランパンのフィフティファゾムズが代表的なモデルですね。

 

4.GMTベゼル

 

両方向回転ベゼルに24時間表記が記載されているベゼル。24時間針との組み合わせにより第2時間帯の時刻を読み取ることができます。

ちなみにGMTマスターIIの場合は短針と両方向回転ベゼルを併用することで、第3時間帯の時刻の読み取りも可能。午前と午後を分かりやすくするため、ベゼルの上と下の色が異なる場合が多いのが特徴です。

代表的なモデルはロレックスのGMTマスターII、ブライトリングのクロノライナーなどです。

GMT搭載の腕時計はGMT針が付いていることが多く、GMT針で第二時間帯を、さらにGMTベゼルを用いて第三時間帯を表せます。

 

なお、ロレックス エクスプローラーIIのように、このベゼルが固定されていてGMT針で第二時間帯までを表すモデルも存在します。

 

 

まとめ

今回は数あるベゼルの中から、スポーツモデルに多く見られるデザインの一部をご紹介させていただきました。その他も様々なベゼルが存在しますので、ご興味のある方はぜひ、ベゼルに注目して時計をお探ししてはいかがでしょうか。

本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも湧いたようであれば幸いでございます!また、ご不明点は直接ご質問いただければしっかりとお答えさせていただきますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。

次回もお楽しみに!ではまた!

監修者のプロフィール

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コミット銀座

2015年の会社設立以来、"高く買い、安く売る"をモットーに、顧客第一主義を徹底。価格面におけるメリットのみならず、お客様が安心して買い物出来る環境づくり、お客様に最適な時計の提案も実現。
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