
機械式時計を選ぶ際、皆さんはどこに注目されるでしょうか。
多くの方は"デザイン性"や"機能性"、"資産性"とお答えになると思います。もちろん見た目やリセールというのは非常に重要なポイントになりますが、ここにブランドやモデルの歴史的背景、年代毎のマイナーチェンジなど、知識や理解が増えることで、さらに時計が好きになり、選ぶ楽しみを味わえるのではないでしょうか。 本コラムでは、初心者、上級者を問わず、機械式時計に関する知識を一つでも多くお伝えし、皆さまの時計選びの参考となるよう徹底解剖、徹底解説してまいります。
今回は【ロレックス】『GMTマスターⅡ』「Ref.116713LN・Ref.116718LN・Ref.116719BLRO」にフォーカスを当ててお話ししていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
GMTマスターⅡ Ref.116713LN・Ref.116718LN・Ref.116719BLRO
2005年、『GMTマスター』誕生50周年という節目に登場した第6世代『GMTマスターⅡ』。
従来のアルミベゼルから、堅牢で美しい光沢を放つ「セラクロムベゼル」への変更、そして大型化されたケースなど、ロレックスのスポーツモデルが現代的なラグジュアリー路線へと大きく舵を切った転換点となるシリーズです。
今回は、コンビモデル(116713LN)、イエローゴールド無垢(116718LN)、そしてホワイトゴールド無垢(116719BLRO)の3つを、素材や配色の違い、製造期間によるバリエーションまで、細部まで徹底的に解説していきます。
基本スペック
【Ref.116713LN(イエローロレゾール SS/YG)】
製造期間:2006年〜2019年
ケース径:40mm
風防:サファイアクリスタル(透かし入り)
ベゼル:ブラック・セラクロム(数字はイエローゴールドコーティング)
ブレスレット:78203(オイスターブレス)
ムーブメント:Cal.3186
防水性能:100m
【Ref.116718LN(イエローゴールド)】
製造期間:2005年〜2019年
ケース径:40mm
風防:サファイアクリスタル(透かし入り)
ベゼル:ブラック・セラクロム(数字はイエローゴールドコーティング)
ブレスレット:78208(オイスターブレス)
ムーブメント:Cal.3186
防水性能:100m
【Ref.116719BLRO(ホワイトゴールド)】
製造期間:2014年〜2019年
ケース径:40mm
風防:サファイアクリスタル(透かし入り)
ベゼル:ブルー/レッド・セラクロム(数字はプラチナコーティング)
ブレスレット:78209(オイスターブレス)
ムーブメント:Cal.3186
防水性能:100m
ダイヤル
■ Ref.116713LN ― 統一されたブラック&グリーン

ロレゾールモデルのダイヤルラインナップはブラックのみです。
しかし、これまでのゴールド系プリント(レター)とは異なり、モデル名の「GMT-MASTER II」表記と「24時間針(GMT針)」に鮮やかなグリーンを採用。
漆黒のセラミックベゼルと相まって、コンビモデルながら古臭さを感じさせない、モダンでスポーティな顔立ちに仕上がっています。
■ Ref.116718LN ― 50周年を象徴する特別な「緑」
シリーズの先陣を切って登場したYG無垢モデルには、2つの重要なバリエーションが存在します。
● グリーンダイヤル

2005年の発表当初に用意された、ブランドのコーポレートカラー。
マットでもサンレイでもない独特の深みのあるグリーンは、50周年記念モデルとしての位置付けを明確にしており、コレクターズアイテムとして不動の人気を誇ります。
● ブラックダイヤル

後にラインナップに追加された、王道のブラック。
YGケースの華やかさを引き締める精悍なデザインで、グリーンダイヤルよりも普段使いしやすい落ち着きを持っています。
■ Ref.116719BLRO ― 待望のペプシカラー復活
セラミックでの赤色表現が難航し、長くラインナップから消えていた「青赤ベゼル」を引っ提げて登場したWG無垢モデルです。
● ブラックダイヤル

