みなさま、こんばんは!
機械式時計について技術者視点で語る本コラム。第7回となる今回は、
『ブレスレットのサイズとバランスについて』
こちらをテーマにお話ししていきます。
ブレスレットと言っても、各社毎に工夫がなされた様々な形状のブレスレットが存在しておりますが、今回はその中でも代表的な【ロレックス】のオイスターブレスレットを例に、最適なブレスレットのサイズ感、6時側12時側のバランスに関してお話していきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください!
ブレスレットのサイズ調整
1. 適切なゆとりとは?
腕周りの実寸に対して、どれくらいのゆとりを持たせるのがベスト?と、初めて高級腕時計を購入される方は、特に不安が多くあることと思います。店頭でもブレスレットのサイズに関してよく質問を受けますが、
写真のように、一般的には「腕周り実寸+5mm」程度が適切なサイズと言われています。ちなみに、当店にて通信販売でご購入いただいたお客様の時計は、腕周りのこの"+5mm"を基本に調整しており、大体小指1本が入る程度の隙間が空くイメージです。ただもちろん、フィット感の好みは人それぞれ異なりますので、これをベースにぴったり目が好きな方、ゆったり目が好きな方それぞれ微調整していただければと思います。
注意点は、腕周りに対してゆとりが大き過ぎると、着用時に時計が前後左右に動くことでブレスレットの摩耗が進んでしまうこと。特に4桁、5桁品番の【ロレックス】のブレスレットは、現行モデルに対して摩耗(伸び)が出やすくなっていますので、あまりゆとりが大き過ぎる着用サイズはオススメできません。十分にご注意ください。
2.ブレスレットのバランス
ブレスレットのフィット感は、サイズ(内径)が同じでも6時側、12時側の長さのバランスによっても大きく変わってきます。
最適なバランスは、時計本体とクラスプの板が平行になる状態と言われています。またサイズ的にどちらか一方が短くなる場合、6時側を短くした方が装着感が良くなります。これは、人間の手首は楕円形のため、6時側の駒が長いと時刻を確認する際に、時計本体が手首の外側を向いてしまうことによるものです。
しかし、4、5桁品番用のオイスターブレスレットは構造上、6時側の駒数を5駒より短くすることが出来ません。そのため多くの細腕(腕周り17cm以下)の方は6時側が長い状態で使用せざるを得なくなります。
これを解消する『裏技』としては「ブレスレットの6時、12時を逆向きに取り付ける」こと。ブレスレットを逆向きに取り付けると、6時、12時のバランスも逆になりますので装着感が改善されます。当然、クラスプ開閉の向きも逆になりますので着脱時の慣れこそ必要ですが、時計が手首の外側を向いてしまうことがどうしても気になる方は、一度試してみる価値はあると思います。
6桁品番以降のオイスターブレスレットは、女性や細腕の方でも適切なバランスに調整できるよう、外せる駒数が増えています。またイージーリンク、グライドロックと言ったワンタッチでブレスレットのサイズを変更できる機能も追加されておりますので、幅広い腕周りサイズの方に最適な着用感が得られると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
腕周りの好みは、サイズや手首の形状等、一人一人異なりますが、最適なフィット感が得られているかによって、時計への愛着も大きく変わってくるかと思います。本記事を参考に、お持ちの時計のサイズ、バランスを再確認していただければと思います。
本記事が皆さまにとって有益な情報となり、高級腕時計に対する興味が少しでも沸いたようであれば、幸いでございます!また、ご不明点は直接ご質問いただければお答えしますので、みなさま是非ご来店、お問い合わせをお待ちしております。
次回もお楽しみに!ではまた!