Ref.5004

初めて見た時から、今でも見た瞬間に良い意味で緊張するパテックフィリップの時計を1本挙げるとするならば、それは自分にとって間違いなく「Ref.5004」です。

当時、PTケースのモデルが約1800万円ほどで売られていたのを覚えています。

ただでさえ複雑な永久カレンダーの機構にスプリットセコンド・クロノグラフを搭載した凄い時計です。ムーブメントは、パテックフィリップのために開発した、ヌーベルレマニア社製ムーブメント【 CHR 27-70 Q 】

今となっては少し小ぶりにも感じる37mmのケースに、スプリットボタンを備えた大きめなリューズが、ちょうどいいサイズ感で、ただものならぬオーラを発しています。また、リーフハンドにアラビックインデックスの文字盤がこれまた絶妙にカッコいいです。(※文字盤の種類は、バーインデックス、ダイヤインデックス等他にもあります。)

ケース素材は、YG(イエローゴールド)、RG(ローズゴールド)、WG(ホワイトゴールド)、PT(プラチナ)で展開。それぞれの良さがあるのですが、人気はPTケース、RGケースの黒文字盤×アラビックインデックスの組み合わせになると思います。本数だと、RGケースに黒文字盤の組み合わせのほうが少ないと思います。

振り返ると、圧倒的にPTケースを多く見てきたと思います。このクラスまでくると、資産価値云々ではなく買われる方が多かった為、PTケースが多いのかな?と感じます。

個人的にはクラッシック感のあるYGケースが好みで、夢はYGケースに”あえてハズした”ヴィンテージ感のあるカーフ素材のベルトではめてみたいですね。 

その他、コミットではPTケースにシルバー文字盤×アラビアインデックス、PTケースに黒文字盤×ダイヤインデックス、WGケースにスペシャルオーダーのサーモン文字盤×アラビアインデックスの販売実績もあり

スペシャルオーダーでケースと同素材のブレスレット仕様の個体をごくごく稀に見ますが、解き放つオーラの半端なさは説明に及ばないと思います。

また、スプリットセコンドではない永久カレンダーにクロノグラフを搭載した「Ref.3970」もYGケース2本、RGケースの販売実績があります。

「Ref.3970」の後継モデル「Ref.5970」もPTケース2本の販売実績があります。

黒文字盤がとてつもなくカッコいい時計ですね。この2モデルにつきましては、また別の機会にお話させて頂きます。

「 Ref.5004 」後継機「 Ref.5204 」

最後に 「 Ref.5004 」 の後継モデル 「 Ref.5204 」について少しだけ触れたいと思います。

「 Ref.5004 」の後継モデルとして開発された「 Ref.5204 」は、2011年に発表された永久カレンダー・クロノグラフ「Ref.5270」に搭載された自社製手巻クロノグラフをベースにスプリット秒針機構が追加されたムーブメント「CHR29-535 PS Q」が搭載されています。そこには、いくつもの技術革新が投入され、従来モデルでは、どうしても秒針の動きに遊びがあり、2本の秒針がズレるという問題があったのですが、その問題が解決されました。

こちらも、なかなか見る機会が少ない逸品ではありますが、やはり抜群の存在感ですね。

当店でも、PTケースにシルバー文字盤の「5204P-010」、上記写真のRGケースにブレスレット仕様の「Ref.5204/1R-001」の販売実績がございます。

少し長くなりましたが、トゥールビヨンやミニッツリピーターを搭載した、超絶モデルがパテックフィリップには多数あります。その中でも、自分が思うあがり時計は、間違いなく「Ref.5004」であり、常に扱いたいと思う時計であります。

「Ref.5004」「Ref.5204」を含めた、パテックフィリップのグランドコンプリケーションをお探しの方、ご売却をご検討の方は是非ともコミット銀座にお気軽にお問い合わせください。

気兼ねなく” パテックフィリップ ”についてお話しできれば幸いです。

監修者のプロフィール

阿部泰治の写真

阿部 泰治(あべ やすはる)

高級腕時計専門店 コミット銀座 オーナー / 鑑定士歴:2004年~現在

51歳 埼玉県出身

30歳の時に二次流通の某高級腕時計専門店に勤務。数多くの高級時計を査定してきたが、とりわけパテックフィリップの技術力並びに芸術的な美しさに感銘を受ける。
約10年の勤務期間を経て、コミット銀座を創設。自ら仕入れ・販売をこなす傍らで、鑑定士、店頭スタッフの教育を兼務。お客様・時計と向き合う日々を過ごし、今でも第一線でその手腕を遺憾なく発揮している凄腕鑑定士。

阿部泰治のパテック論