みなさま、こんばんは!
機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第10回となる今回は、
『ムーンフェイズの構造と魅力について』
こちらをテーマにお話ししていきます。
人類、ひいては地球が存在するうえで欠かせない重要な役割を持つ"月"。人類はこの重要な衛星の存在や動きを生活の様々な分野に活用してきました。今日(こんにち)においては、技術力の進化によって、生活に役立てる存在というモノから、"スーパームーン"や"皆既月食"など、神秘的な存在として認識している方も多いかと思います。
そして腕時計の世界で月に関わる機能と言えば、"ムーンフェイズ"ですよね。その日の月の満ち欠け具合を教えてくれるロマンティックな機能です。
ということで今回は、神秘的な魅力を持つムーンフェイズの構造や、実際の合わせ方などをご紹介したいと思います! ぜひ最後までご覧ください!
「月齢とは?」
"齢"という言葉の通り、その月が生まれてから経過した日数を表しているのが"月齢"です。
「新月(月の見えない夜)」を0とし、翌日を1、翌々日を2・・・というように数え、15日目前後で「満月」、その後は再び欠けていき30日目前後で次の「新月」を迎えます。この周期は、おおよそ29.3日から29.8日くらいの幅で微妙に変化しており、一定ではありませんが、"ムーンフェイズ"を知るにあたっては、大体29日半と思っておけば問題ありません。
こちらを踏まえて、本題のムーンフェイズ機構についてご説明していきましょう。
ムーンフェイズの構造
夜空を思わせる深いブルーの中にきらきらと輝く月や星が配された人気の意匠"ムーンフェイズ"。
一部変わったタイプも存在しますが、ほとんどは月や星の描かれたディスクが特徴的な半円形の窓から覗くデザインとなっています。
その見方は、月が対極に2つ描かれたディスクがゆっくりと回転し、表示されていた月が3時側の丸い部分に少しずつ覆われ、完全に隠された当日は月が2つとも表示されない状態(新月)となります。翌日になると9時側からもう1つの月が少しだけ覗き始め、徐々に全体が見えるようになっていき、頂上に上ると全面が見える状態(満月)となります。
また、ディスクの歯車には59枚の歯があり、「29.5日で半周=59日で一周(向きは時計回り)」するように作られています。29.5日と半端な数値ではありますが、こちらを2倍の59日で一周とすることで、歯車の設計面での複雑さを解消しているのです。
こちらは私が先日購入した、オメガ × スウォッチの「MISSION TO THE MOONPHASE」。
月に描かれたスヌーピーの存在を最大限にアピールするためか、通常覆われている片方の月も見えるようなデザインとなっています。こちらを見ていただくと、ムーンフェイズの構造がより分かり易くなるのではないでしょうか。
ムーンフェイズの合わせ方
ムーンフェイズは時計の時刻が進むのと連動して切り替わっていきますが、月齢周期の微妙な変動や、時計自体が止まってしまうことにより、ずれてしまう場合があります。しかし、当日の月齢さえWEBサイトなどで確認できれば、合わせるのは意外と簡単。
※調整時の具体的な操作方法(リューズやプッシュボタン)や禁止時間帯はモデルやムーブメントによって異なりますので、お使いの時計の説明書などをご確認ください。
まずは、現時点の月齢を確認したいと思います。
Web上で「月齢カレンダー」と検索していただくと様々なサイトが表示されると思いますので、お好きなものを選んでいただければ大丈夫です。今回は、記事公開日の"2024年7月28日(日)"を基準に合わせるようにしたいと思いますので、まずは本日から遡って直近の「新月」または「満月」を探します。
この場合は、7月21日(日)の満月がそれに当たりますね。
次に、お持ちのムーンフェイズを調整して、満月を表示させます。そして、7月21日(日)から28日(日)までの「7日間」ムーンフェイズを進ませれば完了です。
ちなみに、合わせる当日から遡って、満月よりも新月のほうが近い場合は、まずは新月を表示させて、そこから当日までの日数分ムーンフェイズを進ませればOKです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
神秘的な月の満ち欠けを、多くの知恵と工夫により機械式時計に落とし込んだ"ムーンフェイズ"。もしかしたら、「手持ちの時計についているけど表示は気にしていなかった!」「難しそうでいじったことがない、、、」なんて方もいらっしゃったのではないでしょうか。
理解さえしてしまえば、想像以上に簡単だったと思いますので、ぜひこの機会に使いこなしてみてください!!
そして、、本記事執筆中に「オメガ × スウォッチ」新作発売の情報が!
キレイな月がバッチリ2つ描かれています!
8月1日から満月の8月20日まで、17時以降の“ブルーアワー”にのみ販売するというこのモデル、争奪戦となること必至ではありますが、私もぜひ購入したいと思っています!!
本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも沸いたようであれば幸いでございます!また、ご不明点は直接ご質問いただければしっかりとお答えさせていただきますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。
次回もお楽しみに!ではまた!