皆さん、こんにちは。
夏も本番を迎え、蒸し暑い日が続いていますね。お盆休みも近づいてきて外出のご予定がある方も多いことと思います。帰省や旅行の際にはくれぐれも体調にはお気をつけください。
さて今回は、【2022年最新版】機械式腕時計 ”グランドセイコーのおすすめモデル10選”と題し、国産時計ブランドの雄である【グランドセイコー】を取り上げたいと思います。前回の2021年版を書いたのが2021年1月。決してサボっていたわけではないのですが、「おすすめ〇〇選」を執筆するのは久しぶりなので大変ワクワクしております。選定する難しさとおすすめ時計として紹介する責任は大きいのですが、その分書いていて楽しいのです。
【2022年最新版】のおすすめモデルは、前回選定したモデルを省いております。前回のYouTubeをご覧になられていない方は、この機会に是非あわせてご視聴いただけますと幸いです。
前置きが長くなりましたが、近年の【グランドセイコー】の真摯なモノづくりに国内外問わず称賛の声が挙がっています。2022年7月28日に日本支社を開設した「クロノ24」においても、2021年の人気ブランドランキングで世界三位(検索数およびリクエスト数)にランクインするほどの人気ブランドとなりました。これは、2017年の独立ブランド化戦略の成功と、従事する技術者やスタッフのたゆまぬ努力の賜物だと思います。
それでは、2022年新作、過去発表モデル、海外限定モデルを含めて、私が本当におすすめしたいと思うモデルを厳選して紹介していきます。最後まで是非お楽しみください。
*海外限定の場合の参考定価については、該当地域の通貨で表記しております。
- ①『エボリューション9 水面』「Ref.SLGA007」
- ②『エボリューション9 白樺』「Ref.SLGH005」
- ③『エボリューション9 白樺』「Ref.SLGH017」
- ④『メカニカルハイビート36000 60周年記念モデル』「Ref.SLGH003」
- ⑤『エレガンスコレクション 透漆』「Ref.SBGK002」
- ⑥『ヘリテージコレクション 春分 花筏』「Ref.SBGA443」
- ⑦『ヘリテージコレクション 勝色』「Ref.SBGA469」
- ⑧『メカニカルハイビート36000 霜降』「Ref.SBGH295」
- ⑨『エレガンスコレクション』「Ref.SBGK009」
- ⑩『エレガンスコレクション 龍泉洞』「Ref.SBGK015」
- ◆ まとめ
①『エボリューション9 水面』「Ref.SLGA007」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/slga007
【セイコー】創業140周年記念モデルとして発表された『エボリューション9 水面』「Ref.SLGA007」。
1967年発売の「44GS」を現代的に解釈した「Series 9」デザインに、最新スプリングドライブ「Cal.9RA2」を搭載したモデルです。セイコーエプソン株式会社が有する塩尻事業所「信州 時の匠工房」。そこからほど近くに位置する諏訪湖の水面をモチーフに製作された「ミナモブルー」ダイヤルは、深い濃淡や陰影が非常に美しい表情となっています。また、諏訪湖の水面に差す光を連想させるゴールドカラーの秒針とブランドロゴが、素晴らしいアクセントになっています。2021年に、西暦と同じ2021本限定(日本国内は500本のみ)でリリースされましたが、あっという間に正規販売店からその姿を消しました。当店でも入荷後すぐ販売完了してしまう印象が強く、【グランドセイコー】の数あるモデルの中でも人気筆頭のモデルです。マット調の質感を持ったブルーダイヤルをお探しの方におすすめしたいモデルです。
参考定価(販売当初):990,000円(税込)
②『エボリューション9 白樺』「Ref.SLGH005」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/slgh005
「白樺」というと、2022年に新たに発表された最新スプリングドライブムーブメント「Cal.9RA2」を搭載した「Ref.SLGA009」を思い起こす方もいらっしゃることと思います。
しかし、今回おすすめするのは、時計界のアカデミー賞とも称されるジュネーブウォッチグランプリ(GPHG)のメンズウォッチ部門を受賞した、同ブランドの代表作ともいえるモデル『エボリューション9 白樺』「Ref.SLGH005」。
