みなさま、こんばんは!

 

 

機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第25回となる今回は、

『GMTマスターの正しい使用法とは?』

こちらをテーマにお話ししていきます。

 


デイトナに並ぶ人気といっても過言ではない【ロレックス】『GMTマスター』。

最大の特徴は第二時間帯を表示する機能(GMT機能)が備わっている点にあり、『GMTマスター』の後継機にあたるシリーズ『GMTマスターⅡ』に至っては第三時間帯を表示することもできます。

ただ、「第二時間帯は設定できるんだけど、第三時間帯はどうするの?」という声をいただくことも多く、あまり良く知らない方が多いのも事実であります。私も改めて操作方法を見直してみたところ、確かにややこしいな・・・と思った次第です。

ということで今回は、『GMTマスター』の操作方法について画像を用いて詳しく解説していきますので、『GMTマスター』、『GMTマスターⅡ』の購入を検討中の方はぜひとも参考にしてみてください。

 

 

『GMTマスター』の使い方

 

まずは、『GMTマスター』について。『GMTマスター』には以下の特徴があります。

  • "GMT針"と呼ばれる第二時間帯の表示もしくは24時間針の役割を果たす針がついている。
  • "GMT針"は長短針と連動して動き、単独で動かすことはできない。
  • ベゼルは左右どちらにも回転することができる。
  • 日付のクイックチェンジ機能がついている(5桁品番以降)。

この点を理解したうえで、早速見ていきましょう!

 

 

日本とニューヨーク(時差14時間)を例にして2か国の時間を表示します。

日本の時間を午前10時と仮定します。その場合、ニューヨークは(前日の)午後8時となります。まずベゼルの▼を12時位置に合わせてください。

この状態では、GMT針は24時間針の役割を果たしています。

 

次にニューヨークの時間に針を合わせます。
ニューヨークは日本より14時間遅れているので14時間針を戻します。

日付が戻り、前日の午後8時になりました。

 

次に時差の分だけベゼルを回転させます。
日本はニューヨークより14時間進んでいるのでベゼルを14時間『左に』回します。

この際に注意しなければいけないのは、ベゼルは12時間でなく、24時間で一周する点です。

長針、短針からはニューヨークの時刻(午後8時)が、GMT針と回転ベゼルからは日本の時刻(午前10時)を読むことができます。また、日本の時刻を長短針で読み、ニューヨークの時刻をGMT針で読み取りたい場合はシンプルにベゼルを14時間『右に』回せばOKです。

 

 

『GMTマスターⅡ』の使い方

それでは次に『GMTマスターⅡ』の使い方をご説明します。

『GMTマスターⅡ』には以下の特徴があります。

  • 「GMT針」と呼ばれる第二時間帯の表示もしくは24時間針の役割を果たす針がついている。
  • 短針のみを単独で動かすことができる。
  • 日付のクイックチェンジ機能がついていない。日付の調整は短針を回転させて行う。
  • ベゼルは左右どちらにも回転することができる。


 

先程と同様に日本とニューヨーク(時差14時間)を例にして2か国の時間を表示します。日本時間を午前10時、ニューヨークは午後8時に合わせます。

ベゼルの▼を12時位置に合わせてください。
次に短針と24時間針(GMT針)が同じ時刻を示していることを確認します。

※上の写真では短針は10時、GMT針もベゼルの「10」を指しており同じ時刻です。


 

同じ時刻を示していない場合はGMT針を24時の位置に合わせ、続いて短針を回転させ午前0時に合わせます。更に時刻を現在の時刻まで進め合わせることで同期できます。

 


 

次に、ニューヨークの時間に針を合わせます。ニューヨークは日本より14時間遅れているので、リューズを1段階引き、短針のみを14時間遅らせます。

針は午後8時を指し、日付は前日に戻ります。GMT針はベゼルの「10」を指しており、第二時間帯である日本を示しています。
 
また、GMTマスターⅡはベゼルを回転させることで第三時間帯を表示することができます日本とニューヨークの2つの時間を示している状態で、さらに香港の時間を表示させてみましょう。

 

 

香港は日本に対してマイナス1時間ですので、ベゼルを1時間分『右に』回します。

すると、3つの時刻を読み取ることができます。

  • "長針"と"短針"からニューヨークの時間は午後8時。
  • "GMT針"を24時間表記で見ると、日本の時間は午前10時(ベゼルの数字ではなく、GMT針の位置で読み取る)。
  • さらに"GMT針"と"24時間ベゼル"から、香港の時間が午前9時であることが分かります。

少し難しかったかもしれませんが、いかがでしたでしょうか。あまり第3時間帯まで見ることは多くないと思いますが、このように使用方法が分かっていれば、どこの国に行っても安心ですね。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。 

言葉で説明するとなかなか理解するのが難しい『GMTマスター』『GMTマスターⅡ』ですが、画像と一緒に説明したことで、お分かりいただけたのではないでしょうか。ぜひ本記事を何度も見返して、この機会に使用方法を覚えていただけたらと思います!

本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも湧いたようであれば幸いでございます!また、ご不明点は直接ご質問いただければしっかりとお答えさせていただきますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。

次回もお楽しみに!ではまた!

 

機械式時計徹底解剖