第27回 高級腕時計トレンド2025｜AIによるオーデマピゲのおすすめモデル10選

高級腕時計の世界で「世界三大時計」と称されるブランドのひとつ、オーデマピゲをご存知でしょうか。名前は知らなくても、八角形ベゼルにビス留めされた独特のデザインの時計を、街中やメディアで目にしたことがあるかもしれません。それがオーデマピゲの代表作『ロイヤルオーク』です。本記事では、オーデマピゲの魅力と最新動向を交えつつ、AIが選定したオーデマピゲのおすすめモデル10選を紹介いたします。

スイスの高級時計メーカーであるオーデマピゲは1875年創業の老舗で、今なお創業家が経営に携わっている数少ない独立メーカーです。その歴史と伝統に裏打ちされた職人技に加え、常に時代の一歩先を行く独創的なデザインや技術でファンを魅了してきました。特に1972年に発表されたロイヤルオークは、ステンレススチール製スポーツウォッチという新機軸で時計界を震撼させ、現在でもブランドの象徴として圧倒的な支持を受けています。

そんなオーデマピゲは世界三大高級時計（他はパテックフィリップとヴァシュロンコンスタンタン）に数えられる名門でありながら、伝統と革新のバランス感覚に優れています。ここ数年は世界的なインフレに伴い定価の値上げが度重なりましたが、それでも需要は衰えず、正規店では入手困難な状態が続いており、中古市場でも高値取引が活発です。それほどまでに人々を惹きつけるオーデマピゲの魅力とは何でしょうか。

本記事では、まず若年層を引き寄せる現代的なデザイン戦略をひも解き、次にオーデマピゲのアイコンである『ロイヤルオーク』誕生の秘話を紐解きます。そして、スポーツモデル10選から見る投資価値と装着性、“クラシカル回帰”を含むサイズトレンド、最後にオーデマピゲの未来展望とラグジュアリーの進化について考察していきます。それでは、時計初心者の方もコレクターの方もぜひ最後までお付き合いください。

若年層を引き寄せる現代的デザイン

近年、オーデマピゲが若者世代から注目を集めている背景には、同社の現代的なデザイン戦略があります。

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例えば、ポップカルチャーとのコラボレーションはその一例です。2021年にはマーベルとの提携による『ロイヤルオーク コンセプト "ブラックパンサー" フライングトゥールビヨン』を発表し、伝統的な高級時計の枠を超えたユニークなデザインで話題を呼びました。続いて2023年には『スパイダーマン』をテーマにしたモデルも登場し、ヒーローを文字盤にあしらう大胆な試みは若い世代や漫画・映画ファンから熱い関心を集めています。

また、音楽やストリートカルチャーへの接近も見逃せません。『ロイヤルオーク オフショア』には、文字盤にグラフィカルなイコライザー模様を配した「ミュージックエディション」が2022年に登場し、カラフルで遊び心あるデザインが若年層に支持されました。こうしたカジュアルで尖ったデザインの裏には、常に高級時計としての品格が保たれているのがオーデマピゲの巧みなところです。

デザイン面だけでなく、マーケティング戦略も若年層を意識しています。InstagramなどSNSを積極的に活用し、新作発表やブランドの世界観をおしゃれな映像で発信しているほか、各国に設けたサロン「APハウス」でコミュニティ作りにも注力しています。憧れの時計という憩いの場を提供し、新世代の富裕層との絆を深める試みは、「モノ」以上の体験を重視する現代のラグジュアリー志向にもマッチしています。

さらに、素材と技術の革新も若い感性に訴えるポイントでしょう。オーデマピゲは他社に先駆けてカーボンやセラミックといった先端素材を時計に採用してきました。また、文字盤カラーも近年はグリーンやライトブルーなどトレンドを捉えたバリエーションを展開しています。2024年の新作テーマは「シェイピング・マテリアルズ（素材の造形）」と銘打たれ、ビビッドな宝石使いや型破りなテクスチャーの組み合わせで「楽しい時計作り」に挑戦しています。こうした果敢な挑戦が、伝統を重んじる従来のファンだけでなく、新たな世代の心も掴んで離さない所以と言えるでしょう。

