映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第96弾の今回は、「クライヴ・オーウェンの腕時計」をお送りします。

*出典元:https://www.thetimes.co.uk/

大ヒットアクション映画『ボーン・アイデンティティー』(2002)に登場する寡黙な殺し屋「教授」役で注目されたクライヴ・オーウェンは、男臭さとミステリアスさ兼ね備えた、往年のハリウッドスターのような雰囲気を漂わせる「古き良き男前」。抑えた演技ながら凄腕のガンマンから天才ヴァイオリニスト、普通の市民まで幅広く演じ分け、強い印象を残すイングランド出身の実力派俳優です。

今回は、そんなクライヴ・オーウェンが劇中で着用した腕時計に注目して参ります。

チャット 〜罠に堕ちた美少女〜

TRUST(2010)

*出典元:https://www.reviewstl.com/

14歳を迎えたアニーの誕生日。父親のウィル(クライヴ・オーウェン)から贈られたプレゼントはノートPCだった。その日からネット上のオンラインチャットで大勢と知り合ったアニーは、16歳の少年チャーリーと親しくなる。数ヶ月後、地元のシカゴでチャーリーと会う約束をしたアニーは、両親に隠れて待ち合わせの場所に向かうが、そこに現れたのはチャットの写真やプロフィールとは全く別人の中年男性だった。

その後、アニーの異変に気付いた親友が学校の教師に相談したことでレイプ事件として捜査が開始されるが「私たちは愛し合っていた」と、被害者であることを認めないアニー。事件解決の為にも被害者であることを娘に認めさせたいウィルとアニーの溝は深っていき、家族の絆も失われていく、、、

*出典元:https://m.imdb.com/

性犯罪の被害者となってしまった娘を救うために苦悩する父の姿を描いた犯罪ドラマ『チャット 〜罠に堕ちた美少女〜』(2010)。本作でクライヴ・オーウェンは、パネライ ルミノール1950 8デイズ クロノ モノプルサンテ GMT(Ref.PAM00311を着用しています。

サンドイッチ文字盤のパネライは「強く優しき父親」に似合う一本。同時に「強く優しき父親」ですら家族を守ることが難しい、ネット社会の怖さを際立たせる一本にもなっています。

ANON アノン

ANON(2018)

*出典元:https://techstory.in/

人間の記憶が公的に記録されるようになり、人々のプライバシーや匿名性が失われた替わりに、犯罪が激減した近未来のニューヨーク。記録された人々の記憶の閲覧を許可され、データ参照により数々の事件を解決してきた一級刑事のサル(クライヴ・オーウェン)は、ある朝、街中で記憶データを参照できない女(アマンダ・セイフライド)とすれ違う。

情報閲覧ができなかったのは気のせいと思い込もうとしたサルだが、その直後、近年ほとんど起きることのなかった殺人事件発生の知らせを受け、その女の仕業ではないかと直感する。被害者の視覚をハッキングし、誰の記憶にも残らず犯行を繰り返す連続殺人鬼の捜査を開始したサルは、次第に「記憶」を巡る事件の中に迷い込んでいく。

*出典元:https://www.spotern.com/

人々の記憶が記録・共有された社会で起きる凶悪犯罪を描いたSFサスペンス『ANON アノン』(2018)。本作で事件を追う刑事を演じたクライヴ・オーウェンは、ジャガールクルト マスター ジオグラフィーク(Ref.Q1428421)を着用しています。

人々の視界に、全ての人やモノの情報が表示される世界となっており、彼が腕時計を見た時には、ジャガールクルトのロゴや「MASTER GEOGRAPHIC」というモデル名、商品情報などが視界に表示されます。ダークな世界観に浮かぶ白いデジタル表示と、それに合うシルバーダイヤルの多機能ウォッチが、近未来SFらしいスタイリッシュな雰囲気を演出しています。

こんな風に全ての映画で時計の情報をスクリーンに表示してくれたら、当コラムのリサーチも楽なんですけどね(笑)

ラリーのミッドライフ★クライシス

CURB YOUR ENTHUSIASM(2020)

*出典元:https://www.avclub.com/

脚本家やコメディ俳優としても知られるTVプロデューサー、ラリー・デヴィッドがホストとなり、ゲスト出演したセレブやスター俳優との即興演技の掛け合いで物語が作られていく人気コメディドラマ『ラリーのミッドライフ★クライシス』(2005)。そのシーズン10の第5話『不十分な称賛』にゲスト出演したのがクライヴ・オーウェン(本人役)。

ラリーのエージェントであるジェフ(ジェフ・ガーリン)の新たなクライアント、俳優のクライヴ・オーウェンが家にやってきますが、彼の独演舞台に対するイマイチな評価が元で、ひと悶着が起こります。

*出典元:https://www.nme.com/

アメリカのカリスマTVプロデューサー、ラリー・デイヴィッドの揉め事だらけの日常を描くドラマシリーズのワンシーンにほんのちょっとだけカメオ出演したクライヴ・オーウェンですが、その腕に着けられた腕時計はモデル名も値段もド級の一本。その腕時計とは、ジャガールクルト マスター グランド トラディション トゥールビヨン シリンダー パーペチュアルカレンダー(Ref.Q5043580)。お値段は日本円で約1,700万円ほどとなっております。

フライングトゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、星座をあらわす黄道12宮表示を備えたグランドコンプリケーションモデルを日常使いするスター俳優、クライヴ・オーウェンという「デフォルメされた本人」を楽しそうに演じています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

無骨なイメージが強いクライヴ・オーウェン。パネライの腕時計は彼のイメージにピッタリですが、ジャガールクルトのエレガントな腕時計を複数回着用していることは、みなさんもその意外性を感じずにはいられなかったのではないかと思います。

*出典元:https://blog.chronometers.org/

実は、クライヴ・オーウェンはジャガールクルトのアンバサダーを務めており、当然のことながらジャガールクルトの腕時計を劇中でもプライベートでも愛用しているというのが、事の真相。元ジャガールクルトCEOにして、現リシュモングループCEO、ジェローム・ランベール氏と2ショットで撮られた写真も、とてもいい雰囲気ですね(笑)

男臭さもありながら、イングランド出身でトラッドな上品さも感じさせるクライヴ・オーウェンは、ポロ競技用のアクティブな腕時計を、エレガントなドレスウォッチ「レベルソ」として完成させたジャガールクルトのイメージに、ピッタリとハマっているように思います。

ジャガールクルトのアンバサダーと言えば、『ドクター・ストレンジ』(2016)のベネディクト・カンバーバッチや、『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015)のニコラス・ホルトなど、クライヴ・オーウェンと同じ「アクションもできる英国俳優」が多く選ばれており、この共通点からブランドのイメージ戦略を窺うことができます。

このように「アンバサダーを務める俳優像」から映画と時計の関連性を探るのも、腕時計の楽しみ方のひとつ。好きな俳優がアンバサダーを務めるブランドの腕時計を着ければ、愛着も増すのではないでしょうか。そんな腕時計の選び方もアリかもしれません。

ではまた!

Actor's watch