機械式時計を選ぶ際、皆さんはどこに注目されるでしょうか。

多くの方は"デザイン性"や"機能性"、"資産性"とお答えになると思います。もちろん見た目やリセールというのは非常に重要なポイントになりますが、ここにブランドやモデルの歴史的背景、年代毎のマイナーチェンジなど、知識や理解が増えることで、さらに時計が好きになり、選ぶ楽しみを味わえるのではないでしょうか。 本コラムでは、初心者、上級者を問わず、機械式時計に関する知識を一つでも多くお伝えし、皆さまの時計選びの参考となるよう徹底解剖、徹底解説してまいります。

今回は、「Ref.214270」にフォーカスを当ててお話ししていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

エクスプローラー Ref.214270

2010年から2021年まで製造されたRef.214270は、『エクスプローラー』の歴史において大きな転換点となったモデルです。
シリーズ初となる39mm径への大型化、そして製造期間中に行われた異例のマイナーチェンジにより、「前期型」と「後期型」という明確な個体差が存在します。
今回は、39mmケースの剛健な作りから、語り草となっている「ブラックアウト」ダイヤルの詳細、そして熟成されたムーブメントまで、その魅力を徹底的に解説していきます。

基本スペック

Ref.214270(ステンレススチール)
・製造期間: 2010年〜2021年
・ケース径: 39mm
・風防: サファイアクリスタル
・ベゼル: スムースベゼル
・ブレスレット: 77200(オイスターブレス)
・ムーブメント: Cal.3132
・防水性能: 100m

①ダイヤル

「Ref.214270」は、2016年を境にダイヤルデザインが大きく変更されました。

◯前期型(2010年〜2016年)― 通称“ブラックアウト”

3・6・9のインデックスが18KWG(ホワイトゴールド)製のソリッド仕様となっており、夜光塗料や白いペイントが施されていません。
・メタルの質感が際立つ、精悍でスタイリッシュな印象。
・セミヴィンテージの「Ref.14270」で見られたブラックアウト仕様を彷彿とさせる一本。

◯ 後期型(2016年〜2021年)― フル夜光仕様

3・6・9のインデックスにもクロマライト夜光が充填されました。
・すべてのインデックスが発光することで、暗所での視認性が大幅に向上。
・スポーツモデルとしての実用性をより追求した、プロフェッショナル仕様です。

②針

ダイヤルの変更に合わせ、針の長さも最適化されています。
・前期型: 大型化した39mmダイヤルに対し、やや短めの指針を採用。特に分針が外周の分目盛りに届かない、独特のバランスとなっています。
・後期型: 指針が全体的に太く、長くなりました。分針が目盛りまでしっかりと届く長さになったことで、判読性が向上しています。

③夜光塗料

本モデルから、【ロレックス】が独自開発し特許を取得した「クロマライト」が採用されています。
・2008年から導入されたこの夜光は、暗所で美しいブルーに発光します。
・従来のルミノバに比べ、約2倍(最長8時間)の継続時間を誇ります。

④ケース

シリーズ初となる39mm径のミドルケースを採用。
・素材は耐食性に優れた904Lスチール製。
・先代(36mm)に比べ、ラグ部分が肉厚になり、より頑強で力強いフォルムへと進化しました。

⑤ブレスレット

ブレスレットもケースの大型化に合わせ、堅牢な作りへと刷新されています。
【77200】
・すべてのパーツが無垢材に改められ、耐久性と堅牢性が格段にアップ。

⑥バックル

利便性を高める最新の機能が備わっています。
・イージーリンク: バックル部分で約5mmの微調整が可能。季節や体調による手首周りの変化に即座に対応できます。
・堅牢なクラスプ構造により、確実な装着感を実現しています。

・前期型は2015年の夏頃を境にクラスプ部分が梨地(果物の梨のようなザラザラした加工)から鏡面仕上げに変更され、『ブラックアウトの鏡面バックル仕様』は生産期間が短いため相場が高い。
・後期型は最初から最後まで鏡面クラスプ仕様。

⑦ムーブメント

「Cal.3132」
3針キャリバー3130をベースに、Ref.214270専用として開発されたムーブメントです。
・パラクロム・ヒゲゼンマイ: 耐磁性と温度変化への耐性を強化。
・パラフレックス・ショックアブソーバー: 耐衝撃性を高めるロレックス独自の機構。
・実用時計として最高峰の信頼性と精度を誇ります。

まとめ

39mmという絶妙なサイズ感で登場した「Ref.214270」。
メタルの質感が美しい「前期型(ブラックアウト)」か、視認性とバランスを突き詰めた「後期型」か。
また後期型の最終(2020年7月頃)個体は新ギャランティ仕様になり、相場が高くコレクション個体としても選ばれます。
短期間での仕様変更は、ロレックスが常に完成度を追い求めている証でもあります。シンプルを極めた3針時計でありながら、選ぶ楽しさと所有する満足感を存分に味わえる名作です。

監修者のプロフィール

下川裕の写真

下川 裕(しもかわ ゆう)

高級腕時計専門店 コミット銀座 シニアアドバイザー / 鑑定士歴:2014年~現在

34歳 群馬県出身

大学卒業後に某ブランド買取・販売店に就職。各種ブランド品を幅広く見ている中で、高級腕時計の虜に。
高い向上心から、専門性の高い知見を有していることでも著名な鑑定士 阿部・金子が在籍しているコミット銀座へ入社。10年以上の鑑定士キャリアを持ちながらも、時計に対する勤勉で真摯な姿勢は、多くのお客様の心を鷲掴みにし、指名して来店いただくことも多数。今後のコミット銀座を担うまさに中心人物。

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