みなさん、こんばんは。
今回は、4月25日(月)開催【Sotheby’s The Nevadian Collector】in:香港の結果に基づいてお話ししていきたいと思います。選りすぐりの【パテックフィリップ】の時計が39本出品されていたのですが、オークション開催前に【Sotheby’s(サザビーズ)】の市川さんにお声がけを頂き、希少な時計を手に取って見る機会を作っていただきました。ですので、その時の写真も一部混ぜながら、ご紹介していきます。是非とも最後までお楽しみください。
※価格については、オークション落札価格に手数料(26%)が入った金額となっております。
※日本円につきましては、オークション開催直近レートを参照しております。
※HKD(香港ドル)=16.85円
※画像は全てSotheby’s参照
- ◆ Lot.2006 『カラトラバ』18KRG 「Ref.570」 HKD 1,386,000(JPY 23,354,100)
- ◆ Lot.2007 『カラトラバ』18KYG 「Ref.2526」 HKD 1,1,34,000(JPY 19,107,900)
- ◆ Lot.2009 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KRG 「Ref.1518」 HKD 22,760,000(JPY 383,506,000)
- ◆ Lot.2010 『カラトラバ』18KRG 「Ref.2526」 HKD 567,000(JPY 9,553,950)
- ◆ Lot.2018 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KRG 「Ref.2499」 HKD 60,265,000(JPY 1,015,465,250)
- ◆ Lot.2019 『カラトラバ』18KYG 「Ref.3428」 HKD 567,000(JPY 9,553,950)
- ◆ Lot.2021 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KYG 「Ref.2499」 HKD 23,365,000(JPY 393,700,250)
- ◆ Lot.2039 『パーペチュアルカレンダー ムーンフェイズ』Platinum 「Ref.3940」 HKD 945,000(JPY 15,923,250)
- ◆ Lot.2040 『カレンダー クロノグラフ』18KYG 「Ref.3970」 HKD 1,008,000(JPY 16,984,800)
- ◆ まとめ
Lot.2006
『カラトラバ』18KRG
「Ref.570」
HKD 1,386,000(JPY 23,354,100)
アンティーク『カラトラバ』と聞くと、「Ref.96」「Ref.570」「Ref.565」あたりを思い浮かべる人が多いと思います。「Ref.570」は、1938年から1972年まで比較的長く製造されていたモデルです。
今回ご紹介する個体は、1954年(アーカイブ記載)に製造され、センターセコンド仕様、ドルフィン型の時分針、ブルーに焼かれた秒針がインパクト大の1本です。18KRG(ローズゴールド)仕様はそもそも生産数が少なく、ほんのりアイボリーがかった文字盤に、表面のエナメルの質感もしっかりと残っており、非常に希少な個体と言えるでしょう。ケースコンディションも良く、ホールマークもケースサイド、ラグ裏にはっきりと確認できます。製造から70年近く経っても色褪せない存在感と個体コンディション、納得の落札価格ですね。
Lot.2007
『カラトラバ』18KYG
「Ref.2526」
HKD 1,1,34,000(JPY 19,107,900)
日本人に人気の『カラトラバ』「Ref.2526」は、”トロピカル”という言葉がピンとくる人が多いかもしれません。当時としては大きめの35.5mmケース径に、ねじ込み式の裏蓋(スクリューバック)を採用し、陶製(エナメル)の文字盤を使用したのが特徴です。
こちらは1953年に製造された個体で、初期に見られる文字盤インデックスのはめ込み部分が沈んでいる、通称”エクボダイヤル”。18KYG(イエローゴールド)のケースコンディションも良く、オリジナルのPPリューズがそのまま残っているのも高評価ポイントです。ちなみに、この”エクボダイヤル”の黒文字盤、10本程しか存在が確認出来ていないというのには驚きです。
Lot.2009
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KRG
「Ref.1518」
HKD 22,760,000(JPY 383,506,000)
1941年登場の、初代『パーペチュアルカレンダークロノグラフ』搭載モデル「Ref.1518」。
製造個体は総数で281本、そのうち18KRG(ローズゴールド)をケースに用いたのは58本と言われております。その中で”カッパー”・”サーモン”と言われるダイヤルを使用したものは、市場で14本しか確認されていないようです。
こちらは、文字盤の色味が濃く”カッパー”というのが適していると思います。製造されてから80年近く経ちますが、ホールマークもしっかりと確認出来る、ケースコンディションも素晴らしい個体です。
実際に私も手に取って時計を見させていただいたのですが、文字盤はとても綺麗で、その存在感は、、、もはや芸術品のようでした。海外の時計オークションでないと、先ず見かけることの出来ない希少モデル。いつか取り扱ってみたいですね。
Lot.2010
『カラトラバ』18KRG
「Ref.2526」
HKD 567,000(JPY 9,553,950)
『カラトラバ』”トロピカル”の18KRG(ローズゴールド)仕様「Ref.2526」。
