みなさん、こんばんは!

早いもので本日、パテックフィリップ論を始めてから記念すべき100回目を迎えました。店頭や電話等での接客時、またYouTubeなどで暖かいお言葉をいただけたことで、ここまで続けられました。改めていつもご愛読いただきまして誠にありがとうございます。

さて記念すべき100回目ということで、皆さんが一番興味があることは何だろうか?と考えた結果、今回は過去に開催された海外オークションで、希少且つ、想像できないほどの高額で落札されたモデルを選りすぐってご紹介していきたいと思います。
※懐中時計を除いた腕時計で紹介しております。

少し現実味の無い話も多いかと思いますが、是非とも最後までお楽しみください。

「Ref.6300A-010」
『グランドマスター・チャイム』

※参照:CHRISTIE’S

2019年11月9日にスイスのジュネーブで開催された慈善オークション、《ONLY WATCH》に【パテックフィリップ】が寄贈した『グランドマスター・チャイム』「Ref.6300A-010」

SS(ステンレススチール)ケース、【パテックフィリップ】のグランド・コンプリケーションモデルでPlatinum(プラチナ)素材に採用されることが多いゴーデン・オパーリン文字盤、裏面がエボニーブラック文字盤、そして極めつけに12時位置のアラーム時刻サブダイヤルに《THE ONLY ONE》と記載された、超特別なモデルであります。

⇩⇩※元ネタとなったモデルは2016年新作の「Ref.6300G-001」⇩⇩

※参照:HODINKEE

もちろん機能もトップクラス。20もの複雑機能を搭載し、そのうちの5つはチャイム機構に関するもので、2つは特許を取得した世界初の機能となっています。一つは鳴らしたい時のみにゴングで今日の日付を知らせる”デイトリピーター”、もう一つは設定された時刻になるとチャイムで知らせる”アラーム”です。更には、手仕上げのギョーシェ装飾”クルー・ド・パリ”が施されたリバーシブル・ケースも特許取得された反転機構というから驚きですね。

落札価格は、3,100万スイスフラン=落札当時のレートで約33億5千万円、、、

言葉が出ないです(笑)
※「ONLY WATCH」オークションは、隔年に行われている”デュジェンヌ型筋ジストロフィー研究支援”のため、世界有数の時計ブランドによって作成された”ユニークピース”時計のチャリティーオークションです。その収益は「モナコ・デュジェンヌ型筋ジストロフィー協会」に寄付されます。

「Ref.1518」SS
『永久カレンダー・クロノグラフ』

※参照:PHILLIPS

続いては、2016年11月12日、スイスのジュネーブにて開催された《PHILLIPS》で出品された、初代『永久カレンダー・クロノグラフ』SS(ステンレススチール)ケース「Ref.1518」

こちらの価格はバイヤーズプレミアム込みで、1,100万2千スイスフラン=落札当時のレートで約11億円で落札されました。※当時、腕時計の歴代最高落札額を更新

「Ref.1518」の生産本数は281本と非常に少ないのですが、その大半は18KYG(イエローゴールド)、約20%が18KRG(ローズゴールド)、こちらのSS(ステンレススチール)は現存しているのが4本と言われており、その内の1本が出品されたのです。

今でこそ『ノーチラス』や『アクアノート』などのスポーツモデルがSS(ステンレススチール)ケースを採用し人気を博していますが、通常、【パテックフィリップ】の時計はゴールドやプラチナを採用することがほとんどです。このように【パテックフィリップ】を代表する、歴史的なモデル、且つ複雑機構を搭載、且つSS(ステンレススチール)ケース、そして現存している本数が4本ともなれば、納得のいく落札金額であると思います。

「Ref.1518」RG
『永久カレンダー・クロノグラフ』

※参照:sotheby’s

続いて、2021年12月9日、N.Y.(ニューヨーク)で開催された《Sotheby’s》に出品された18KRG(ローズゴールド)の初代『永久カレンダー・クロノグラフ』「Ref.1518」。

