阿部泰治のパテック論 ～第１３８回～ 11／28-29【PHILLIPS（フィリップス） 】in香港

みなさん、こんばんは。

 

 

今回は11月28～29日に香港で開催された、【PHILLIPS（フィリップス） 】のオークション結果をお伝えしたいと思います。本オークションにも参加出来ずでしたが、結果を見るとかなりお買い得なモデルもあったようで、しっかりと皆様にお伝えできればと思います。それでは早速見ていきましょう。

※落札された場合、落札価格に別途手数料（26%）が加わった金額がオークション会社への支払い金額となります。
※日本円につきましては、コラム掲載時の直近レートを参照しております。
※HKD（香港ドル）＝17.86円
※画像は全てPHLLIPS参照

Lot.822
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KYG
「Ref.3970EJ-014」

 

 

Sold for HKD 882,000（JPY 15,752,520）

『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』の第三世代にあたる、レマニアベースのムーブメントを搭載した「Ref.3970」。こちらは、スクリュー（ねじ込み式）の裏蓋、トライアングル型のバーインデックス、バトン型の針の組み合わせの３rdシリーズにあたります。３rdシリーズは、「Ref.3970」の中でも製造数も多いですが、この個体は画像を見るとケースもしっかりとしていて、付属品も付いており、リーズナブルな落札金額であったと思います。

 

Lot.823
『ノーチラス』 【TIFFANY&CO.】SS
「Ref.5711/1A-010」

 

 

Sold for HKD 1,890,000（JPY 33,755,400）

【TIFFANY&CO.】と【パテックフィリップ】のWネームモデルであり、『ノーチラス』の中でも一番人気と言っても過言ではない、SS（ステンレススチール）ケース・自動巻き・三針モデルのブルー文字盤。しかもこの個体は、ビニール未開封の”シングルシールド”！ここのところ、『ノーチラス』の相場はだいぶ落ち着きを見せてますが、【TIFFANY&CO.】とのWネームモデルで、この状態。納得の落札金額であると思います。

 

Lot.824
『ノーチラス』SS
「Ref.5711/1A-010」

 

 

Sold for HKD 1,008,000（JPY 18,002,800）

続いても人気の『ノーチラス』「Ref.5711/1A-010」のビニール未開封”シングルシールド”です。特筆すべきは、前回のパテック論でも取り上げた、新ムーブメント「Cal.26-330 S C」を搭載した個体であること。コミット銀座（以下：当店）でも、直近に新ムーブメント搭載の、ノンポリッシュで美品個体が入荷したのですが、ホームページ掲載翌日に販売となりました。正直なところ、このような状態でこの落札金額はかなりリーズナブルであったと思います。

 

Lot.826
『アクアノート トラベルタイム アドバンストリサーチ』18KWG
「Ref.5650G-001」

 

 

Sold for HKD 3,780,000（JPY 67,510,800）

2017年、『アクアノート』生誕20周年を記念して世界限定500本で発売された「Ref.5650G-001」。18KWG（ホワイトゴールド）ケースにトラベルタイム機構を搭載し、文字盤8時-10時位置をオープン仕様にしたことで、【パテックフィリップ】の技術革新をまじまじと体感する事が出来る仕上がりとなっております。今年の5月24日に香港で開催された【Christies（クリスティーズ）】での落札金額がHKD 5,292,000でしたので、かなりお得感のある落札金額であったかと思います。ただし！日本円で7000万円近くですから、安い！！とは感じないですね。（笑）発売時の国内正規販売価格からすると、ほぼ10倍近くの値段であり、実際にこのモデルを見たことはありますが、とにかくカッコよく、夢のある時計だと思います。

 

Lot.832
『ノーチラス』SS
「Ref.5711/1A-011」

 

 

Sold for HKD 730,800（JPY 13,052,088）

2012年に登場した、ホワイト文字盤の「Ref.5711/1A-011」。こちらは、2006年に『ノーチラス』生誕30周年記念として発表された、人気の三針モデル「Ref.5711/1A-001」のマイナーチェンジモデルであり、クラシックな印象を持つ青文字盤と違い、どこかポップな印象を与えてくれます。青文字盤よりも１年早い2020年に生産終了となりましたが、現在行なわれているカタールW杯にアルゼンチン代表のキャプテンとして出場している、世界的スーパースターであるリオネル・メッシ選手が着用していることは、あまりにも有名ですね。当店でもノンポリッシュで美品の高年式（保証書日付2017年8月）個体がございます。こちらもリーズナブルな販売価格設定でご用意しておりますので、お探しの方は是非お問い合わせ下さい。

 

Lot.833
『アニュアルカレンダー クロノグラフ』SS
「Ref.5960/1A-011」

 

 

