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アメリカで最も警備が厳しいと言われるニューヨークのシンシン刑務所。無実の罪で収監された男が、刑務所内で舞台演技を学ぶ「演劇プログラム」によって生きる希望を取り戻していく人間ドラマ『シンシン/SING SING』(2024)。
主要キャストを除いた出演者の8割以上がシンシン刑務所の実際の元収監者で、本作で描かれる「演劇プログラム」の卒業生という異色作。2023年のトロント映画祭で公開されるや否や大絶賛の嵐となり、主演と製作総指揮を務めたコールマン・ドミンゴは、本年度のアカデミー賞の主演男優賞にノミネートを果たしています。
映画やテレビなどで活躍する映画人の腕時計にフォーカスする「Actor's Watch」。第213弾の今回は、そんなコールマン・ドミンゴが着用した腕時計をご紹介して参ります。
オメガ
コンステレーション グローブマスター【Ref.130.53.41.22.03.001】
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1963年に行われた人種差別撤廃運動「ワシントン大行進」の主催者、バイヤード・ラスティンの姿を描く実録映画『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』(2023)。主演のラスティン役を務め、ゴールデングローブ賞の最優秀主演男優賞にノミネートされたコールマン・ドミンゴは惜しくも受賞は逃したものの、授賞式で見せたネールカラージャケットのスタイリッシュなスタイリングが話題となりました。
この時に彼が着用していた腕時計は、オメガ コンステレーション グローブマスター(Ref.130.53.41.22.03.001)。ラグジュアリーなセドナゴールドのケースと、深みある青のダイヤルの組み合わせがシックな本機は、1952年の初代コンステレーションを踏襲した12角形のダイヤルが最大の特徴。クラシカルなネールカラージャケットに、50年代のテイストを湛えるグローブマスターが華を添えています。
カルティエ
パンテール ドゥ カルティエ LM【Ref.WSPN0011】
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ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)で毎年行われる、アート、映画、ファッション、エンターテインメントの集い「LACMA Art + Film Gala」。2024年のこのイベントに招待されたコールマン・ドミンゴがグッチのスーツに合わせた腕時計は、カルティエ パンテール LM(Ref.WSPN0011)と思われます。
豹(パンサー)の滑らかな動きにインスピレーションを受けてデザインされた「パンテール」。柄の入った黒い生地やサテンの質感と相まって、彼を黒豹のような雰囲気に仕立てています。
IWC
ポルトギーゼ パーペチュアル カレンダー44【Ref.IW503702】
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最後は毎年5月にメトロポリタン美術館で行われるファッションの祭典「メットガラ」から。2024年に行われた「メットガラ 2024」に招待されたコールマン・ドミンゴが、ケープ付きの白いタキシードに合わせたのは、IWC ポルトギーゼ パーペチュアルカレンダー 44(Ref.IW503702)でした。
レッドゴールドに黒文字盤を合わせた、ケース径44mmの重厚感あるコンプリケーションウォッチ。彼のトゥーマッチなスタイリングに負けない存在感は、この腕時計ならではと言えるでしょう。
1980年代に時計技師のクルト・クラウスが開発したIWCのパーペチュアルカレンダーは、4桁の西暦表示機能を搭載している事が最大の特徴。「今年の今日の今」という、絶対に二度と来ない時間を指し示し続ける、ロマンチシズムに溢れた腕時計です。奇しくも「メットガラ2024」のテーマは「時間の庭」。コールマン・ドミンゴは「時間」が持つロマンを体現する腕時計として、このモデルを選んだのかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
以前からゲイであることを公表しているコールマン・ドミンゴ。そんな彼のスタイリングからは、中性的なエレガンスを感じられた方も多いのではないでしょうか。それに合わせ、腕時計も実用的なだけではない、華やかさに溢れたモデルをチョイスしているように思えます。
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さて、そんなコールマン・ドミンゴの最新作は、マイケル・ジャクソンの生涯を映画化した『マイケル』(2025年10月公開予定)。彼は「ジャクソン5」のプロデューサーでもあったマイケルの父、ジョセフ・ジャクソンを演じているとの事です(写真右は、ジョセフ・ジャクソン本人)。実在のミュージシャンの伝記映画として、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)や『名もなき者』(2024)のような大ヒットを記録する事になるでしょうか?
さて、本年度のアカデミー賞ではオスカー獲得も期待されるコールマン・ドミンゴ。レッドカーペットや授賞式で、タキシードにどんな時計を合わせて登場するのか楽しみです。式が行われる3月3日を期待して待つことにしましょう。
ではまた!