2021年の発表当時より根強い人気を誇るこちらは、ご承知のように「白樺」の愛称で親しまれています。「グランドセイコースタジオ雫石」近くに群生する日本有数の白樺林。公式ホームページでも「生命力あふれる荘厳な白樺林をダイヤルに表現」と謳っていますが、逞しく自然に根を張る白樺の力強さが表現されたダイヤルが最大の特徴です。シルバーダイヤルに映える、熟練の職人が手作業で仕上げるブルースチール針のコントラストも非常に美しいですね。
でもなぜ「Ref.SLGA009」ではなく、「Ref.SLGH005」をおすすめするのか。それはダイヤルの風合いが個人的に初代「白樺」の方が好みだからです。もちろん、どちらも心惹かれるダイヤルなのですが、前者はホワイト寄りのカラーリングで繊細な白樺。後者はシルバーが強くザクザクとした質感が表現された逞しく自然を生きる白樺という印象。搭載ムーブメント(メカニカルハイビートとスプリングドライブ)も異なりますし、お好みでどちらを選ばれても後悔しないモデルだと思います。ここのところ、メーカーからの供給と市場流通量も増えたためか、並行価格も落ち着いてきましたので、そういった点でもおすすめです。
【グランドセイコー】といえば「白樺」。「SBGA211」雪白ダイヤルとともに、アイコンウォッチと呼ばれる存在になりうる意匠だと思いますし、既にそう考えている方も多いのではないでしょうか。
参考定価:1,045,000円(税込)
③『エボリューション9 白樺』「Ref.SLGH017」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/slgh017
続いても『エボリューション9 白樺』から、2022年8月に発売予定の「Ref.SLGH017」。
高級腕時計といえば、ブランド問わず多くのモデルでブラックダイヤルを使用しています。こちらは、「夜闇に浮かび上がる白樺林にインスパイアされたダイヤル」と謳われていますね。白樺の質感は力強さを感じる「Ref.SLGH005」と似ていて、ダイヤル表面にシルバーの陰影を残すことで、ブラックだけではない異なる表情を見せてくれることでしょう。搭載ムーブメントは、「Ref.SLGH005」同様にメカニカルハイビートムーブメント「Cal.9SA5」を採用していますが、大きな違いはなんといっても使用されている素材です。『エボリューション9』のケース・ブレスレットにブライトチタンを使用しており、アレルギーに配慮されている点や軽量化が図られております。また、ステンレス製の「Ref.SLGH005」の重量が178グラムに対し、「Ref.SLGH017」は114グラム。【グランドセイコー】の時計は重さを感じられる方も多いと思いますが、そういった方へもおすすめできるモデルとなっています。ダイヤルの表情も含めて、おすすめの一本です。
参考定価:1,210,000円(税込)
④『メカニカルハイビート36000 60周年記念モデル』「Ref.SLGH003」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja
【グランドセイコー】誕生60周年を記念して、2020年に1000本限定でリリースされた『メカニカルハイビート36000 60周年記念モデル』「Ref.SLGH003」。
2020年に開発されたムーブメント「Cal.9SA5」を搭載したこちらは、自動巻時計の精度に関わる”テンプ”という部品が毎時36,000回(毎秒10回)振動し、外的影響を受けにくく、時計の精度が安定して高精度(平均日差+5〜-3秒)を実現しています。ほとんどの自動巻時計は、毎時28,800(毎秒8回)振動か、毎時21,600(毎秒6回)振動となるため、このムーブメントがいかに早い速度で動いているのかご理解いただけると思います。スイスの高級腕時計メーカーでも36,000振動のキャリバーを製作できるのは限られたメーカーのみ。【グランドセイコー】の技術力の高さが伺えますね。
更にはその美しい配色と質感にも注目です。差し色として使われている秒針の赤、ゴールドのブランドロゴ、光の加減や角度によって表情を変える”グランドセイコーブルー”ダイヤルと、このコントラストは美しいの一言に尽きます。”水面ブルー”とは異なる、サンレイ仕上げのブルーダイヤルをお探しの方に、是非おすすめしたいモデルです。
参考定価(販売当初):1,100,000円(税込)
⑤『エレガンスコレクション 透漆』「Ref.SBGK002」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/news/20190205