オーデマピゲの象徴『ロイヤルオーク』誕生秘話

高級スポーツウォッチの代名詞ともいえる『ロイヤルオーク』ですが、その誕生には知られざるドラマがあります。

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1971年、時計見本市の開幕直前に当時のオーデマピゲ経営陣は「革新的なステンレス製スポーツウォッチ」を急遽企画しました。白羽の矢が立ったのが天才デザイナー、ジェラルド・ジェンタ氏です。ジェンタ氏は「一晩でデザインを考えてほしい」という無茶な依頼に応え、わずか一夜でスケッチを描き上げました。誕生したデザインは、伝統的な丸型ケースではなく八角形（オクタゴン）ケースにむき出しのビス、文字盤には細かな格子状の装飾（タペストリー模様）という大胆なものでした。これは彼が幼少期に見た潜水ヘルメットのねじ留めをヒントにしたと言われています。

こうして1972年のバーゼル・フェアで発表された『ロイヤルオーク』「Ref.5402ST」は、当初時計業界に衝撃を与えました。ステンレス製でありながら当時の金無垢時計以上の高価な定価、39mm径の大型ケース、カジュアルなデザイン——従来の高級時計の常識を覆す存在だったのです。名前の「ロイヤルオーク（楢の木）」は、英国海軍の戦艦と国王チャールズ2世の逸話に由来します。八角形ベゼルのデザインが戦艦の舷窓（いわゆる丸窓）を連想させることから命名されました。

発売当初、『ロイヤルオーク』はあまりの斬新さと高価格ゆえに賛否両論で、初年度の売上はわずか数百本とも言われます。しかし次第にその先進性が評価され、エレガンスとスポーティさを兼ね備えた新時代の高級時計として支持を獲得しました。他社も追随し、パテックフィリップの『ノーチラス』(1976年)など高級スポーツウォッチが次々誕生するきっかけにもなりました。『ロイヤルオーク』成功以降、オーデマピゲは世界的な知名度と地位を確立し、現在では同社売上の大半を占める看板モデルへと成長しています。

その後も『ロイヤルオーク』は進化を続け、薄型化や新素材の導入、複雑機構の搭載など多彩なバリエーションを展開してきました。2022年には誕生50周年を迎え、記念の特別ローターを備えた限定モデルがリリースされるなど、節目ごとに話題を提供しています。常に時代をリードしながらもオリジナルデザインのエッセンスを守り抜く『ロイヤルオーク』の存在こそ、オーデマピゲを語るうえで欠かせない象徴なのです。

スポーツモデル10選に見る投資価値と装着性

オーデマピゲのスポーツモデル、とりわけ『ロイヤルオーク』は「着けて楽しめる資産」として高い評価を受けています。ここでは、AIが厳選した10本のモデルを通して、その投資価値と装着性に迫ってみましょう。

*画像はイメージです。

まず押さえておきたいのは、オーデマピゲの時計がなぜ「資産価値が高い」と言われるのかという点です。最大の要因は生産本数の少なさと需要の高さにあります。年間生産は約50,000本程度とされ、世界中の富裕層からの引き合いに対し供給が限られるため、正規店での入手は極めて困難です。中古市場でも常に品薄傾向で、定価の数倍ものプレミア価格で取引されるモデルも存在します。特にスポーツモデルである『ロイヤルオーク』は人気が集中し、安定した高リセールバリュー（再販価値）を維持しています。

とはいえ、高額な時計はコレクションとして飾るだけではもったいないもの。オーデマピゲのスポーツモデルは、その優れた装着性によって実際に日常で身につけて楽しめる点も魅力です。ステンレススチールやチタンなど実用性の高い素材、日常生活に十分な防水性能、そして何より洗練されたラグジュアリー感と堅牢さを両立した設計により、「普段使いできる高級時計」として愛されています。スーツにもカジュアルにも合わせやすいデザインなので、投資的な所有満足感だけでなく、着用する喜びを日々味わえるでしょう。

