映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第88弾の今回は、「ヴァル・キルマーの腕時計」をお送りします。
*出典元:https://www.the-sun.com/
『トップガン』(1986)で若きマーヴェリック(トム・クルーズ)のライバルとなるパイロット候補生「アイスマン」を演じ、トップスターの仲間入りを果たしたヴァル・キルマー。
36年越しの続編『トップガン マーヴェリック』(2022)でも、余命いくばくもない闘病中の身ながら、若いパイロットへの指導に悩むマーヴェリックにアドバイスを送る、旧友であり戦友の「アイスマン」海軍大将として大きな存在感を示しました。
2014年に患った喉頭がんにより声を失ったヴァル・キルマーですが、それでも「ヴァルがいないなら『トップガン』の続編は作らない」と断言したトム・クルーズ。その心意気に応えた不屈の「アイスマン」ヴァル・キルマーの腕時計に今回は迫ってみたいと思います。
トップガン
TOP GUN(1986)
*出典元:https://people.com/
カリフォルニアのミラマー海軍航空基地。そこにはF-14戦闘機のパイロットを養成する訓練施設、通称「トップガン」が存在する。トップガン入りを果たした若きパイロット「マーヴェリック」(トム・クルーズ)は、相棒の「グース」と共に厳しい訓練を乗り越え、課題をクリアしていく。自信満々で成績トップの座を狙うマーヴェリックだったが、ライバル訓練生「アイスマン」(ヴァル・キルマー)は、型破りで協調性に欠けるマーヴェリックの実力を認めようとはしなかった。
熾烈なトップ争いの最中、マーヴェリックは相棒のグースを事故で失ってしまう。自責の念に駆られ、以前のようにアグレッシブな飛行ができなくなったマーヴェリック。彼は「トップガン」はおろか、アメリカ海軍すら辞めてしまおうと思い悩む。
*出典元:https://www.rolexmagazine.com/
型破りな若手パイロットのマーヴェリックが、仲間たちとの苦闘や恋を通じて成長していく姿を描き、大ヒットを記録した青春映画『トップガン』(1986)。本作では、マーヴェリックのライバル、アイスマンを演じたヴァル・キルマーが、ロレックス GMTマスター(Ref.1675かRef.16750と思われる)を着用しています。
GMTマスターは、ロレックスがパン・アメリカン航空の国際線パイロットのために開発した腕時計であり、世界で初めて音速の壁を超えたアメリカ空軍パイロット、チャック・イエーガーが愛用していたモデルとしても知られています。戦闘機を操縦するエリートパイロットの腕には、非常に相応しい腕時計と言えるのではないでしょうか。
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ヒート
HEAT(1995)
*出典元:https://www.reddit.com/r/
強盗団のリーダーであるニック(ロバート・デ・ニーロ)は、仲間と共に現金輸送車を襲い、多額の有価証券の強奪に成功する。しかし、LA市警察のヴィンセント警部補(アル・パチーノ)は、わずかな手がかりから強盗団のメンバーを割り出し、執念の捜査でニックたちに接近していく。そんな中、愛する女性と出逢ったことで強盗稼業からの引退を考えたニックは、次の銀行襲撃を最後の仕事にすることを決意する。
完全犯罪を狙って秒刻みの強盗計画を立てたニック。銀行襲撃は成功するかに思われたが、何者かの密告によりヴィンセント警部補が率いるLA市警が現場に急行し、白昼の市街地での激しい銃撃戦へと発展していく。
*出典元:https://www.stuff.co.nz/
*出典元:https://www.spotern.com/
ロバート・デ・ニーロ演じる天才的なプロ犯罪者のニックと、アル・パチーノ演じる執念深い捜査官のヴィンセント。二人の火花を散らすぶつかり合いを描いた『ヒート』(1995)。強盗団No.2のクリスを演じるヴァル・キルマーの腕には、液晶表示のデジタルウォッチが着けられています(残念ながらアップでハッキリと映るシーンが無いため、以下は私の個人的な推察となります)。
全ての犯行を5分以内に完了させるニック。彼の腕には、秒刻みの計画を成功させるために全幅の信頼を置いているであろうデジタルウォッチ、タイメックス ステルスが着けられています。組織のリーダーが信頼している腕時計なら、仲間たちもそれを着けない理由はありません。犯行の成功確率を少しでも上げる為、チームで同じ機能を持つ腕時計を着けるというのはあり得ない話ではないでしょう。本作でヴァル・キルマーが着けているのは、ロバート・デ・ニーロが着用しているものと同じ、タイメックス ステルスではないかと推測します。
セイント
THE SAINT(1997)
*出典元:https://www.indiewire.com/
キリスト教の聖人の名を騙り、変装術とハイテク機器を駆使して盗みを働く怪盗「セイント」こと、サイモン・テンプラー(ヴァル・キルマー)。ロシアの石油王イワンから、低温核融合の研究データを盗み出すことを依頼された彼は、女性科学者のエマ・ラッセル博士に接近するが、次第に彼女の魅力に惹かれていく。
やがて、イワンの目的が研究データを用いた政府転覆と世界征服であることに気づいた彼は、愛するエマの命と世界平和を守る為、得意の変装術を用いてイワンの野望を阻止する戦いに打って出る。
*出典元:https://www.watchuseek.com/
1960年代にロジャー・ムーア主演で制作されたテレビドラマ『セイント 天国野郎』のリメイクとなる『セイント』(1997)。前年に公開された『ミッションインポッシブル』(1996)の大ヒットを受け、伝統的な怪盗映画にスパイ映画のテイストを盛り込んだ本作では、怪盗「セイント」を演じるヴァル・キルマーが、ブルガリ ディアゴノ スポーツ クロノグラフ(Ref.CH35S)を着用しています。
スタイリッシュに盗みを働くスタイル抜群なイケメン怪盗だけに、着けている腕時計も実にエレガント。ちなみにブルガリは公開当時、この腕時計の「セイント限定モデル」を世界100本限定でリリースしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
1990年代にはバットマン役を演じていたほどのアクションスターでもあったヴァル・キルマー。大病を境に「おじいちゃん化」したものの、声は出せなくとも『ドアーズ』(1991)でのジム・モリソン役を彷彿とさせる目の演技は、『トップガン マーヴェリック』という作品に、重厚なドラマ性をもたらしたのではないかと思います。
*出典元:https://www.okaybliss.com/
『ヒート』(1995)や『バットマン・フォーエバー』(1995)などで見せたような、ワイルドなアクションは難しくても、ヒューマンドラマやサスペンス映画などでの人間味溢れる役柄なら、まだまだいけるはず。味わい深いヴィンテージやドレスウォッチなどを身に着けたヴァル・キルマーの姿を、ぜひ大きなスクリーンで見てみたいものです!
ではまた!