登場時から生産終了間際まで採用されたメインダイヤル。
WGの控えめな輝きとペプシベゼルのコントラストが美しく、一見ステンレスモデルのようでありながら、持つ者にしか分からない重量感を楽しめます。
● ブルーダイヤル
2018年頃、生産終了直前のわずかな期間のみ製造された希少ダイヤル。
次世代機(126719BLRO)への移行期に見られる仕様で、市場流通量は極めて少ないダイヤルです。
針
3モデルとも、視認性を高めるために大型化された「マキシダイヤル」に合わせ、針も太く存在感のあるものが採用されています。
・時・分・秒針はケース素材に合わせたゴールド(YGまたはWG)
・GMT針の仕様差異
【116713LN / 116718LN】:グリーンのGMT針
【116719BLRO】:先端が赤い伝統的なGMT針
・夜光はルミノバ(グリーン発光)/クロマライト(ブルー発光)
※製造年式により夜光塗料が切り替わっており、2013年〜2014年頃を境に青く光るクロマライトへ変更されています。
ベゼル
■ Ref.116713LN / Ref.116718LN
両モデルとも「ブラック単色」のセラクロムベゼルを採用。
アルミ時代とは異なり、目盛り部分にはPVD加工により薄いイエローゴールドの層が蒸着されています。
傷に強く、紫外線による退色がほぼ起こらないため、YGの輝きと共にいつまでも新品のような質感を保ちます。
■ Ref.116719BLRO
特筆すべきは、1つのセラミックパーツ上で「青と赤」を焼き分けた技術革新です。
初期の個体などは、赤と青の境目がわずかに滲んでいたり、色味が現在よりもパステル調であったりと、製造時期による発色の違いが研究対象となっています。
目盛りにはプラチナコーティングが施されており、WGケースとの一体感を高めています。
ケース
旧型(5桁)と比較して最も大きく変わった点が、ケースフォルムです。
・ケース径は同じ40mmだが、ラグとリューズガードが太く堅牢化
・リューズが「トリプロック(三重密閉構造)」へアップグレード
全体的にボリューミーになり、無垢やコンビ素材の重量感も相まって、スポーツウォッチとしての存在感が増しています。
ブレスレット
■ Ref.116713LN / 116718LN / 116719BLRO共通
全モデルで、堅牢なオイスターブレスレットを採用。
・中央のコマが鏡面仕上げ(ポリッシュドセンターリンク)
・コマの中空がなくなり、完全な無垢仕様へ
これにより、旧型ブレス特有の「伸び」や「ヨレ」が発生しにくくなり、装着時の安定感が格段に向上しました。
特に金無垢モデルの重量を支えるには不可欠な進化と言えます。
バックル
従来の板バネ式から、堅牢なオイスターロッククラスプへ進化しました。
高級感のある開閉音と共に、誤開放を防止。
また、工具を使わずにブレスレットの長さを約5mm調整できる「イージーリンク」機能を搭載しており、夏場などの腕のむくみに即座に対応できる実用性が加わっています。
バックルの中板(クラスプ)も鏡面仕上げが施され、見えない部分まで高級機らしい作り込みがなされています。
ムーブメント
「Cal.3186」
全モデルにおいて、「Cal.3186」を搭載。
・パラクロム・ヒゲゼンマイの採用により、耐磁性と耐衝撃性が向上
・GMT針の動作構造を改良し、旧型(Cal.3185)で見られた針飛び(バックラッシュ)を解消
外装の進化だけでなく、内部機構においても信頼性が高められており、実用時計として完成の域に達しています。
まとめ
第6世代の、116713LN、116718LN、そして116719BLRO。
これらは、GMTマスターIIが単なるパイロットウォッチから、「成功者の証」たるスポーツウォッチへと昇華した記念すべき世代です。
セラミックベゼルの艶やかな質感と、太くなったケースが放つ圧倒的な存在感。
50周年の節目に登場したグリーンダイヤルや、技術の粋を集めたWGペプシなど、ロレックスの歴史を語る上で欠かせないピースがここに揃っています。