それでは、具体的に注目モデル10選を見ていきます。

①ロイヤルオーク Aシリーズ Ref.5402ST

モデル概要

1972年に誕生した初代ロイヤルオークRef.5402STは、39mm径×7mm厚の極薄ステンレスケースと八角形ベゼル、六角ビス、一体型ブレスレットで高級時計の概念を刷新した革新作。プチタペストリー文字盤と高い堅牢性、超薄型Cal.2121を備え、ステンレススチールにハイエンドの価値を与えた“ラグジュアリー・ステンレススポーツ”の元祖として時計史に名を刻む。発売当時は異端視されながらも、その工業的美学と軽快な装着感は後続ブランドに計り知れない影響を与えた。

市場価格

近年は流通量が激減し、国内外オークションではA前期のフルセット未研磨品が1億円超を記録。国内相場でも後期個体で800万〜1,200万円、前期や付属完品は1,500万円超が目安。オリジナルダイヤルや裏蓋刻印が鮮明な固体ほどプレミア幅が大きく、希少性は年を追うごとに高まる一方だ。

おすすめポイント

“世界三大時計”の称号を支える象徴であり、デザイン・ストーリー・希少性の三拍子がそろった究極のコレクターズピース。薄型ケースは現行機にも劣らず袖口に収まり、ビジネスでも映える汎用性を発揮。ヴィンテージ市場で枯渇が進むため長期資産としての堅実性も高く、所有するだけでロイヤルオークの原点に触れる特別な体験が得られる。

②ロイヤルオーク “ジャンボ” エクストラシン Ref.16202ST.OO.1240ST.01

モデル概要

2022年、ロイヤルオーク誕生50周年を機に刷新された最新“ジャンボ”。39mm×8.1mmの薄型ケースに新開発自社製ムーブメントCal.7121を搭載、パワーリザーブ55時間とクイックチェンジ機能を実現。伝統の「ナイトブルー、クラウド50」ダイヤルはAPロゴを6時位置に配し、裏蓋からは50周年刻印入り22Kローターが覗く。オリジナルDNAを隅々まで踏襲しつつ、耐磁性や精度を現代基準にアップデートした完成形ロイヤルオークだ。

市場価格

最終正規定価は約435万円だがブティック入手はほぼ不可能だった。デリバリー開始直後は1,500万円超まで高騰し、現在も1,000万〜1,200万円で推移。50周年記念ローター装備の個体はプレミアムが厚く、状態次第では1,300万円台で成約する例も。旧世代Ref.15202STが生産終了したことで需給が集中し、供給は慢性的に不足している。

おすすめポイント

初代の美学を損なわずにムーブメントを刷新した“ジャンボ”エクストラシン。39mmの程良いサイズと8mm台の薄さで装着感は極めて軽快。ブランドを象徴するモデルゆえステータス性が高く、資産保全力も群を抜く。長期にわたり愛用できる実用時計でありながら、コレクションの主役としても輝く万能選手だ。

③ロイヤルオーク オートマティック 41mm Ref.15500ST.OO.1220ST.01

モデル概要

2019年発表のロイヤルオークのスタンダードモデル。41mm径×10.4mm厚のモダンケースに自社製ムーブメントCal.4302を搭載し、約70時間のロングパワーリザーブと毎時28,800振動のハイビートを実現。秒目盛りを省いたグランドタペストリー文字盤は視認性を高め、ケースバックはシースルーとなっている。バランスの取れたサイズ感でビジネスからカジュアルまで幅広く対応。

市場価格

最終国内定価は約330万円。正規店供給は限定的で、中古品はダイヤル色によって差が明確。ブルー文字盤は約700万円、グレー・ブラックは600万円ほどで推移。2022年のピーク時より若干落ち着いたものの、定価の約2倍前後を維持し堅調。

おすすめポイント

ジェンタDNAを感じるロイヤルオークらしさと、41mmの視認性・存在感を両立。最新ムーブ搭載により精度・耐久性・保守性が向上し、オンオフ問わず活躍する万能機。価格帯も他モデルより入りやすく、初めてのロイヤルオークとして最良の選択肢のひとつ。

④ロイヤルオーク クロノグラフ 41mm Ref.26240ST.OO.1320ST.01

モデル概要

ロイヤルオーク50周年に合わせてムーブメントを刷新した最新クロノグラフモデル。41mmケースにフライバック機能付きCal.4401を搭載し、垂直クラッチとコラムホイールで滑らかな操作感を実現。ブルーダイヤルに同色のサブダイヤルを配したスポーティかつ上品で、サファイアケースバックからは記念ローターが覗く。

