皆さん、こんにちは。
ここのところ、人気ブランド・人気モデルの価格高騰もあり、新興ブランドや一定の人気を持ちながらも価格が安定していたラグジュアリースポーツモデルの台頭が著しいですね。
そこで、今回は隠れた名作【IWC】『インヂュニア』について掘り下げていこうと思います。
『インヂュニア』は、耐磁性などの機能も含めて素晴らしいモデルであり、「ジェラルド・ジェンタ」がデザインした時計であります。彼の代表作でもある【オーデマピゲ】『ロイヤルオーク』や【パテックフィリップ】『ノーチラス』は、いまやなかなか簡単には手が出せない価格帯となってしまいましたが、『インヂュニア』は、まだ比較的手にしやすい価格で推移しており、狙い目のモデルではないかと思います。
- ◆ 『インヂュニア』とは
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◆ 『インヂュニア』の系譜
- 「Ref.666」 製造期間:1955年頃~1975年頃
- 「Ref.866」 製造期間:1967年頃~1976年頃
- 「Ref.1832」 製造期間:1976年頃~1983年頃
- 「Ref.3505」 製造期間:1983年頃~1985年頃
- 「Ref.3506」 製造期間:1985年頃~1988年頃
- 「Ref.3508」 製造期間:1989年頃~1992年頃
- 「Ref.IW352101」 製造期間:1993年頃~2001年頃
- 「Ref.IW322701」 製造期間:2005年頃~2009年頃
- 「Ref.IW322801」 製造期間:2007年頃~2009年頃
- 「Ref.IW323604」 製造期間:2009年頃~2012年頃
- 「Ref.IW323902」 製造期間:2013年頃~2017年頃
- 「Ref.IW323909」 製造期間:2015年頃
- 「Ref.IW357002」 製造期間:2017年頃~受注停止
- 「Ref.IW357001」 製造期間:2017年頃~現在販売中
- ◆ 今オススメしたい『インヂュニア』
- ◆ まとめ
『インヂュニア』とは
ドイツ語で「エンジニア」を意味する『インヂュニア』は、耐磁性に重きを置いて開発され、その歴史は1955年にまで遡ります。
第二次世界大戦中。戦闘機内のコックピットは強い磁場にさらされていました。その問題を解決するため、英国空軍の要望を受けて軍用パイロット向けに製作されたのが、パイロット・ウォッチ『マーク11』 。その『マーク11』を手本に、耐磁技術を転用し、民間用として開発されたのが『インヂュニア』です。
軟鉄製のインナーケースでムーブメントを覆うという、当時としては画期的なアイデアを採用し、耐磁性能は『マーク11』と同じ80,000A/mを実現。そして、主に放射線技師や医師など、電磁波の影響が懸念される特殊な職業に従事する人から愛されるモデルとなります。
『インヂュニア』の系譜
「Ref.666」 製造期間:1955年頃~1975年頃
■特徴
・ロゴは【IWC】でなはく【International Watch Co】。
・パイロット・ウォッチ『マーク11』の基本設計をもとに、民間用として開発。
・軟鉄製のインナーケースでムーブメントを覆い、耐磁性は80,000A/mを確保。
【出典】フィリップス
「Ref.866」 製造期間:1967年頃~1976年頃
■特徴
・「Ref.666」の基本設計はそのままに、文字盤、針のデザインが変更。
・ケース径が38mmとなり、”ビッグインヂュニア”と呼ばれることも。
【出典】フィリップス
「Ref.1832」 製造期間:1976年頃~1983年頃
■特徴
・後に引き継がれていくデザインの基となったモデル。
・当時としては非常に大きいケース径40mm。通称”ジャンボ”。
・「ジェラルド・ジェンタ」によって考案された、ベゼル上に配された5つのビス=「穴」のデザインは『インヂュニア』のアイコンに。
【出典】サザビーズ
「Ref.3505」 製造期間:1983年頃~1985年頃
■特徴
・ケース径34mm。ムーブメント「Cal.375(ETAベース)」を搭載。
・耐磁ケース×薄いスクリューバックが特徴。”スキニーインヂュニア”とも呼ばれる。
・ワッフル状のパターンが施された「ワッフルダイヤル」を採用。
【出典】アンティコルム
「Ref.3506」 製造期間:1985年頃~1988年頃
■特徴
・ケース径34mm。ムーブメント「Cal.3753(ETAベース)」を搭載。
・方眼紙のような格子状のダイヤルを採用。
【出典】アンティコルム
「Ref.3508」 製造期間:1989年頃~1992年頃
■特徴
・ケース径34mm。ムーブメント「Cal.37590(ETAベース)」を搭載。
・軟鉄製インナーケースを使わず、耐磁性能は500,000A/mを実現。
・ムーブメントのヒゲゼンマイにジルコニウム・ニオブ合金を使用し、耐磁性を確保。
【出典】アンティコルム
「Ref.IW352101」 製造期間:1993年頃~2001年頃
■特徴
・ケース径34mm。再び軟鉄製インナーケースを採用。
・【ジャガールクルト】製「Cal.889」ベースの「Cal.887/2」を搭載。
・2001年にディスコン。『インヂュニア』は一時カタログから消えることとなる。
【出典】コミット銀座
「Ref.IW322701」 製造期間:2005年頃~2009年頃
■特徴
・ケースサイズが42.5mmと、大幅にサイズアップされ復活。
・ペラトン自動巻き機構に、ショックアブソーバー機能を備えた【IWC】の技術力が詰まった自社開発ムーブメント「Cal.80110」を搭載。
