みなさま、こんばんは!

機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第48回となる今回は、
『日本がスイス時計市場で果たす”重要性”とは』
こちらをテーマにお話ししていきます。

スイス製高級時計の話をしていると、実は避けて通れない国があります。意外と思われる方がいるかと思いますが、それは"日本"なのです。
「今やアメリカや中国の方が売り上げが大きいでしょ?」と思う方も多いかもしれませんが、時計業界の内側を見ると、日本の存在感は薄れておらず、むしろ濃くなっている一方です。
ということで今回は、"なぜ日本が高級時計市場でここまで重要なのか"を時計好き目線で分かりやすく解説していこうと思います。
日本は”世界最大級の高級時計消費国”

人口比で見ると、日本は世界トップクラスのスイス時計消費国です。
・国土は小さい
・人口も中国、米国より少ない
・それでも常に輸出上位国
これは異例なことです。
理由はシンプルで、日本人は「時計を買い続ける」市場だからです。一時的なブームではなく、何十年にもわたって安定した需要があります。
日本人は”品質にうるさい”

実は、スイスブランドが日本を重視する最大の理由がこれです。
・ケースの仕上げ
・文字盤のプリント
・夜光塗料のムラ
・精度・個体差
日本のユーザーは、世界で一番細かく時計を見ると言われています。
しかも、
・文句だけ言う
・値切る
ではなく、"良いものには、ちゃんとお金を払う"この姿勢が、スイスから見て非常にありがたいのだと思います。
二次流通市場が非常に大きい

日本の時計市場を語るうえで、二次流通店の存在は外せません。
銀座や中野を歩けば、
・正規店にないモデルが在庫している
・世界中のレアモデルが集まる
・価格が常に可視化されている
これは海外ではほぼ見られない光景です。
日本の二次流通市場は、香港と並び
"世界の時計相場を映すショーケース"
と考えられており、スイスブランド自身も、日本の二次流通価格をかなり意識していると言われています。
ヴィンテージ市場の”精度”が高い

ヴィンテージ市場でも、日本は特別と言えます。
・保存状態が良い
・パーツ管理が細かい
・説明が正確
・真贋意識が高い
海外の顧客が"日本の個体は信用できる"というのは有名な話で、当店コミット銀座でも、良質なヴィンテージウォッチを求めて来店される海外顧客が増えています。
結果として、世界中の良個体が日本に集まり、さらに市場が育つという好循環が生まれまれているのです。
日本限定モデルが多い理由

"Japan Limited"の時計がやたらと多いな、と感じたことはありませんか?
これにも明確な理由があります。
・日本だけで完結できる販売力
・色、サイズ、使用への理解力
・クレーム耐性の低さ(=完成度要求が高い)
ブランド側としては一番”テストに厳しい市場”が日本と言えます。

ここで評価されれば、世界でも通用する。だからこそ、多くのブランドが日本を実験場にしています。
スイスから見た日本=理想の顧客

スイス側から見た日本は、
・要求は細かい
・でも返品は少ない
・修理もきちんと出す ・長く愛用する
・2本目、3本目を買う
つまり、最も面倒であり、最も理想的な顧客なのではないでしょうか。
中国市場は確かに巨大ですが、流行が移り変わりやすく、投機色が強い傾向があります。
一方、日本は、
・安定
・継続
・文化
こういった側面が信用、信頼されている所以と言えるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本が特別なのは、"売上"だけではありません。時計を見る目、市場の厚み、修理文化、二次流通、ヴィンテージへの理解・・・すべてが揃っています。だからこそスイス時計市場において日本は、”完成された時計文化圏”として認知されているのです。
日本のマーケットも拡大の一途を辿っていますので、世界中のどの国よりもたくさんの"良い時計が集まる国"となる日も近いかもしれませんね。
本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも湧いたようであれば幸いでございます!また、ご不明点は直接ご質問いただければしっかりとお答えさせていただきますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。
次回もお楽しみに!ではまた!