市場価格

販売当初の定価約440万円。市場流通は少なく、50周年ローターを搭載しており、800万〜900万円で取引。ブルーダイヤルは特に人気が集中。旧ムーブメントCal.2385世代のRef.26331STが600万円台で推移する中、最新ムーブメント搭載でプレミアムが定着している。

おすすめポイント

スポーツクロノグラフの機能美とロイヤルオークのエレガンスを高次元で融合。フライバック付き自社製ムーブメントで将来のメンテも安心。41mmで装着感良好、視認性に優れたダイアルレイアウトは日常使いに最適。安定資産としても期待できる。

⑤ロイヤルオーク ダブルバランスホイール オープンワーク Ref.15407ST.OO.1220ST.01

モデル概要

2016年発表、芸術的なスケルトン文字盤が特徴。41mmステンレスケースに同軸二重テンプCal.3132を搭載し、姿勢差を抑えることで精度と安定性を向上。表裏ともフルスケルトン化された構造は、グレーの地板とゴールド色の二重テンプが映える。視認性確保のため針とインデックスにブラックPVDを施し、デザインと実用性のバランスを追求。

市場価格

定価約1,100万円。年間生産が極わずかなため中古相場はおよそ2,000万円で安定。ブラックセラミック製Ref.15416CEは3,500万円を超える取引例も。供給量が限られる一方、機械芸術として世界的に需要が高く、長期での価格上昇が見込まれる。

おすすめポイント

スケルトンの立体感とダブルバランスの動きを眺められる唯一無二の存在。41mmながら強烈なオーラを放ち、コレクターズピースとして抜群の存在感を誇る。希少性ゆえにリセールリスクが低く、所有欲と資産保全を同時に叶える。

⑥ロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー Ref.26574ST.OO.1220ST.01

モデル概要

2015年登場。41mm×9.5mmの薄型ケースにCal.5134を搭載し、日付・曜日・月・閏年表示、週番号表示、ムーンフェイズを備えたフルスペック永久カレンダー。グランドタペストリーダイヤルとシースルーバックが調和し、スポーツと複雑機構の融合を象徴。

市場価格

定価約810万円。中古はブルー文字盤が1,500万〜1,700万円、シルバーはやや低め。ブラックセラミック製Ref.26579CEは3,000万円を超える。近年の複雑機需要と供給制限で価格は堅調推移、値崩れリスクが低い印象。

おすすめポイント

スポーティーな外装に本格永久カレンダーを搭載した希少モデル。薄型で袖口を選ばず、日常で複雑機構を楽しめる。生産数が限られ資産性も高いため、長期保有に向く実用コンプリケーション。

⑦ロイヤルオーク オフショア “ビースト” Ref.25721ST.OO.1000ST.01

モデル概要

1993年デビューの初代オフショア。42mm×15mmという当時破格の大型サイズで「ビースト」の愛称を獲得。ブルーメガタペストリーダイヤル、ラバープッシャーが武骨さを強調。ムーブメントはCal.2126/2840（ジャガールクルト製Cal.889＋クロノグラフモジュール）で信頼性も高い。

市場価格

中古市場では350万〜500万円。箱・保証書完備かつ未研磨の美品は500万円超で成約。25周年復刻モデルRef.26237ST.OO.1000ST.01発表で再度脚光を浴び、ここ数年で価格は緩やかに上昇。初期個体はプレミアムが大きい。

おすすめポイント

オフショアの原点にして大型スポーツウォッチの象徴。迫力満点のルックスと歴史的意義を併せ持ち、所有するだけで話題を呼ぶ。入手難易度に対し価格がまだ手頃で、オーデマピゲ入門にも最適。

⑧ロイヤルオーク オフショア ダイバー Ref.15710ST.OO.A002CA.01

モデル概要

42mmステンレスケースに300m防水を備えた本格ダイバーズ。10時位置のリューズで操作可能なインナーベゼル、ブラックメガタペストリーダイヤル、ブラックラバーストラップでスポーティーさを強調。Cal.3120搭載で約60時間のパワーリザーブを誇る。

