映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第20弾の今回はアル・パチーノの腕時計に注目していきたいと思います。

*出典元:https://screenrant.com/

1940年にシチリア島移民の子として生まれたアル・パチーノは、無名時代の1972年に『ゴッドファーザー』のマイケル・コルレオーネ役に抜擢されると、同作でアカデミー助演男優賞にノミネートされるほどの名演を見せ、この一作でスター俳優の座を獲得しました。その演技はジョニー・デップやジェイミー・フォックスなど、一線級の俳優たちに大きな影響を与え、日本でも岡田准一さんが『セルピコ』での演技に影響を受けたことを公言しているほどです。

それでは早速、「演技派スター」アル・パチーノがどのような時計を選んでいるのか、時代を追って見ていきましょう。

スカーフェイス

Scarface(1983)

キューバ難民としてマイアミにやってきた犯罪者トニー・モンタナ(アル・パチーノ)が、裏社会で麻薬王として成り上がっていく様を描いたマフィア映画『スカーフェイス』。この映画でアル・パチーノが着けているのは、オメガ La Magique(ラ・マジーク)。全世界で約261本しか生産されなかったと言われる、ドレッシーなクォーツのミステリアスウォッチです。

*出典元:https://oracleoftime.com

麻薬王の成り上がり物語である『スカーフェイス』は、公開当時は評論家ウケが低かったものの、黒人の若者の間で熱狂的な支持を受け、ヒップホップやギャングスタラップなど、現代の黒人文化に大きな影響を与えたと言われています。

また「お金持ちは高い腕時計を着ける」ということを私が初めて認識した映画でもあり、この映画を観ていなければ、もしかしたら時計業界とは無縁の人生を送っていたかもしれません。そういう意味でも個人的に思い入れのある作品です。

ヒート

Heat(1995)

ロバート・デ・ニーロ演じる強盗団のリーダーと、彼を追う刑事役のアル・パチーノが『ゴッドファーザーII』以来の共演で話題となった犯罪アクション映画『ヒート』。
この映画でアル・パチーノ演じる刑事ヴィンセントは、ブルガリ ディアゴノ スポーツクロノグラフを身に着けています。

*出典元:https://productplacementblog.com/

NY市警の凄腕刑事としては、ややラグジュアリーなチョイスですが、アル・パチーノはイタリア系。衣装のアルマーニのスーツに合わせたスタイリングではないかと思われます。

*出典元:https://www.zimbio.com/

白昼の市街地での銃撃戦シーンは徹底的なリアリティが追求されており、いま観ても迫力満点。以後の映画のガンアクションに多大な影響を与えた作品となっています。個人的にマイケル・マン監督作品の中で一番のオススメ作です。

88ミニッツ

88 Minutes(2007)

9年前に起きた連続殺人事件の犯人の死刑執行日、その事件を担当したFBI異常犯罪分析医(アル・パチーノ)のもとに殺害予告が届き、当時の事件と同じ手口の殺人事件が起きていることが判明する。事件の真犯人は別にいるのか?鑑定は間違っていたのか?何もかもが怪しく思え、疑心暗鬼に陥っていくアル・パチーノの演技が見どころのサスペンス映画『88ミニッツ』

*出典元:http://lancettedaoscar.blogspot.com/

この映画でアル・パチーノが身に着けている時計は、タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ。愛車がポルシェというイケオジ犯罪心理学教授だけに、渋い中にも色気とスポーティーさを忘れない一本という感じですね。

オーシャンズ13

Ocean’s Thirteen(2007)

ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)率いる犯罪スペシャリスト集団が大金を狙う「オーシャンズ」シリーズの3作目『オーシャンズ13』。アル・パチーノはオーシャンズの標的となるホテル王を演じています。

*出典元:https://watchalfavit.ru/

*出典元:https://productplacementblog.com/

この映画でアル・パチーノが身に着けているのは、ティファニー グランド ジャンピングアワー(ロレックス プリンスという記事も見かけますが、文字盤のレイアウトが異なります)。

格式よりもモダニズムを重視したアールデコ調の直線的デザインが、良い意味でも悪い意味でも「ビジネスに長けたアメリカのホテル王」の人間性を演出しているように思えます。

まとめ

このように並べてみると、さすがイタリア系というだけあり、どのような役柄でも「色気」を忘れないのがアル・パチーノの時計流儀のように見えます。

しかし、役柄を離れプライベートやインタビューの場などではジャガールクルトの着用が多いアル・パチーノ。そこではジャガールクルトの中でも色気のある「レベルソ」ではなく、「マスターコンプレッサー」「ディープシー」などのダイバーズがお気に入りのようで、このあたりは「オン/オフ」の切り替えがハッキリとしているように思えます。

*出典元:https://www.professionalwatches.com/

映画『セルピコ』への出演にあたり、モデルとなった実在の人物と3週間一緒に生活を共にするなど、役への没入が深いことで知られるアル・パチーノ。もしかしたら腕時計は「自分」を取り戻す為の大切なアイテムなのかもしれません。

これからは私もアル・パチーノにならい、腕時計でオンオフを切り替え、メリハリのある腕時計ライフを送っていきたいと思います。

ではまた!

Actor's watch