*出典元:https://www.theguardian.com/
映画やテレビなどで活躍する俳優の腕時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第176弾の今回は、ジョン・マルコヴィッチの腕時計をご紹介して参ります。
とあるオフィスビルの壁の穴に入ると、誰でも15分だけ俳優ジョン・マルコヴィッチになれるという奇想天外な映画『マルコヴィッチの穴』(1999)。トム・クルーズでもブラッド・ピットでもなく、知る人ぞ知る個性派俳優のジョン・マルコヴィッチを主役に据えたこの異色作の大ヒットにより、彼は日本の映画ファンにもよく知られる存在になっています。
今回の「Actor’s Watch」は、そんなジョン・マルコヴィッチにまつわる腕時計をご紹介して参ります。
リシャールミル
オートマティック エクストラフラット【Ref.RM 67-01】
*出典元:https://www.pinterest.com/
2021年、腕時計業界を驚かせたニュースのひとつに、ジョン・マルコヴィッチのリシャールミルのアンバサダー就任がありました。テニスプレイヤーのラファエル・ナダルや、香港のアクションスター、ジャッキー・チェンなど、機械式腕時計にとって過酷な環境で活躍するスターたちとのコラボレーションによって、その堅牢性をアピールしてきたリシャールミル。
「リシャール・ミル氏に声をかけられたときは驚いた」と本人も語る通り、以前までのリシャールミルの腕時計は、ジョン・マルコヴィッチのイメージとは縁遠い雰囲気がありました。しかし、ムーブメント厚3.6mm、ケース厚7.75mmという新規開発の薄型モデル、リシャールミル オートマティック エクストラフラット(Ref.RM 67-01)は、70代を目前にした個性派俳優の腕にも全く違和感がありません。今までリシャールミルを「自分に似合う時計ではない」と敬遠していた富裕層に対する、エレガンスを押し出したニューモデルのアピールとしては、ジョン・マルコヴィッチは非常に巧みな人選のように思えます。
IWC
ビッグ パイロット ウォッチ【Ref.IW500201】
*出典元:https://www.watchuseek.com/
続いては2006年、ドイツのバラエティ番組『Wetten, dass..?』にゲスト出演したジョン・マルコヴィッチが着用していた腕時計は、IWC ビックパイロット(Ref.IW500201)でした。彼は、2009年にIWCが発表したパイロットウォッチに関するショートムービーに主演した経験があるのですが、この番組への出演はその3年前。もしかしたら、彼がプライベートでこの時計を愛用していた事を知って、IWCはショートムービー出演をオファーしたのかもしれません。
大学では衣装デザインを学び、自らが手掛けるファッションブランドも立ち上げているジョン・マルコヴィッチ。個性的なイエロードットのジャケットに大ぶりなビッグパイロットウォッチが、俳優界のオシャレ番長らしい抜け感のあるスタイリングを演出しています。
エベル
スポーツクラシック ウェーブ【Ref.183909】
*出典元:https://vintage-advertising.ecrater.com/
続いては、ジョン・マルコヴィッチを起用した1993年の時計店の広告から。1993年といえば、クリント・イーストウッド監督・主演の『ザ・シークレットサービス』の公開年。ジョン・マルコヴィッチは大統領の命を狙う暗殺者役で本作に登場しており、俳優としての知名度を一気に上げた年でもありました。
この広告は、おそらく「MARSH」という正規店がエベルの腕時計の拡販を狙って制作されたものと思われます。エベルは1911年創業、第二次世界大戦時には英国陸軍からの依頼で軍用時計を製造していたブランドで、サッカーチームのアーセナルやバイエルン・ミュンヘンの公式スポンサーとしての活動でも知られています。
この広告に写っている腕時計はエベル スポーツクラシック ウェーブ(Ref.183909)。現代のエベルの腕時計にも引き継がれている、装着感を高めたウェーブ加工のブレスレットが最大の特徴となるモデルです。
ハミルトン
エレクトリック ペイサー ベンチュラ【Ref.-】
*出典元:https://www.reddit.com/
最後は、彼が主演映画で着用した腕時計をご紹介いたします。
『リプリーズ・ゲーム』(2002)
美術品の贋作の売買を生業とする犯罪者、トム・リプリー(ジョン・マルコヴィッチ)。必要とあれば殺人も厭わない彼が、パーティーで自分を侮辱したジョナサンを弱みにつけこんで操り、ターゲットを暗殺させようとする犯罪ゲームを始めるのだが、、、
パトリシア・ハイスミスのベストセラー小説を映画化した本作で、自らの策に溺れる犯罪者を演じたジョン・マルコヴィッチ。本作で彼が着用している腕時計は、1950年代のハミルトン エレクトリックペイサー ベンチュラ(Ref.不明/参考画像)。ケース形状はベンチュラそのものですが、ラグのデザインが近年のモデルとは異なり、ヴィンテージ個体であることがわかります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ハリウッドきっての変わり者として知られ、インタビューに応じることも極めて少なく、プライベートを大っぴらに明かすこともない、謎めいた曲者俳優のジョン・マルコヴィッチ。そんな彼に相応しい、一筋縄ではいかない個性的な腕時計のラインアップとなりました。
*出典元:https://floodmagazine.com/
『マルコヴィッチの穴』(1999)ではジョン・マルコヴィッチ本人を虚実を交えながら演じ、2015年に撮影され、100年後に公開予定の『100イヤーズ』(2115年公開予定)でも主役となるヒーローを演じるなど、本人だけでなく出演する映画もクセのある作品が多いジョン・マルコヴィッチ。
アンバサダーを務めるリシャールミルの腕時計を、これから彼はどのように魅せてくれるのでしょうか?エレガントに着けこなすのか、それともクセが強いスタイリングに落とし込むのか、非常に楽しみです。
ではまた!