市場価格

定価約300万円。中古黒文字盤は250万〜300万円で推移。同モデルのグリーンやイエロー等のカラーは流通が少なく330万円超。プレミアムは比較的低めで価格変動も穏やか。

おすすめポイント

高い防水性能と視認性を持ちながら、ロイヤルオークの高級感をキープ。夏場のリゾートやスポーツシーンで映え、ラバー仕様で汗にも強い。スポーツモデルの入門機として狙いやすい価格帯も魅力。

⑨ロイヤルオーク コンセプト ラップタイマー Ref.26221FT.OO.D002CA.01

モデル概要

2015年、F1界の英雄ミハエル・シューマッハの発案で誕生した221本限定モデル。44mmフォージドカーボンケースとブラックセラミックベゼルに、スプリットセコンドクロノグラフにより連続したラップ計測が可能なCal.2923を搭載。未来的デザインとプッシャーが放つモータースポーツの雰囲気が特徴。

市場価格

中古流通は極めて希少で、状態にもよるが2,000万〜2,500万円で推移。シューマッハゆかりのシリアルや未使用級はさらに上乗せされ、オークションでは3,000万円近い例も報告。

おすすめポイント

世界初機構と超限定生産が生む圧倒的希少性。フォージドカーボンで軽量かつ堅牢、長時間の装着も快適。時計技術とF1の融合を体現するアイコンとして、収集家なら一度は手にしたい夢の一本。

⑩ロイヤルオーク オフショア “エンド オブ デイズ” Ref.25770SN.OO.A001KE.01

モデル概要

1999年公開の映画『エンド・オブ・デイズ』とのタイアップで500本限定製造。42mmブラックPVDスチールケースとイエロー夜光アラビアインデックス、ケブラー製ベルクロストラップが軍用ギアを思わせる。シュワルツェネッガーが劇中で着用し話題を呼んだ。

市場価格

中古市場で約400万〜500万円で推移。箱と限定証明書完備は600万円超の成約例も。2023年のブラックセラミック製Ref.6420CE.OO.A005VE.01の復刻でオリジナルの希少性が再注目され、相場は堅調。

おすすめポイント

APとハリウッドの草分け的コラボ。ブラックPVD×イエローの独特な色調は現在でも新鮮で、ストリートファッションとの相性も抜群。限定500本の希少性とストーリー性で、差別化を求めるコレクターに最適。

“クラシカル回帰”とサイズトレンド

次に注目したいのが、腕時計のサイズトレンドです。近年「クラシカル回帰」と呼ばれる流れもあり、高級時計の世界にも“小径化”の復権が感じられます。

*画像はイメージです。

もともとヴィンテージの時代には、男性用腕時計でも直径30〜36mm程度が一般的でした。そのため1972年当時、39mm径の『ロイヤルオーク』は「巨大」と受け止められたのですが、その後は時計全体が大型化の一途をたどります。1990年代以降は40mm超えが当たり前、2000年代には『 ロイヤルオーク オフショア』のように42〜44mm級、他社でも47mm級のモデルが登場するなど、“デカ厚（でかあつ）”ブームが全盛となりました。

しかしここ数年、風向きが変わりつつあります。時計愛好家の間でヴィンテージウォッチの人気が高まる中、装着感や上品さを重視してあえて小ぶりなサイズを好む層が増えているのです。オーデマピゲもその潮流を受け、小径モデルの拡充を図っています。2020年には『ロイヤルオーク オートマティック』に34mmモデルが追加され、従来はレディース向けとされたサイズを男性が選ぶケースも出てきました。また、従来44mmが主流だった『ロイヤルオーク オフショア』は、最新世代では43mmへとダウンサイジングされ、デザイン面でも装着性に配慮されています。

さらに注目すべきは、技術の進歩が小型時計でも高度な機構を可能にしている点です。2022年には『ロイヤルオーク “ジャンボ” エクストラシン』の37mmモデルにトゥールビヨンを搭載した例があり、かつては大型ケースでしか実現できなかった複雑機構も今や小径モデルで楽しめるようになっています。業界全体でも、例えば2023年〜2024年にかけて他ブランドが36〜38mmの新作スポーツモデルを相次ぎ発表しており、Watches & Wonders 2025の潮流報告でも「ケースサイズの小型化」がトピックとなりました。

