みなさま、こんばんは!

今週も新連載の今さら聞けないシリーズをお届けしていきたいと思います。この新企画では、高級腕時計にあまり詳しくない方、これから勉強していきたい方へ向けて「今さら聞けないよ!」といった、高級腕時計の基本的な事をわかりやすくお伝えしていきます。

第12回目となる今回は

高級腕時計入門編】:GMT機能

時計における機能の中で、『GMT機能』は人気の高い機能です。【ロレックス】の『GMTマスターⅡ』を筆頭に、有名ブランドでも必ず主要モデルの中に『GMT機能』を備えたモデルがラインアップされています。しかし、それだけ認知度も人気も高い機能であっても、実際にその意味や使い方までを詳細に知っている人はそれほど多くありません。そこで今回は、『GMT機能』の意味や使い方を分かり易く解説していきたいと思います。

『GMT』とは

GMT』=「Greenwich Mean Time(世界標準時)

『GMT』とは、「Greenwich Mean Time(世界標準時)」の略称です。1884年、国際子午線会議(こくさいしごせんかいぎ)で、経度0度にあたるイギリスのグリニッジ展望台を基準に、経度が15度ずれるごとに1時間時刻がずれると定められました。これによって、『GMT』が世界で定義された時刻として長年使用されてきたのです。

高級腕時計における『GMT』も、この世界標準時から名付けられました。機能としては、自分のいる国とは別の国の時刻を文字盤で設定することができます。一般的な腕時計に備わっている時分針とは別に、”GMT針”と呼ばれる”時針に相当する針“が搭載され、多くのモデルでは「GMT針は24時間で一周する」仕様となっています。そして、ベゼルやインナーベゼルに備えられた24時間目盛りを利用して時刻を確認します。

誕生した背景

『GMT』時計が誕生したのは、1955年。【ロレックス】が発売した『GMTマスター』「Ref.6542」によってその歴史は始まりました。『GMTマスター』は航空会社からの要望を受けて、フライト中に2つの時間帯をひと目で確認できる腕時計として製作された時計です。

当時、【パテックフィリップ】の『ワールドタイム』があったものの、大まかな時刻しか分からなかったり、3時から9時位置までの都市名は逆さまになってしまったりする弱点がありました。『GMTマスター』は把握できる国数は少ないものの、ひと目で時刻を確認できる見やすさで、パイロットだけでなくビジネスマンにも広く人気を獲得しました。

『GMT』と『UTC』との違い

『GMT』と似た用語に『UTC』があります。『UTC』とは、「Coordinated Universal Time(協定世界時)」の略称で、多国間の時差を示す基準の1つとなります。言語によって語順が変わるため『UTC』と統一されています。『GMT』とベースは同じですが、閏秒(うるうびょう)という制度が加えられており、『GMT』で生じる細かな時間のズレを修正できます。

『GMT』の使い方

続いて、具体的な『GMT機能』の設定方法を紹介します。今回は【ロレックス】の『GMTマスターⅡ』を使って、ホーム時刻を日本、第二時間帯をロンドンに設定する方法を解説します。

『時針とGMT針を同時刻で重ねる』

まずは、時針と”GMT針”を同時刻で重ねましょう。リューズを2段引いて分針を回し、連動する”GMT針”を12時位置へ動かします。続いて、時針を12時位置に合わせます。

『ホームタイムを現在地に合わせる』

リューズを2段引いて分針を動かし、ホームタイムを現在地である日本に合わせます。
(※日本:10時6分)

『滞在する海外時間に合わせる』

続いて、時差の分だけ短針を動かします。第二時間帯のロンドンは、9時間日本よりも遅いため、短針を9時間戻します。短針が指している時間がローカルタイムであり、24時間針が指している時間が日本時間となります。
(※ロンドン:2時6分 / 日本:10時6分)

『GMT』搭載の人気モデル

最後に『GMT機能』を搭載した、各ブランドの人気モデルをご紹介いたします。

【ロレックス】『GMTマスター』

GMT』時計の礎であり、代表モデルでもある【ロレックス】『GMTマスター』。登場から現在まで、非常に高い人気を誇り、様々なカラーバリエーションがあるベゼルが最大の特徴です。自分好みの色を選ぶ楽しさも感じられます。

【ロレックス】『エクスプローラーⅡ』

【ロレックス】の中で、『GMT機能』を持った時計と言えば『エクスプローラーⅡ』も忘れてはいけません。探検家用モデルである『エクスプローラー』の上位機種にあたる、洞窟探検家用の『エクスプローラーII』は、耐久性と機能性が重視され、日付機能やリューズガードが装備されました。デザイン面において大きなアクセントとなる24時間針は、『エクスプローラーⅡ』の大きな特徴です。

【チューダー】『ブラックベイ GMT』

【ロレックス】の兄弟ブランドとして知られる【チューダー】の『GMT』時計といえば、こちらの『ブラックベイ GMT』。初代『GMTマスター』を彷彿とさせるレトロな雰囲気を纏い、【チューダー】の特徴であるイカ針が魅力のモデルです。

【オメガ】『シーマスター プラネットオーシャン GMT』

【オメガ】の『GMT機能』を搭載した代表モデルといえば、こちらの『シーマスター プラネットオーシャン GMT』。オーバーホールの頻度が少なくて済む”コーアクシャル機構”を搭載しているため、メンテナンス費用を抑えることができます。高い防水性も備え、マリンスポーツでも活躍できる1本です。

まとめ

今回は、『GMT機能』の意味と使い方について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

各ブランドの人気モデルとしてラインアップされている『GMT機能』モデル。そのデザインはさまざまであり、是非とも皆さんの好みにあった時計を探してみてください。

今回も、この記事を見ていただいたことで高級腕時計に興味を持っていただければ幸いです!

ではまた!

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