映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第129弾の今回は、話題の新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に登場する腕時計をお送りします。
前作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)から15年ぶりの新作公開となった『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)。シリーズ第一作『レイダース 失われたアーク』(1981)の出演時には30代だったハリソン・フォードも、御年すでに81歳。本作をもってハリソン・フォードはインディ・ジョーンズ役を卒業し、シリーズもめでたく完結となります。
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正直なところ「傘寿を過ぎたハリソン・フォードが演じて、本当に大丈夫なのか?」という不安はありましたが、シリーズ全作を観てきたファンとしては無視する訳には参りません。さっそく劇場で鑑賞して参りました。
今回の「Actor’s Watch」は、そんなインディ・ジョーンズ最新作にして最終作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に登場する腕時計に迫っていきたいと思います。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のあらすじ
*出典元:https://collider.com/
第二次世界大戦終戦間際の1944年。アメリカ人の考古学者、インディ・ジョーンズ教授(ハリソン・フォード)は親友の考古学者バズと共に、ナチスが略奪した秘宝「ロンギヌスの槍」を奪還すべく、ベルリン行きの列車に潜入していた。車内で発見した「ロンギヌスの槍」は偽物だったが、その替わり、アルキメデスが発明したと言われる古代の計算機「アンティキティラのダイヤル」の片割れをナチスから奪い返すことに成功する。
時は過ぎて1969年。大学を定年退職したインディ・ジョーンズ教授の元に、バズの娘ヘレナ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)が現れ、二人は「アンティキティラのダイヤル」の残り半分を求め、アルキメデスの墓を探す冒険の旅に出る。しかしそこには、ナチス復興の為に「アンティキティラのダイヤル」を再び手に入れようとするドイツ人科学者、フォラー(マッツ・ミケルセン)の姿があった、、、
ハリソン・フォードの腕時計
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本作で「戦う考古学者」インディ・ジョーンズ教授を演じるのは、もちろんハリソン・フォード。『レイダース 失われたアーク』(1981)から数えて42年。インディ教授の長い旅が、本作でいよいよ最後を迎えます。
ハリソン・フォードも80歳を過ぎ、往年のような身体を張ったアクションは望めませんが、シリーズお馴染みの乗り物を使った激しいチェイスなど、「これぞインディ・ジョーンズ!」と思わせるシーンが盛り沢山。古くからのシリーズのファンはもちろん、若い映画ファンにも十分に見ごたえのある作品に仕上がっていたのではないでしょうか。
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本作でハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズ教授が着用している腕時計は、ハミルトン アメリカンクラシック ボルトン(Ref.H13431553)。ケースや文字盤が見えるシーンは
残念ながらありませんでしたが、ハミルトンの公式サイトには、インディ教授がこの腕時計を着用している事が記載されております。
本作の舞台は、第二次世界大戦末期の1944年に幕を開け、アポロ11号の月面着陸に沸いた1969年で幕を閉じます。1940年代に発売され、それ以降ほとんどデザインが変更されていない「ボルトン」は、どの年代のシーンで着用されていても違和感を感じさせない腕時計。アメリカを代表する腕時計メーカー「ハミルトン」の中でも、特に伝統的な色合いの強いこのモデルに、「インディ・ジョーンズ」シリーズの40年以上に渡る歴史を象徴させているかのように思えます。
アントニオ・バンデラスの腕時計
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アルキメデスの墓を探して地中海にやってきたインディ教授とヘレナを迎え入れ、二人の冒険を手助けをする腕利き潜水士レナルド。インディとは旧知の仲の彼を演じるは、スペインの名優アントニオ・バンデラス。
実はエンドロールで名前を確認するまで、私はアントニオ・バンデラスが演じていたことに気づきませんでした。30代で彼が演じた『デスペラード』(1995)のイメージにいまだ囚われ続けている私ですが、ハリソン・フォードが歳をとったという事は、アントニオ・バンデラスも、観客の私も歳をとったという事なんですよね(しみじみ)。
*出典元:https://ew.com/
本作でアントニオ・バンデラス演じるレナルドが着用している腕時計は、ハミルトン カーキ ネイビー スキューバ(Ref.H82515330)。こちらも残念ながら着用がわかるシーンがほとんど無かったのですが、ハミルトンのショップでは「アントニオ・バンデラス着用モデル」として販促展開されているようです。
300mの防水性能を持つハミルトンの「カーキ ネイビー」は、ダイビング用として十分なスペックを備えたダイバーズウォッチ。腕利きの潜水士レナルドらしい選択と言えるでしょう。
マッツ・ミケルセンの腕時計
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ナチス復興の為、インディ教授が持つ「アンティキティラのダイヤル」の片割れを奪い、残りの半分を探し出そうとするドイツ人科学者、ユルゲン・フォラー博士を演じているのは「北欧の至宝」こと、マッツ・ミケルセン。知性と狂気とダンディズムを兼ね備えたヴィラン(悪役)として、インディ教授の前に立ちはだかります。
教授の反撃に遭いながらも決して慌てることなく、科学者らしく論理的に、二の手、三の手を打っていき、教授を追い詰めていくフォラー博士。『007 カジノロワイヤル』(2006)で演じた天才的な理数系悪党ル・シッフルや、ドラマ『ハンニバル』(2013)で演じた知性溢れるサイコパス、レクター博士を彷彿とさせる演技が見ものです。
*出典元:https://dotfm.us/
本作の劇中で最も腕時計の着用が目立ったのは、マッツ・ミケルセン演じるフォラー博士でしたが、その腕時計はストーリーにも関わっておりネタバレになる為、触れないでおきます。替わりにご紹介したいのは、彼が本作のロンドンプレミアで着用していた腕時計、ショパール アルパイン イーグル XL クロノ(Ref.295387-9001)。
ノータイに着崩した濃紺のセットアップに、ジュエラーでもあるショパールのローズゴールドのスポーティーなクロノグラフの組み合わせ。これぞ「世界を代表するイケオジ」と呼ぶに相応しいラグジュアリー&セクシーな装いと言っていいでしょう。
セクシーさと知性を兼ね備えたマッツ・ミケルセンがヴィランを演じたことで、本作は見栄えのするゴージャスな大作映画に仕上がっています。彼がインディ教授の最後の敵で本当に良かった。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
キャストの高齢化や前作の不評、監督交代などの不安要素があった『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』ですが、実際に観てみればそんな心配は吹っ飛ぶシリーズの最後を飾るに相応しいエンターテインメント作に仕上がっておりました。
*出典元:https://www.hollywoodreporter.com/
『インディ・ジョーンズ』シリーズは『スター・ウォーズ』と並び、近代のアメリカ映画産業発展の礎となった歴史的な作品。そのラストを飾る一作に、アメリカを代表する腕時計メーカー「ハミルトン」が協賛するのは当然の事のように思えます。決して高価な腕時計ではありませんが、封建的な王侯貴族ではなく、自由を求めた庶民が築いた国「アメリカ」を象徴する映画には、むしろそれが最も相応しいのではないでしょうか。
さて、そんな話はさておき、今回は最後にこれだけお伝えして締めたいと思います。
「ハリソン・フォード様、本当にお疲れ様でした!」
ではまた!