機械式時計を選ぶ際、皆さんはどこに注目されるでしょうか。
多くの方は"デザイン性"や"機能性"、"資産性"とお答えになると思います。もちろん見た目やリセールというのは非常に大事なポイントになりますが、ここにブランドやモデルの歴史的背景、年代毎のマイナーチェンジなど、知識や理解が増えることで、さらに時計が好きになり、選ぶ楽しみを味わえるのではないでしょうか。
本コラムでは、初心者、上級者を問わず、機械式時計に関する知識を一つでも多くお伝えし、皆さまの時計選びの参考となるよう徹底解剖、徹底解説してまいります。
今回は【ロレックス】『サブマリーナー』「Ref.114060・Ref.124060」にフォーカスを当ててお話ししていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
第七・八世代サブマリーナーRef.114060、Ref.124060
第七世代 Ref.114060〜基本スペック〜
第六世代の『サブマリーナー』「Ref.14060M」は2012年まで製造されましたが、その後継機として2012年に登場したのが、第七世代にあたる「Ref.114060」です。そして、2020年には第八世代となる「Ref.124060」が登場しました。それでは、まず第七世代に当たる「Ref.114060」から詳細をみていきましょう。
製造年: 2012年〜2020年
ケースサイズ: 40mm
ベゼル: 逆回転防止式(セラクロム製インサート)
風防: サファイアクリスタル
防水: 300m防水
ブレスレット: オイスターブレス(97200)
ムーブメント: Cal.3130
振動数: 28,800振動
「Ref.114060」は、『サブマリーナー』のノンデイトモデルとして初めてセラクロムベゼルを採用したモデルです。また、ムーブメントには「Ref.14060M」と同じCal.3130
(ヒゲゼンマイに変更あり)を搭載していますが、ケースデザインやブレスレットの強化により、全体的に堅牢な意匠へと進化しました。
①ケース・ブレスレット
「Ref.114060」から採用された「スーパケース」は、従来の40mm径ながらも、ラグやリューズガードが大きくなったことで、視覚的なボリューム感が増しています。この変更により、より力強い印象のデザインとなり、現代的なスタイルへと進化しました。
また、ブレスレットにはグライドロッククラスプが搭載されており、工具不要で微調整が可能になりました。これにより、着用感の向上だけでなく、ダイビング時の利便性も向上しています。グライドロックシステムの延長幅は2mm単位で最大20mmまで変更が可となっています。加えて、ブレス中央のコマも無垢仕様になったため、着用時の重量感が増しているのも特徴の一つです。
また、2015年ごろ(7月以降)に、バックルのクラスプ部分がザラザラとした梨地仕上げから、鏡のようなポリッシュ仕上げに変更されたことで、保証書がないと年式の確認ができないランダム番でも、クラスプを確認することで大まかな年式がわかるようになっています。
②ベゼル
「Ref.114060」では、それまでのアルミ製インサートから「セラクロム(セラミック)製ベゼル」へと変更されました。このセラクロムベゼルは傷に強く、紫外線による色褪せも起こりにくいため、長期間にわたり美しい状態を維持することができます。目盛り部分はプラチナコーティングが施され、高級感のある仕上がりになっています。紫外線による色褪せが起こりにくいので、前モデルまでにみられるような経年変化は起こらないと思われます。
③ダイヤル
ダイヤルデザインに大きな変化はなく、6時位置には「SWISS MADE」表記が継続されています。もっとも目を引く違いとしては、インデックスや針の大型化による視認性の向上ではないでしょうか。インデックスは、メタルフレームで囲まれたクロマライト夜光が採用されており、暗所でブルーに発光します。クロマライトは従来のルミノバよりも発光時間が長く、視認性の向上に貢献しています。
第七世代まとめ
「Ref.114060」は前モデルと比べて、ケースサイズや防水性能などの基本スペックはそのままに、ラグの幅やリューズガードのサイズ変更などにより、視覚的なサイズ感のアップや堅牢性が向上しています。インデックスや針の夜光にクロマライトが使用されることにより、暗所での視認性もアップ、実用性が増したのが「Ref.114060」といえるでしょう。
2012年から製造されていますが、G番から存在しており、2020年までの約8年間製造されました。その間、2014年に保証書のデザイン変更、2015年にクラスプの仕上げが変わるなど、年式や仕様の違いによって価格も異なりますので注意が必要です。
第八世代 Ref.124060〜基本スペック〜
「Ref.124060」は、『サブマリーナー』シリーズの現行ノンデイトモデルで、ケースサイズが41mmに拡大されたことが最大の特徴です。さらに、ムーブメントがCal.3230に変更されたことで、パワーリザーブが約70時間に向上しています。
製造年: 2020年〜現行(2025年現在)
ケースサイズ: 41mm
ベゼル: 逆回転防止式(セラクロム製インサート)
風防: サファイアクリスタル
防水: 300m防水
ブレスレット: オイスターブレス(97JB00)
ムーブメント: Cal.3230
振動数: 28,800振動
①ケース・ブレスレット
「Ref.124060」では、ケースサイズが41mmに変更されました。とはいえ、ラグの幅が細くなったため、装着感としては「Ref.114060」と大きくは変わらず、むしろバランスが良くなったと評価されているようです。ブレスレットも、ラグ幅が広がることで全体的なプロポーションが整い、デザイン面でもより洗練された印象となりました。前モデルからグライドロックシステムは引き継がれ、サイズ調整幅も2mm単位で最大20mmという点に変更はありません。
②ムーブメント
「Ref.124060」では、Cal.3130から最新のCal.3230へと変更され、性能が大幅に向上しました。このムーブメントは、【ロレックス】が独自開発した「クロナジー・エスケープメント」を搭載しており、エネルギー効率が向上。従来の48時間パワーリザーブから約70時間へと延長されました。また、耐磁性や耐衝撃性も強化されており、より高い精度を維持することが可能になっています。
③デザインの微調整
ダイヤルデザインやベゼルは基本的に「Ref.114060」を踏襲していますが、細かい部分での改良が見られます。特にインデックスや針がわずかに太くなり、視認性がさらに向上しました。夜光は引き続きクロマライトが採用されており、暗所での視認性の良さも健在です。また、32系の新キャリバー搭載モデルのダイヤルデザインの特徴として、6時位置の「SWISS MADE」表記の間に王冠マークが入った仕様に変更されています。
第八世代まとめ
「Ref.114060」は、従来から踏襲している40mmのケースサイズとシンプルなデザインが魅力ですが、「Ref.124060」は41mmへとサイズアップしつつも、ラグ幅の調整で装着感が向上しています。また、Cal.3230による約70時間のロングパワーリザーブは、ウィークエンドプルーフ (耐週末)を備えており、日常使いするにあたって大きなメリットといえるでしょう。まだ生産開始から5年ほどで、価格の違いは、シンプルに付属品の有無や年式の違い、個体のコンディションではっきりと分かれる印象です。
まとめ
どちらのモデルも魅力的で、『サブマリーナー』の完成形ともいえる2本。
自分のスタイルや利用シーンに合わせて、最適な一本を選んでみてはいかがでしょうか?
また次の記事でお会いしましょう!
ではまた!