2019年に150本限定でエレガンスコレクションとして発表された『エレガンスコレクション 透漆』「Ref.SBGK002」。
最大の特徴は【グランドセイコー】初となる伝統工芸”漆芸”をダイヤルに採用していること。漆の材料は生産量が限られている希少性の高い純国産の漆を使用。国産と外国産では質感やツヤなどに大きな違いがあるため、その値段差はおよそ10倍にもなるようです。制作場所である日本有数の高級機械式時計専門工房「雫石高級時計工房」は、日本の漆産地の大半を占める岩手県二戸市に隣接しており、この工房で漆ダイヤル製作のアイデアが出たことを想像すると、とてもロマンを感じますね。金沢の漆芸家である田村一舟(たむらいっしゅう)氏が、加賀漆芸の高蒔絵(漆で絵柄を描いて盛り上げた上に金粉などを蒔き、立体的に仕上げる技)を施し、【グランドセイコー】の粋を集めた一本だと思います。
【グランドセイコー】初となるスモールセコンドを搭載した手巻メカニカルムーブメント「Cal.9S63」を搭載し、3時位置にはパワーリザーブ表示がついています。当店でも一度だけ入荷したことがあり、大変心打たれたダイヤルでしたので今回ご紹介させていただきました。
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/news/20190205
また、朱色が美しい透漆「Ref.SBGK002」だけでなく、黒漆をダイヤルに採用した「Ref.SBGK004」も2019年に同時リリースされています。
参考定価(販売当初):3,520,000円(税込)
⑥『ヘリテージコレクション 春分 花筏』「Ref.SBGA443」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbga443
日本特有の季節の移ろい、二十四節気がもたらす束の間の美をダイヤルに宿すコレクションラインのひとつ『ヘリテージコレクション 春分 花筏(はないかだ)』「Ref.SBGA443」。
当初、アメリカ限定で「ジャパン・シーズンズ・スペシャル・エディション」として発売されていた一本ですが、逆輸入モデルとして日本で2022年より発売されることとなりました。桜の花びらが水の上で踊っているかのような情景をイメージした、淡いピンクのダイヤルカラーが特徴です。写真と実機では印象が異なり、シルバーダイヤルがほんのりとピンクがかっているような上品な色合いのため、ビジネスシーンでも活躍してくれそうです。ご夫婦やカップルで兼用時計としてご使用されるのもおすすめです。
花筏は弘前公園の外濠が有名ですが、公式サイトのイメージ画像もその情景を切り取ったものと思われます。水面に散った桜の花びらは、桜の絨毯(じゅうたん)とも呼ばれ、その儚い桜の美しさをダイヤルに表現した、【グランドセイコー】らしい日本の美を体現した一本です。
参考定価:759,000円(税込)
⑦『ヘリテージコレクション 勝色』「Ref.SBGA469」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbga469
深く美しい藍色のダイヤルが印象的な、グランドセイコーオンライン専用モデル『ヘリテージコレクション 勝色』「Ref.SBGA469」。
ダイヤルの深く美しい藍色は「勝色(かついろ)」と呼ばれ、藍染め技法の中でも最も深い色の一つとされている色に由来しているそうです。武士たちの間で勝負事の縁起担ぎに良い色として広まったそうで、鎧や胴着などにも使われた勇ましい色とのこと。
また、岩壁を彷彿とされる模様(巌型打ち)が採用されたダイヤルは、自然の岩壁が持つ雄大さと、採石によって自然の力を営みに生かしてきた人々の情熱と英知にインスピレーションを得て、熟練技師の彫刻技法によって生み出された独特な模様を表現したもの。その巌型打ち模様と日本人には馴染み深い藍色は形容できない美しさです。残念ながら、オンライン限定での発売ですので現物をブティックで確認できないのが難点ですが、2021年11月時点で大阪心斎橋ブティックで展示されていたようですので、気になる方は問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。スプリングドライブを搭載し、藍色の美しいダイヤルに加え、価格も抑えられており、デイリーユースにおすすめの一本です。
参考定価:572,000円(税込)