Sold for HKD 756,000（JPY JPY 13,502,160）

「Ref.5960」のSS（ステンレススチール）ケースをご存知の方であれば、どこかおかしいぞ！？と思ったはずのこちらは、元サッカー日本代表でもある岡崎慎司選手が所属していたイングランド、プレミアリーグに所属する、レスター・シティFCがプレミアリーグを制した際、それを記念して、当時の会長から選手・コーチ陣に贈られた特別な「Ref.5960/1A」なのです。クロノ針、積算計の針がレスターカラーになっているのに加えて、サファイアクリスタルの裏蓋には、チームのエンブレムであるキツネが描かれているのです。かなり昔ですが、実際に時計を見る機会があり、とてもカッコよかった印象です。プライスレスなモデルですが、今回の落札金額は、個人的にはかなりリーズナブルであったと思います。

 

Lot.858
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KYG
「Ref.2499」

 

 

Sold for HKD 10,656,000（JPY 190,316,160）

こちらは、【パテックフィリップ】『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』の二代目にあたる「Ref.2499」の１stシリーズです。角形のブッシュボタンが唯一採用されているのが、一番の特徴です。アラビアインデックスにリーフ型の針の組み合わせが多く、ダイヤル外周部にはタキメーターが配された、全てのデザインが完璧な１本であると思います。製造数も非常に少なく、オークションでしかほぼ見ることがないですが、この個体はケースコンディションもとても良さそうです。落札金額は日本円にしてなんと２億円弱！納得です！！

 

Lot.920
『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』PT
「Ref.5004P-033」

 

 

Sold for HKD 2,772,000（JPY 49,507,920）

レマニア製ムーブメントを搭載した、人気の『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』「Ref.5004」の黒文字盤に、ダイヤモンドインデックスを配した「Ref.5004P-033」。特筆すべき点は、追加でスペシャルオーダーのダイヤモンドインデックス付き白文字盤も付属していることです。当たり前ですが、このようなオーダーは誰しもが受けられる訳がなく、特別なお客様しか受けられないため、極めて希少であることがわかります。実は２年前の2020年11月にジュネーブで開催された、同じく【PHILLIPS（フィリップス） 】のオークションで、同一個体が出品されており、落札金額が3300万円ほどでした。この２年で30%ほど値上がりしたということです。レマニア製ムーブメント搭載モデルは、今後が非常に楽しみといえます。

 

Lot.987
『アクアノート』18KWG
「Ref.5168G-001」

 

 

Sold for HKD 693,000（JPY 12,376,980）

2017年に『アクアノート』生誕20周年記念として、18KWG（ホワイトゴールド）素材に、ケースサイズ42.2mmの”ジャンボ”サイズとして発表された「Ref.5168G-001」。ブラックグラデーションのブルー文字盤に、同色のミッドナイトブルーで作られたトロピカルバントが、洗練された印象を与えるモデルです。特筆すべき点は、新ムーブメント「Cal.26-330 S C」を搭載していること。当店でも直近で、新ムーブメント搭載のノンポリッシュ個体が入荷しておりますので、気になる方は是非ともお問い合わせ頂ければと思います。

 

Lot.1068
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KWG
「Ref.5970G-001」

 

 

Sold for HKD 1,512,000（JPY 27,004,320）

『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』の第三世代にあたる「Ref.3970」の後継モデルとして発表された「Ref.5970」は、レマニアベースのムーブメントを搭載した最後の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』です。18KWG（ホワイトゴールド）ケースと18KRG（ローズゴールド）ケースが、2004年のバーゼルワールドで発表されましたが、こちらのグレーがかったシルバー文字盤は、とてもクールな印象の１本です。11月5日、6日にジュネーブで開催された【PHILLIPS（フィリップス） 】では、落札金額が4000万円近くまで行きましたので、今回落札された方はとてもラッキーであったと思います。

 

Lot.1069
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT
「Ref.3970EP-019」

 

 

Sold for HKD 1,134,000（JPY 20,253,240）

『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』の第三世代にあたる、レマニアベースのムーブメントを搭載した「Ref.3970」。こちらは、PT（プラチナ）ケースにダイヤモンドインデックスを備えた黒文字盤の組み合わせが、とてもゴージャスな１本です。交換用のクローズドバック（裏蓋）は付属していないようですが、落札金額は2000万円に達しています。市場で見かけることもほぼなくなってしまいましたが、引き続き今後が楽しみなモデルですね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

11月にジュネーブと香港で行なわれた【PHILLIPS（フィリップス） 】の落札結果は、今の市況を読むのがとても難しいモノでした。ただ、落札金額がリーズナブルであったり、思ったより高く行くのは、オークションならではの醍醐味であります。

現在当店では、今までにないほど【パテックフィリップ】の魅力的な時計が集まっております。年の瀬も近づきお忙しいかとは思いますが、みなさまのご来店を心待ちにしております。

ではまた！