このように“クラシカル”なサイズ感が再評価されている背景には、時計そのものの価値観の変化があります。ただ大きく派手なだけでなく、自分の腕に心地よく収まり長時間着けても疲れないサイズが見直されているのです。小径モデルはビジネスシーンでも品格を保ちやすく、また女性とシェアできるユニセックスな魅力もあります。オーデマピゲが培ってきた洗練されたデザインは、小さく纏まっても失われることなく、そのまま腕上で輝きを放ちます。今後もこのサイズトレンドは続くと予想され、メーカー側もより多様なサイズ展開でユーザーの選択肢を広げていくでしょう。

オーデマピゲの未来展望とラグジュアリーの進化

最後に、オーデマピゲのこれからについて考えてみましょう。新CEOのイラリア・レスタ氏の下、同社は伝統を尊重しつつも大胆な変革を進める姿勢を鮮明にしています。

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2025年、創業から150年という節目を迎えたオーデマピゲは、まさに「次の100年」を見据えた取り組みを加速させています。一つは製品面でのさらなるイノベーションです。2024年に示された「シェイピング・マテリアルズ」というテーマに象徴されるように、新素材の追求や意表を突くデザインを積極的に展開しています。たとえば最新の新作では、伝統の深い青色「ナイトブルー、クラウド50」を纏ったセラミック製『ロイヤルオーク』が発表され、クラシックな要素と未来技術の融合が話題となりました。

同時に、ラグジュアリーブランドとしての在り方も進化しています。単に希少な時計を作るだけでなく、その希少性を正しく届けるための施策として直営ブティック網の拡充やデジタル戦略にも力を入れています。オーデマピゲは既に正規販売店での販売を縮小し、自社ブティックや会員制サロンで顧客との直接的な関係構築を図っています。これによりブランドの世界観や価値観をより深く共有し、「モノ消費」から「コト消費」へと移る時代の富裕層にアプローチしています。また、アートや音楽への支援を通じたカルチャー発信も続けており、単なる時計メーカーの枠を超えたブランド体験を提供している点も特筆されます。

環境・社会への配慮も今後重要なテーマです。オーデマピゲでは創業地であるル・ブラッシュの自然保護に取り組む「オーデマピゲ財団」を持ち、森林再生など長年にわたるCSR活動を展開しています。ラグジュアリーブランドに求められる社会的責任が高まる中、このような姿勢は次世代の顧客にも強いアピールとなるでしょう。持続可能性を意識した素材調達や製造プロセスの透明化など、時計業界全体での課題にも積極的に取り組んでいくと考えられます。

こうした展望の中で変わらないのは、オーデマピゲが掲げる「伝統と最先端の二律背反（にりつはいはん）を融合させる」というスピリットです。超複雑機構や芸術的な装飾において極致を追求しつつ、それらを実用的なスポーツウォッチに落とし込む手腕は同社ならではのものです。市場動向やトレンドに柔軟に対応しながらも、妥協なきものづくりへの情熱は不変でしょう。今後もオーデマピゲは我々に驚きと喜びを与えてくれるに違いありません。新作発表や経営方針から目が離せない存在であり続けるでしょう。

まとめ

オーデマピゲは、伝統に培われた確かな品質と革新的なデザイン精神を兼ね備えた稀有なブランドです。若者を惹きつける現代的アプローチから『ロイヤルオーク』の不朽の名作ぶり、資産価値と実用性を両立させたモデル展開、さらには業界全体をリードするサイズトレンドの変化や未来へのビジョンまで、常に話題の中心にいます。高級時計初心者の方にとっても、その魅力は十分に感じられるでしょうし、経験豊富なコレクターにとっても改めて惚れ直すポイントが多々あるはずです。

時代と共にラグジュアリーの定義が変化する中で、オーデマピゲはそれに寄り添い、そして一歩先んじて進化を遂げています。その姿勢こそが150年近くにわたり愛されてきた所以であり、今後も揺るがぬブランドの強みでしょう。ぜひこの機会に、オーデマピゲというブランドの奥深さと魅力に触れてみてください。腕時計という小さな世界に凝縮された芸術と情熱が、きっとあなたの心にも響くはずです。