⑧『メカニカルハイビート36000 霜降』「Ref.SBGH295」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/us-en/collections/sbgh295g
初霜が降りる時期「霜降(そうこう)」をモチーフに製作された『メカニカルハイビート36000 霜降』「Ref.SBGH295」。
こちらは2022年に発表されたアメリカ限定モデル。初霜が降りる頃の澄み切った青空をイメージして作られ、美しいアイスブルーダイヤルには「雲母摺(きらずり)」と呼ばれる浮世絵版画の技法が用いられています。鉱物の一種である雲母や貝殻の粉を用いて背景を塗る「雲母摺」は、温かみを持った上品な光沢が特徴。ムーブメントには毎時36,000振動(毎秒10振動)という高速振動により、外的影響に強く、姿勢差による精度差や日差のばらつきを抑え、より安定した高精度を実現する「Cal.9S85」が搭載されています。北米限定モデルのため、国内の出回りはほとんどありませんが、ダイヤルの質感、カラーともにイチオシのモデルです。
参考定価:USD 6,900
⑨『エレガンスコレクション』「Ref.SBGK009」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbgk009
2019年に発表された、全体的に滑らかな丸みを帯び、柔らかい印象を受けるドレスウォッチ『エレガンスコレクション』「Ref.SBGK009」。
デュアルカーブサファイアガラスは、両面から徹底的に磨きこまれることで、かつてのプラスチック風防のような歪みのないドーム形状を実現しています。1970年代のクラシックな【グランドセイコー】のブレスレットデザインを踏襲した、しなやかな9連リンクのブレスレットは、現在使われることの多い3連ブレスレットとは異なる魅力を備えています。クラシカルなブレスレットと現代のエッセンスを取り入れたケースを組み合わせることで、これほどまで新鮮に映るとは正直驚きですね。ダークグレーのダイヤルは、陽の光や照明の加減などにより、ブラックやチャコールなど、控えめながら様々な表情を見せてくれます。手巻機械式ムーブメントとしては8年ぶりに新開発された、薄型手巻メカニカルムーブメント「Cal.9S63」を搭載し、あまり脚光を浴びていませんが、ドレスウォッチでありながら、スポーティーさも感じられる【グランドセイコー】の隠れた名作です。
参考定価:935,000円(税込)
*出典元:https://grandseikogs9club.com/chronicle-9/sbgk015-ryusendo-sbgk017/
2022年、同様の意匠を携え「南部鉄器」をモチーフに製作された「Ref.SBGK017」アメリカ限定モデルもリリースされています。
参考定価:USD 8,900
⑩『エレガンスコレクション 龍泉洞』「Ref.SBGK015」
*出典元:https://grandseikogs9club.com/chronicle-9/sbgk015-ryusendo-sbgk017/
最後にご紹介するのは、2022年の新作で「龍泉洞」をモチーフに製作された『エレガンスコレクション 龍泉洞』「Ref.SBGK015」。
アメリカ限定で300本でリリース予定のこちらは、青く澄んだ地底湖(「龍泉洞」)をイメージして作られたダイヤルに、美しいギョーシェ彫りが施されています。「龍泉洞」は岩手県にある日本三大鍾乳洞のひとつで、洞窟内水深120mに及ぶ地底湖は、世界有数の透明度を誇っております。ストラップはダークブルーのクロコダイルストラップとステンレスブレスレットがあり、シーンに合わせて付け替え可能なところも嬉しいですね。人気のブルーカラーですので、逆輸入に期待したいところです。
参考定価:USD 7,500
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本の美をダイヤルに落とし込み、海外限定モデルも多くリリースしている【グランドセイコー】は、独自の哲学を反映し、丁寧な仕事を続け、海外ファンも増加し、その人気はますます加速することでしょう。また、【グランドセイコー】の限定モデルは、比較的相場も安定しており、プレミアム化している傾向があります。欲しい限定モデルがある方は早めに押さえておくことをおすすめします。
日本の技術力と伝統文化を融合させた国産ブランド【グランドセイコー】。今後ますます日本文化の発信とブランドの飛躍に期待していきたいですね。
ではまた!