こちらも957万9百ドル=落札当時のレートで約10億9750万円という驚くべき金額で落札されました。

先ほどご紹介したように「Ref.1518」の20%が18KRG(ローズゴールド)ケースと言われておりますが、こちらは文字盤に注目です。ケース素材の色味と同じ、サーモンカッパーと言われる文字盤は、僅か14本ほどしか確認がされていないのです。さらにこの時計の凄いところは保証書も残っており、ファーストオーナーであったエジプトの王子が長きに渡りほぼ使わずに大切に所有されていた時計であったようです。

よほど保管状態が良かったのか、文字盤の傷みなども無く、ケースもポリッシュされていない稀に見る状態であったようです。落札金額は予想をはるかに上回る4倍超以上となったのも納得のコンディションと言えますね。このような時計をお目にかかる機会はほぼ皆無と言えますが、是非とも実際の時計を見てみたいものですね、、、

「Ref.5016A-010」
『グランドコンプリケーション レトログラード』

※参照:PHILLIPS

続いては、1本目同様、2015年11月7日にスイスのジュネーブで開催された慈善オークション《ONLY WATCH》にて出品された「Ref.5016A-010」

こちらの元ネタになっている「Ref.5016」は、1993年から2011年まで製造されていたと言われている、三代複雑機構永久カレンダートゥールビヨンミニット・リピーター)にレトログラード機能を搭載したモデルです。当店でもPlatinum(プラチナ)ケース×黒文字盤、18KRG(ローズゴールド)ケース×シルバー文字盤の販売実績がございます。

※Ref.5016P-018

《ONLY WATCH》に出品されたのは、唯一のSS(ステンレススチール)ケース×青七宝文字盤が採用されている、希少且つ美しいモデルです。

落札価格は、当時の最高落札額730万スイスフラン=落札当時のレートで9億円以上。約7年前の9億円は、現在だと間違いなく10億円を超える価値であったかと思います。

また、驚くべきは金額だけではなくその落札者です。誰もが知っているハリウッド大スター〈ブラッド・ピッド〉。彼のような超有名ハリウッドスターにもなると、このくらいの金額は、、、なんとも夢のある話でありますね。

「Ref.5208T-010」
『グランドコンプリケーション』

※参照:CHRISTIE’S

最後にご紹介するのも、2017年11月11日にスイスのジュネーブで開催された慈善オークション《ONLY WATCH》に出品された「Ref.5208T-010」

落札金額は、620万スイスフラン=落札当時のレートで約6億9000万円

元ネタの「Ref.5208」は、ミニット・リピーターシングルプッシュボタン・クロノグラフ瞬時日送り式永久カレンダーの3つの複雑機構を搭載したコンプリケーションモデル。こちらは、それをケース素材にTitanium(チタニウム)を採用し仕上げた唯一無二の1本です。

文字盤中央部には、手作業で彫られたギョーシェ装飾による《カーボン》モチーフが配され、特別な仕様であることをひと目で分からせてくれます。サファイヤクリスタルバックから眺めるムーブメントは、ブラック・ロジウム仕上げのブリッジ、文字盤同様に手作業で彫られたギョーシェ装飾が施されたプラチナ製マイクロローターと、【パテックフィリップ】の並々ならぬ思い入れと技術力の高さが感じられますね。ちなみに【パテックフィリップ】が特別な現行モデルのムーブメントに変更を加えたのは、この時が初めてだったようです。

《ONLY WATCH》の時計を扱うなんて夢のまた夢ではありますが、このようなスペシャルモデルを、いつか、、いつか、、、販売したいです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は記念すべき100回目ということで、【パテックフィリップ】がいかに凄いブランドか!!と見せつけるかの如く、すごすぎるラインアップでお送りしてみました。現実味はあまりないモデルばかりでしたが、見てるだけでなんだかワクワクするような、書いていた私自身、改めて【パテックフィリップ】の魅力に引き込まれた次第です。

今後も150回、200回とパテックフィリップ論を続けていけるよう、日々勉強し、みなさまと魅力ある【パテックフィリップ】の話が出来るのを楽しみにしております。

ではまた!

阿部泰治のパテック論