
「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれたエルヴィス・プレスリーの生涯を描く伝記映画『エルヴィス』(2022)。大ヒットを記録した本作でエルヴィス・プレスリーを演じたのは、当時ほぼ無名に近かった若手俳優、オースティン・バトラーでした。10代の頃からテレビドラマなどに出演していたものの、エキストラや端役が続いていた彼は、本作のオーディションで見事にエルヴィス役に抜擢。本作を観たエルヴィスの元妻、プリシラ・プレスリーから「彼の演技は本当に見事だった」と大絶賛されるほどの熱演を見せます。
その後も、SF大作『デューン 砂の惑星 PART2』(2024)で演じた刺客「サウラ」が、映画ファンから「映画史に残る悪役」と評されるなど、着実にスターへの道を地固めしているオースティン・バトラー。
映画やテレビなどで活躍する映画人の腕時計にフォーカスする「Actor's Watch」。第214弾の今回は、そんな彼が着用した腕時計をご紹介して参ります。
カルティエ
タンクルイカルティエ【Ref.WGTA0059】

2022年5月に行われた『エルヴィス』のロンドンプレミア。白のジャケット姿のオースティン・バトラーが選んだ腕時計は、2021年に新作として登場した、バーガンディのカルティエ タンク ルイ カルティエ(Ref.WGTA0059)でした。彼の背景にある『エルヴィス』のタイトルロゴとも似た色合いなので、もしかしたらそこに合わせた色合いの時計を選んだのかもしれません。
こちらはケース横幅25.5mmの小ぶりなレディースウォッチ。彼が着けている写真を見ても、非常に小さい事がわかります。後に彼が『デューン 砂の惑星 PART2』で共演するティモシー・シャラメも、レディースサイズの小ぶりな腕時計を愛用している俳優のひとり。ハリウッドの若手スター俳優の間で、小ぶりな腕時計が流行しているのは非常に興味深いと言えるでしょう。
ブライトリング
クロノマットB01 42【Ref.AB0134101G1A1】

続いては、2024年8月にニューヨークのジョン・F・ケネディ空港に降り立ったところをパパラッチされた、ラフなスタイルのオースティン・バトラー。目立たぬようにキャップを深くかぶり、モノトーンで抑えた服装の彼が着用している腕時計は、ブライトリング クロノマット B01 42(Ref.AB0134101G1A1)と思われます。
「ナビタイマー」と並ぶ、ブライトリングのフラッグシップモデル「クロノマット」。こちらは、1984年の初代クロノマットの特徴である、円筒を繋いだブレスレット「ルーローブレス」を復活させた、2020年のニューモデルとなっています。
ブライトリングの中でも、パンダ文字盤にルーローブレスという、クラシカルな雰囲気のパイロットウォッチをチョイスしたオースティン・バトラー。先のカルティエ タンクもそうですが、少しレトロな雰囲気の腕時計が好みなのかもしれません。
ロレックス
デイトジャスト【Ref.116233】

最後は彼の出演作から。大ヒットドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998-2004)のヒロイン、キャリーの青春時代を描いたドラマ『マンハッタンに恋をして 〜キャリーの日記〜』(2013-2016)。キャリーのボーイフレンド役を演じたオースティン・バトラーがドラマの中で着用していた腕時計は、コンビのロレックス デイトジャスト(Ref. 116233)と思われます。
裕福な家庭の出身で、スケートボードのビジネスを始めようとしている青年実業家予備軍として描かれているセバスチャン。ドレッシーなロレックスが、その「富裕層キャラ」を演出しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
TPOに合わせて、エレガントなカルティエ タンクから、アクティブなブライトリング クロノマットまで幅広く着けこなし、特定のスタイルに囚われないオースティン・バトラー。少しレトロな雰囲気の腕時計をチョイスしているあたりに、彼の腕時計へのこだわりを感じます。

『エルヴィス』の演技が絶賛され、そこから一気にスター街道を驀進中のオースティン・バトラー。2023年には早々にカルティエのアンバサダーに就任してしまった為、最近はカルティエの腕時計を着用している姿しか目撃されていないのが少し寂しいところです。
さて、そんな彼の最新作は、X世代を代表するアメリカの作家、ブレット・イーストン・エリスの小説をクリスチャン・ベール主演で映画化した『アメリカン・サイコ』(2000)の新解釈版となるようです。美しい妻と裕福に暮らすエリート銀行マンが、うわべだけの幸福では満たされない感情を、夜な夜な行う快楽殺人で埋めていくサイコホラー。私は、予告編の中でニヤリと笑うベイトマン(オースティン・バトラー)の姿を見ただけでゾクゾクしてしまいました。公開は2026年の予定ですので、期待して待つことにいたしましょう。気になった方は、今のうちからクリスチャン・ベール版を観ておくことをオススメいたします。
ではまた!