・インデックスに「12・6」にアラビア数字が配される。
【出典】コミット銀座
「Ref.IW322801」 製造期間:2007年頃~2009年頃
■特徴
・ケースサイズ40mmにサイズダウン。シースルーバック仕様へ変更。
・インデックスが大型化、「12・6」にアラビア数字が配される。
【出典】クリスティーズ
「Ref.IW323604」 製造期間:2009年頃~2012年頃
■特徴
・アマゾンの熱帯雨林やアフリカの砂漠など、過酷な環境にも耐えられるように設計された『インジュニア・オートマチック・ミッションアース』。
・前モデル同様、自社開発ムーブメント「Cal.80110」を搭載。
・ケースサイズは46mmへと更に大型化。
【出典】コミット銀座
「Ref.IW323902」 製造期間:2013年頃~2017年頃
■特徴
・ケース経40mm。
・「ジェラルド・ジェンタ」デザインのベゼルを搭載した最後のレギュラーモデル。
・軟鉄製インナーケースを搭載しながらケース厚9.9mmを実現。
・ムーブメント「Cal.30110」を搭載し、40,000A/mの耐磁性と120mmの防水性を備える。
【出典】IWC
「Ref.IW323909」 製造期間:2015年頃
■特徴
・2015年のSIHHにて1500本限定で発表。
・人気の「ブルー文字盤」が採用されている貴重な『インヂュニア』。
【出典】IWC
「Ref.IW357002」 製造期間:2017年頃~受注停止
■特徴
・2017年のSIHH(ジュネーブ・サロン)にて発表された、シンプルな三針モデル。
・スムースベゼルを採用。「Ref.666」と「Ref.866」を合わせたようなデザイン。
・ムーブメント「Cal.35111」を搭載。
・2022年現在【IWC】直営店で受注停止。
【出典】IWC
「Ref.IW357001」 製造期間:2017年頃~現在販売中
■特徴
・【IWC】公式サイトに掲載中の現行SS(ステンレススチール)モデル。
・1955年の初代『インヂュニア』を彷彿とさせるデザイン。
・ケースサイズ40mm。アリゲーターストラップ仕様のみ。
【出典】IWC
今オススメしたい『インヂュニア』
ここからは先ほどご紹介した時計の中から、特に今オススメしたい『インヂュニア』2本を、詳しくご紹介したいと思います。
《ポイント》
①人気の『ジェラルド・ジェンタ』デザインであること
②市場での出回りもまだあり、手に入れることが可能であること
『インヂュニア オートマティック』
「Ref.IW323902」
2013年に発表され、わずか5年後の2017年に生産終了となった「Ref.IW323902」。
40mmのケースサイズと「ジェラルド・ジェンタ」デザインの「穴」ありベゼルを搭載した、最後のモデルとなります。デザイナーである「クリスチャン・クヌープ」が、1976年の『インヂュニア SL』に現代的なエッセンスを取り込みつつ、ブラッシュアップしたモデルです。
ちなみに2017年に生産終了と書きましたが、実は2021年頃まで正規店で販売されていたことを確認しています。推測でしかありませんが、海外正規店などで販売に至らなかった個体などが、日本の正規代理店に入荷したものではないか?と、、、
【出典】コミット銀座
海外有名サイト”クロノ24”では、国内参考定価(販売当初)の698,500円に対して、既にプレミアム価格で推移していますが、まだ現実的な販売価格となっております。
*2022年4月19日時点の情報になります。
【出典】クロノ24
『インヂュニア オートマティック ローレウス スポーツフォーグッド』「Ref.IW323909」
2015年のSIHHにて1500本限定で発表された『インヂュニア・オートマティック・ローレウス・スポーツ・フォー・グッド』。
2000年に【リシュモン】と【ダイムラー】によって設立された「ローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団」。【IWC】は2005年からグローバルパートナーを務め、「恵まれない環境下にある子供や、人と人とを結び付け、より良い世界を実現する。スポーツにはその力がある」という信条のもと、この世界的なプログラムを支援しています。
裏蓋には【IWC】が主催した、子供たちが描いた絵画コンテストの最優秀作品が刻印。
ウガンダ出身のナカイェンガ・ザハラさん(当時13歳)の絵が刻印されています。
この時のテーマは “Time to celebrate(祝うとき)”
他ブランドでも人気の「ブルー文字盤」が採用されている、貴重な限定の『インヂュニア』。正直、本当はあまり教えたくなかったです(笑)という冗談はさておき、センターセコンドの針先に差した「赤色」がアクセントになり、完成されたデザインであると思います。
【出典】IWC
海外有名サイト”クロノ24”では、国内参考定価(販売当初)の723,600円に対して、既にかなりのプレミアム価格で推移しています。数も少なく、まさに限定品ですね!
*2022年4月19日現在の情報になります。
【出典】クロノ24
まとめ
いかがでしたでしょうか。
近年「ジェラルド・ジェンタ」デザインの『インヂュニア』の出回りが少なくなってきています。オススメとしてご紹介したモデルは、まだ手が届く価格帯で推移しておりますので、お探しの方は早めの購入が吉?かもしれません。
また、コミット銀座では『インヂュニア』の取扱いを強化しておりますので、お持ちの方は是非ともご相談ください!
今回もこの記事を読んで頂いたことによって、『インヂュニア』ファン、また高級時計を好きになってくださる方が、ひとりでも増えれば幸いです。
ではまた!