映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第52弾の今回は「サム・ロックウェルの腕時計」をお送りします。

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スティーブン・キング原作のファンタジー映画『グリーン・マイル』(1996)の凶暴な殺人鬼、ワイルド・ビルや、ブラックユーモアSFの金字塔『銀座ヒッチハイク・ガイド』(2005)の銀河帝国大統領、ザフォド・ビーブルブロックス三世など、アウトローやクセ者を演じさせたらピカイチの演技を見せるサム・ロックウェル。

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『スリー・ビルボード』(2017)ではアカデミー助演男優賞に輝き、ますます演技に磨きがかかった彼の腕元に早速迫って参りましょう。

月に囚われた男

MOON(2009)

月に存在する核燃料エネルギー採掘のため、3年間たったひとりで月面に出張中のサム(サム・ロックウェル)。地球に残した妻と娘からの定期メッセージと、人工知能「ガーディ」との会話だけを拠り所に過ごした孤独な日々も残り2週間となったある日、彼は採掘場の落盤事故に巻き込まれてしまう…。

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デヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズ監督が贈る、ヒネリの効いたSFミステリー『月に囚われた男』は、低予算映画のため主要な登場人物はサム・ロックウェル演じる「サム」ただひとり。ですが、彼がさまざまな表情やリアクションを見せてくれるので、ほとんど彼の独り芝居となる構成でも全く飽きません。また、この映画をネットで調べるとネタバレ必至となりますので、何も事前情報に触れずに観ることをオススメいたします。

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この映画でサム・ロックウェルが身に着けている腕時計は DIESEL DZ7076。イタリアのアパレルブランド、ディーゼルのスタイリッシュなデジタルウォッチです。「月面に独りぼっち」という物語の設定上、故障したら自分では修理のしようもない機械式腕時計を身に着けていたら不自然ですので、故障しても電池交換や代替えがしやすいクォーツ腕時計の着用は必然といえるでしょう。一見するとブレスレットのようにも見えるソリッドなデジタルウォッチが近未来のSF感を演出しています。

アイアンマン2

IRON MAN 2(2010)

自分が「アイアンマン」であることを公表したトニー・スタークの前に現れたのは、かつてスタークと共にアーク・リアクター開発を行なっていた科学者の息子、ヴァンコ。非業の死を遂げた父に替わって自らアーク・リアクターを作り上げたヴァンコは、スタークをライバル視する死の商人「ハマー・インダストリーズ」と手を組み、アイアンマンを追い詰めていく…。

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巨大軍需産業「スターク・インダストリーズ」社長のトニー・スタークが、自ら開発したパワードスーツを着用し、「アイアンマン」となって悪と戦うマーベルの人気スーパーヒーロー映画の第2作目。サム・ロックウェルはスタークをライバルとみなす「ハマー・インダストリーズ」のCEOであり、犯罪者に武器を与えて利益を得る「死の商人」でもある、ジャスティン・ハマー役を演じています。

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この映画でサム・ロックウェルが身に着けているのは、一見するとフランクミュラーに見えるトノー型腕時計。実はコレ、撮影用のプロップ(作り物の小道具)でして、二段ベゼルが特徴のコンキスタドール風ケースに、トノーカーベックス風のブレスが付いた架空の腕時計。犯罪者に武器を横流しする「死の商人」が愛用する腕時計ということで、ブランドイメージに配慮したのかもしれません。

スリー・ビルボード

THREE BILLBORDS OUTSIDE EBBING,MISSOURI(2017)

娘を惨殺された母親、ミルドレッドが、殺害現場の道路沿いに「娘はレイプされて焼き殺された」「犯人はまだ捕まらない」「なぜ?ウィロビー署長?」という三枚の広告看板を張り出した。地元の尊敬を集める警察署長、ウィロビーを批判する広告に町民たちは戸惑い、警官たちはミルドレッドへの怒りをあらわにしていく…。

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強烈なぶつかり合いを見せる登場人物たちの「怒り」が、小さな親切心や優しさ、偶然の積み重ねで少しずつほどけていき、強烈な余韻を残すラストに向かっていく人間ドラマ。第90回アカデミー賞では、母親のミルドレッド役、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞に、人種差別者でキレやすいディクソン保安官役のサム・ロックウェルが助演男優賞に輝きました。

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この映画でサム・ロックウェル演じるディクソン保安官が身に着けているのは、CASIO MRW-200H-1BVEF。定価3000円ほどの、俗にいう「チープカシオ」といわれるカテゴリーの腕時計。その中においては力強い印象のある一本です。田舎町の片隅で年老いた母親と暮らす保安官。年金暮らしの母親が、息子に「男らしくなって欲しい」との思いで買ってあげた腕時計だとしたら…。これは私の勝手な想像(妄想)ですが、もしそうであるなら、この腕時計のチョイスは絶妙としか言いようがありません。

第90回 アカデミー賞授賞式

ACADEMY AWARDS 2018

『スリー・ビルボード』の好演で、みごと第90回アカデミー助演男優賞に輝いたサム・ロックウェル。オスカーの授賞式でセクシーにタキシードを着こなした彼の腕に着けられていたのは黒ベゼルのロレックス GMTマスターII (Ref.16710)でした。

*出典元:https://www.rolexmagazine.com/

実はこのGMTマスターII、古くからロックウェルがインタビューやオフショットなどでいつも着用している腕時計としてファンにはお馴染みです。クセ者やアウトローなどを演じることが多いロックウェルですが、その素顔はおそらく、とても一途で真面目な人なのでしょう(笑)

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この年のアカデミー賞は、主演男優賞が『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』ゲイリー・オールドマン、助演男優賞が『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェルという、個人的に好きな俳優二人の揃い踏みとなったので非常に記憶に残っています。この二人、雰囲気がよく似ているんですよね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
リシャールミルやパテックフィリップの超絶腕時計や、ロレックスの金無垢・宝飾モデルなどを愛用するハリウッドセレブも少なくない中、サム・ロックウェルは映画の中でもプライベートでも、等身大身近に感じられる腕時計を常に着用しているようです。この腕時計のラインアップからは、アウトローやクセ者を演じながらも、どこか親しみが感じられる彼の演技の根本がわかるような気がします。

*出典元:https://www.port-magazine.com/

ハリウッドスターにとって最大の晴れ舞台といっても過言ではないアカデミー賞授賞式。そこで着けられていた愛用のGMTマスターIIからは、彼がその腕時計を「生涯の相棒」と考えていることがうかがい知れます。そんな一途な男、サム・ロックウェルの腕時計は今後も要注目と言えるでしょう。

ではまた!

Actor's watch