映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第121弾の今回は、「チャニング・テイタムの腕時計」をお送りします。

大学を中退し、建設業や男性ストリッパーとして働いた後、スカウトされてモデルの道へと進んだチャニング・テイタム。コカコーラ社のCM出演などを経て、26歳の時に『ステップ・アップ』(2006)で映画デビューを果たすと、自らのストリッパー体験を基にした主演映画『マジック・マイク』(2012)で全米の女性のハートを鷲掴みにし、トップスターへと昇り詰めます。

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学生時代から維持している鍛え上げられた肉体と、それとは不釣り合いな人懐っこい童顔で、アクション映画はもちろん、青春ドラマからコメディまで幅広い守備範囲をこなし、40代となった今でも、ハリウッドを代表する若手No.1マッチョ俳優の座に君臨しているチャニング・テイタム

今回は、そんな彼が劇中で着用している腕時計に迫ってまいりましょう。

親愛なるきみへ

DEAR JOHN(2010)

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2001年の春。2週間の休暇で帰省した特殊部隊員のジョン(チャニング・テイタム)は、故郷で女子大生のサヴァナ(アマンダ・サイフリッド)と出逢い、恋に落ちる。休暇が終わり基地へと戻ったジョン。軍の機密保持の為、通信機器を使う事ができない彼は、サヴァナに手紙を書いて送り、その返事を読むことだけが唯一の楽しみだった。

任期が満了したら一緒になろうと約束を交わした二人だが、9月11日の朝、同時多発テロが発生する。事件の発生を受けて層部から任期延長を打診されたジョン。彼はそれを承諾するが、約束を破られたサヴァナは悲しみに打ちひしがれる。その後、基地に戻ったジョンは再びサヴァナに手紙を出すが、彼女からの返事は返ってこなかった。それからしばらく経ち、サヴァナから手紙が届くが、そこには彼女が別の男性と婚約したことが記されていた、、、

*出典元:https://mubi.com/

ギルバート・グレイプ』(1993)や『サイダーハウス・ルール』(1999)などの良作で知られる、ラッセ・ハルストレム監督によるヒューマンドラマ『親愛なるきみへ』(2010)。本作で、「9.11」に運命を翻弄される若者を演じたチャニング・テイタムが着用しているのは、スント アウトドア X10 ミリタリー(Ref.SS014006010)と思われます。

コンパスや計測機器などの老舗メーカーとして知られるスントの「X10」は、高度計、気圧計、方位計、GPSなどを備えた多機能デジタルウォッチ。米軍の放出品としてもよく売られているリアル軍用アイテムですので、特殊部隊員役のチャニング・テイタムが着用しているのは、非常にリアリティがあると言えるでしょう。

ホワイトハウス・ダウン

WHITE HOUSE DOWN(2013)

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議会警察官のジョン(チャニング・テイタム)は、大統領警護のシークレットサービスへの登用を目指していたが、学業成績が悪かったことを理由にSP採用の面接に落ち続けていた。そんなある日、彼は中学生になる娘のエミリーを連れてホワイトハウスを見学に訪れるが、そこで武装集団によるテロ事件が発生。ジョンとはぐれたエミリーは、人質として他の見学者と共にホワイトハウスの一室に閉じ込められてしまう。

事件を受け、ソイヤー大統領(ジェイミー・フォックス)はSPを伴って地下シェルターへの避難を試みるが、SPのリーダー、ウォーカー(ジェームズ・ウッズ)は他のSPたちを射殺し、大統領を拉致しようとする。娘を探すため偶然近くを通りがかったジョンと、彼の助けを得て間一髪で逃走に成功したソイヤー大統領。二人は娘とホワイトハウスの奪還を目指し、行動を共にすることになるのだった、、、

*出典元:https://www.youtube.com/

武装集団によるホワイトハウス乗っ取りの現場に居合わせたオフタイムの警察官が、愛する娘と大統領を守るために戦うポリティカルアクション『ホワイトハウス・ダウン』(2013)。テロリストには強いが、反抗期の娘には弱々な警察官を演じているチャニング・テイタムが劇中で着用している腕時計は、ブローバ ミリタリー(Ref.96A102)と思われます。

1875年にマンハッタンで創業したブローバは、20世紀のアメリカを代表する腕時計ブランド。大統領専用機「エアフォースワン」の機内時計に採用されている事でも知られているブローバですので、本作においても「テロと戦うアメリカ」を象徴する腕時計として本機が選ばれたと考えられます。

被弾や光の反射を防いだり、腕立て伏せの時に手の甲にリューズが当たらないよう、手の平側に文字盤を向けて着用するのは「ミリタリーウォッチあるある」ですね。

キングスマン:ゴールデン・サークル

KINGSMAN:THE GOLDEN CIRCLE(2017)

*出典元:https://screenrant.com/

世界平和の維持を目的として創設されたイギリスの独立スパイ組織「キングスマン」が、麻薬組織「ゴールデン・サークル」の襲撃に遭い、わずかな生存者を残して壊滅する。生き残った
若手エージェントのエグジー(タロン・エガートン)と補佐のマーリン(マーク・ストロング)は、本部に残されたウイスキーの酒瓶に残されたヒントを頼りに、アメリカへと向かう。

