映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第54弾の今回は「オーウェン・ウィルソンの腕時計」をお送りします。
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オーウェン・ウィルソンといえば、近年ではピクサーのCGアニメ『カーズ』(2006)の主人公、”ライトニング・マックィーン“役の声優や、ディズニー配信ドラマ『ロキ』(2021)に登場する”メビウス“役として人気の俳優ですが、私の個人的なお気に入りは、何といってもウェス・アンダーソン監督とのコンビネーション。それもそのはずで、オーウェン・ウィルソンとウェス・アンダーソンは大学時代に知り合い、共同で執筆した脚本が『アンソニーのハッピー・モーテル』(2006)として映画化された旧知の仲なのです。
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この作品でオーウェン・ウィルソンは主演、ウェス・アンダーソンが監督として商業映画デビューを飾り、以降も『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』(2001)や『ライフ・アクアティック』(2004)など、数々の作品で二人の名コンビぶりが如何なく発揮されていることは、映画ファンなら良くご存知のことでしょう。2022年1月28日に公開されたばかりのウェス・アンダーソン監督最新作『フレンチ・ディスパッチ』でもコンビは健在。オーウェン・ウィルソンは物語の舞台となる雑誌編集部の記者を演じています。
、、、というわけで今回の「Actor’s Watch」は、ウェス・アンダーソン監督作限定で、オーウェン・ウィルソンが着けた腕時計に注目して参ります。
- ◆ アンソニーのハッピー・モーテル
- ◆ ライフ・アクアティック
- ◆ ダージリン急行
- ◆ まとめ
アンソニーのハッピー・モーテル
BOTTLE ROCKET(1996)
精神病院に入院していたアンソニー(ルーク・ウィルソン)が、かつての仲間ディグナン(オーウェン・ウィルソン)に誘われて強盗で一発当てようと奮闘する。しかしディグナンの立てる強盗計画はどれもこれも荒唐無稽なものばかり。グダグダな強盗計画にうんざりしたアンソニーは、まともな職について働きはじめたが、ディグナンの強引な誘いを断り切れず、新たな強盗計画に参加することに、、、
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ウェス・アンダーソン監督とオーウェン・ウィルソンのデビュー作となったグダグダ感あふれる犯罪コメディ。左右対称の画面構成など、近作にも通じるウェス・アンダーソン監督らしさが垣間見えますが、それよりも映画出演などしたことも無いオーウェン&ルークのウィルソン兄弟の初々しい演技が見ものです。
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この映画でオーウェン・ウィルソンが着用しているのは、CASIO G-SHOCK DW-6600。『アメリカン・スナイパー』(2014)で伝説の狙撃手を演じたブラッドリー・クーパーが劇中で着けていたものと同じモデルですね。近年の実録系ミリタリー映画では、戦場のリアリティを増すために選ばれる「実際に軍人や兵士たちが愛した腕時計」ですが、もちろんこの映画においてそのような意図はなく、おそらくは当時のオーウェン・ウィルソンが愛用していた腕時計なのでしょう。実はウェス・アンダーソン監督、腕時計を着けた写真がほとんど存在せず、腕時計への興味がほとんど無いように思われます。出演者が愛用の腕時計を着けて登場することもしばしば。オーウェン・ウィルソンもその例に洩れません。
ライフ・アクアティック
THE LIFE AQUATIC WITH STEVE ZISSOU(2004)
海洋ドキュメンタリー映画監督であり、海洋探検家でもあるスティーブ・ズィスー(ビル・マーレイ)。最近はヒット作にも恵まれず、ジャガーザメに襲われて長年の仕事仲間を失うなど、彼は失意の最中にあった。そんな中、前妻の息子である青年ネッド(オーウェン・ウィルソン)と出会ったスティーブは、ネッドを仲間に誘い入れ、仲間を襲ったジャガーザメの追跡を開始するのだった。
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ジャック・クストーをモデルにしたと思われる海洋映画監督の晩年を描く、ポップでカラフルな冒険映画。今に至るウェス・アンダーソン監督の独特なスタイルが確立された作品と言っていいでしょう。ハリウッドの売れっ子サントラ作曲者、DEVOのマーク・マザーズボーが担当したサウンドトラックが、作品全体にのどかでノスタルジックな楽しさをもたらしています。
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この映画でオーウェン・ウィルソンが着けている腕時計は、ロレックス GMTマスターII Ref.16710、赤青のペプシベゼル。酸素ボンベの確認をする場面など、多くのシーンで、その姿がハッキリと確認できます。この時計は、『ウェディング・クラッシャー』(2005)、『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』(2011)など、彼の他の出演作でも着用が確認されており、おそらくは彼の愛用品であろうと思われます。
ダージリン急行
THE DARJEELING LIMITED(2007)
富豪であった父の死をきっかけに心が離れてしまった三人の兄弟は、長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)の呼びかけで絆を取り戻す為のインド旅行を計画する。それぞれに悩みや葛藤を抱えた三兄弟は、大きなトランクを抱えてインドのダージリン急行で列車旅に出るが、その道中はトラブル続き。彼らは無事に兄弟の絆を取り戻せるのか…?
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『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』(2001)から続くウェス・アンダーソン監督作のテーマ、「絆を取り戻そうとする家族たち」を描く人間ドラマ。とはいうものの、そこに描かれるのは天才一家や富豪の息子たちなど、普通とは全く異なる「特殊すぎる家族」であるため、「あるある!」「わかる!」という感情は沸きません(笑)。庶民には意味がわからない悩みや軋轢で歯車がかみ合わなくなった家族たちの「ギクシャク具合」を楽しんでください。
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この映画では全編を通して頭を包帯でグルグル巻きにしている三兄弟の長男、フランシス役を演じるオーウェン・ウィルソンですが、その腕に着けられているのは、ロレックス GMTマスターII Ref.116710。『ライフ・アクアティック』に続く、2本目のGMTマスターIIとなります。こちらもインタビューなどで彼が着用している様子が確認されており、おそらくは本人愛用の腕時計なのでしょう。カジュアルなペプシに続いて、精悍な黒ベゼルを選んだ彼の「GMTマスターIIへの愛」がよくわかります。
*出典元:https://mubi.com/
ちなみにこの映画、劇中を通してヴィンテージのルイ・ヴィトンのトランクが大活躍するのですが、コミット銀座の店頭に積まれたトランクを見るたびに、私が密かにこの映画を思い出していることは内緒です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ウェス・アンダーソン監督作縛りということで、ネタが集まらなかったらどうしよう?とハラハラしながら書きましたが、探せばあるものですね。
画面構成や色彩、小道具に至るまで、全ての作品で画作りに強いこだわりを感じさせるウェス・アンダーソン監督ですが、なぜか腕時計にはほとんど関心を示さず、俳優が着けたい時計を着けさせているように思えるのが面白いところ。
隅々まで計算され尽くした画面の中で、オーエン・ウィルソンの少し抜けたような自然な演技が、ちょっとした「隙」を作って緊張感を緩めるのがウェス・アンダーソン映画の緩急。腕時計という小道具にこだわりが無いように見えるのも、もしかしたら完璧な画作りに「隙」を作る「あえて」の選択なのかもしれません。もしそうであるなら、いつも好きな時計を着けて登場するオーウェン・ウィルソンは、小道具面でも映画に大きく貢献していると言えそうです。
*出典元:https://masedomani.com/
実は私、まだ最新作の『フレンチ・ディスパッチ』を観ていないので、次の休みには映画館に足を運び、登場人物たちの腕元をこの目で注視して来たいと思います。
ではまた!