ウイスキーの製造元であるケンタッキーの醸造所を訪れた二人。不自然なほど厳重に警備されたウイスキー倉庫に忍び込んだ彼らは、そこが「キングスマン」と同じ独立スパイ組織「ステイツマン」の本部であり、そこには、死んだと思われていた「キングスマン」のベテランエージェント、ハリー(コリン・ファース)が記憶喪失となって暮らしていることを知る。

その頃「ゴールデン・サークル」は、アメリカ大統領に麻薬の合法化を要求。受け入れられない場合、麻薬に仕込まれた毒物により数億人のアメリカ人が死ぬことになると政府を脅迫する。事態を重く見たエグジーとマーリンは、記憶を取り戻したハリーと、「ステイツマン」のエージェント「テキーラ」(チャニング・テイタム)らの協力を得て、「ゴールデン・サークル」の壊滅ミッションを開始する。

*出典元:https://www.vulture.com/

何よりも礼儀とマナーを重んじ、敵と戦う際にもスーツ&革靴のフォーマルスタイルを決して崩さない英国紳士エージェントの活躍を描いた『キングスマン』(2014)。そのシリーズ第二作『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017)で、チャニング・テイタムは、カウボーイスタイルのアメリカンなスパイ組織「ステイツマン」のメンバー、コードネーム「テキーラ」を演じています。

そんな彼が劇中で着用している腕時計は、タグホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ(Ref.CAW211P.FC6356。「ステイツマン」の他のメンバーも同じ腕時計を着用しているので、組織に制式採用されている腕時計なのかもしれません。

キャリバー11を搭載した左リューズのモナコは、ハリウッドの名優スティーブ・マックイーンが愛用していた事で知られるモデル。その復刻版である本機を着用することで「アメリカ」を象徴させているように思えます。

ザ・ロストシティ

THE LOST CITY(2022)

*出典元:https://www.theatlantic.com/

女性考古学者と冒険家のロマンスを描く人気シリーズ小説の作者、ロレッタ(サンドラ・ブロック)は、シリーズ最新刊となる『ザ・ロストシティ』を書き上げる。出版社は、ロレッタと、シリーズの表紙で冒険家のイメージキャラを務める二枚目モデル、アラン(チャニング・テイタム)のトークショーを企画。新刊発売キャンペーンとして、二人は全米の書店を回るツアーを開始する。

ところがツアーの最中、ロレッタが行方不明に。自分が探し求めている古代都市の在処を彼女が知っていると思い込んだ実業家、アビゲイル(ダニエル・ラドクリフ)に誘拐され、ロレッタは古代都市があったと言われる南の島に連れてこられていたのだった。

知人の元特殊部隊員ジャック(ブラッド・ピット)の協力でロレッタの居場所を探り当てたアランは、彼女を救うため、ジャックと共に南の島を目指すのだった。

*出典元:https://timeandtidewatches.com/

偏執狂の大富豪の思い込みに巻き込まれ、美人ベストセラー作家と、弱気で頼りにならない筋肉隆々のイケメンモデルが、南の島のジャングルで危険だらけの冒険をする羽目に陥るアドベンチャーコメディ『ザ・ロストシティ』(2022)。本作でチャニング・テイタムが着用している腕時計は、ブルガリ アルミニウム(Ref.103445)と思われます。

ちょっとやそっとのことでは動じない、胆の据わったロレッタに対し、ジャングルでヒルに吸い付かれて「取って!取って!」とオロオロするアラン。本作のアランというキャラクターは、筋肉隆々のイケメンでありながら、実はロレッタに助けられる「ヒロイン」の役割を果たしていると言えます。ジュエラーとしても知られるブルガリの腕時計が選ばれたのは、そんなアランにフェミニンなイメージを与えるためではないかと思われます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

母性本能をくすぐる童顔マッチョ俳優としての人気が強かったチャニング・テイタムですが、四十路を越えてシニアの雰囲気が出てきた近年は、キャラクターを抑えた渋めの役柄も増えてきているようです。

ブラッド・ピットと共演した『ブレット・トレイン』(2022)では、ペーパーバックを片手に状況を冷静に把握する、おそらくはゲイと思われる謎の男性を好演。ド派手なアクションシーンが連発する中で落ち着いた演技を見せ、映画に「動と静」のアクセントをもたらしていました。

*出典元:https://screenrant.com/

マッチョ俳優が着ける腕時計といえば、アーノルド・シュワルツェネッガーオーデマピゲ ロイヤルオーク オフショアや、シルヴェスタ・スタローンパネライなど、太い腕にも似合うゴツめのモデルが選ばれることが多い印象ですが、その点、チャニング・テイタムが着ける腕時計は、本格ミリタリーからブルガリまで、幅広いチョイスが見受けられます。

アクション映画への出演から人気が出ることの多いマッチョ俳優ですが、チャニング・テイタムは青春映画や恋愛ドラマへの出演から人気が出たタイプ。これから渋みが増していく中、今までのマッチョ俳優とは違う、エレガントな腕時計の着けこなしを見せてくれるのではないかと密かに期待しています。

女心をよく理解しているハズの元男性ストリッパー俳優が選ぶ腕時計とは何なのか?
モテ時計」をお探しの方にとって、チャニング・テイタムが着ける腕時計は、これから特に要注目であると言えるでしょう(自己責任でのご参考をお願い致します)。

ではまた!

Actor's watch