1957年(アーカイブ記載)に製造されたこちらは、文字盤6時位置のスモールセコンド下部に「SERPICO Y LAINO CARACAS」と記載がされており、「SERPICO Y LAINO」はベネズエラの首都カラカスに当時あった正規代理店を意味しております。18KRG(ローズゴールド)を使用した「Ref.2526」は南米で販売されていた個体が多く、特に「SERPICO Y LAINO」での取り扱いが多かったようです。裏蓋にも”S & L”の刻印が入っており、コレクター心をくすぐりますね。
こちらも実際に時計を拝見しましたが、ホールマークもしっかりと確認出来、ケースコンディションの非常に良い個体でした。
Lot.2018
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KRG
「Ref.2499」
HKD 60,265,000(JPY 1,015,465,250)
1950年に登場した、【パテックフィリップ】『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』搭載モデルの二代目にあたる「Ref.2499」。1985年までの35年という長い製造期間にも関わらず、僅か349本しか製造されなかった、希少モデルです。
文字盤にタキメータースケールが書かれている「Ref.2499」の1st、2ndシリーズは特に人気で、前者と後者のもっとも分かりやすい違いは、クロノグラフボタンが角形であるか丸型であるかです。2ndシリーズで18KRG(ローズゴールド)ケースを採用した時計はわずか9本しか知られておらず、リテイラーの記載が入ってる時計はこちらの1本のみのようです。6時位置のムーンフェイズ下部に「GOBBI.MILANO」と記載がありますが、イタリアのミラノにある有名な正規代理店です。驚くほどケースコンディションが良く、落札価格は日本円で10億円オーバー、、、ただ、これだけ希少で抜群の状態であれば、納得の金額と言わざるを得ません。
Lot.2019
『カラトラバ』18KYG
「Ref.3428」
HKD 567,000(JPY 9,553,950)
『カラトラバ』「Ref.2526」”トロピカル”の後継モデル「Ref.3428」。
このモデル、存在自体を知らない人も多いのではないでしょうか?「Ref.2526」と同じケース経35.5mmのモデルですが、薄型で軽量化された【パテックフィリップ】第二世代自動巻きムーブメント「Cal.27-460」を採用したことにより、ケースの厚みが薄くなっているのです。
「Ref.3428」は、1960年に製造が開始されたと言われておりますが、期間や個数などはあまり知られておらず、市場での出回りも非常に少ないモデルです。
こちらも実際に拝見させていただき、ケースコンディションの良さ、ホールマークもしっかりと確認がとれました。非常に好印象な個体で、思わず入札を考えた1本です。
Lot.2021
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KYG
「Ref.2499」
HKD 23,365,000(JPY 393,700,250)
Lot.2018同様、【パテックフィリップ】『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』搭載18KYG(イエローゴールド)仕様「Ref.2499」の2ndシリーズ。
特筆すべきは、時・分針、文字盤インデックスに夜光が使用されている点です。アーカイブにも記載されておりますが、2ndシリーズで夜光が使用されているのはこの個体のみという極めてレアな1本です。リューズは交換されていますが、オリジナルの保証書も付属するコレクションピースでございます。
こちらも直接拝見させていただきましたが、思わずため息が出てしまうほど美しかったです。落札価格は日本円で約4億円ですが、正直リーズナブルに感じてしまいました。もちろん、自分が買えるわけありませんが、、、(笑)
Lot.2039
『パーペチュアルカレンダー ムーンフェイズ』Platinum
「Ref.3940」
HKD 945,000(JPY 15,923,250)
『パーペチュアルカレンダー ムーンフェイズ』「Ref.3450」に代わって1985年に登場した「Ref.3940」。2007年まで製造され、これまでは比較的リーズナブルに入手することが出来た、パーペチュアルカレンダー搭載モデルです。
よくよく考えてみると、これまで取り扱ったことがあるのは18KYG(イエローゴールド)仕様が多く、18KRG(ローズゴールド)仕様と18KWG(ホワイトゴールド)仕様は玉数が少ない印象、、、あれ?Platinum(プラチナ)仕様ってそもそも見たことあったかな?もしや初めて見たのではないか?と、思ってしまいました。それほど出回りが少ないモデルであります。
こちらのモデルも実際に拝見させていただきました。これまでご紹介したモデルと比べると、現行よりではありますが、9時位置の24時間表示のインダイヤルの色味など、クラシカルな雰囲気も持ち合わせており素敵な個体でした。落札価格も日本円で約1600万円。納得です!
Lot.2040
『カレンダー クロノグラフ』18KYG
「Ref.3970」
HKD 1,008,000(JPY 16,984,800)
閏年表示を初めて採用した【パテックフィリップ】『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』搭載モデルの三代目「Ref.3970」。レマニア製のムーブメント「Cal.CH 27-70 Q」を搭載している人気のモデルです。
こちら個体は極めてケースコンディションが良く、前述の「Ref.3940」同様、9時位置の24時間表示インダイヤル、ストレート仕様のクロノ針と、クラシカルな雰囲気漂う1本。オリジナルの保証書、付属品類も完備しているコレクターズアイテムですね。コミット銀座でも比較的最近に「Ref.3970」を取り扱ったのですが、お問い合わせも非常に多く、早期に販売が完了しました。改めて、注目されているモデルであると感じます。
まとめ
今回、Sotheby’s(サザビーズ)様、市川様のご厚意により、出品された貴重な時計を前もって見せていただくことが出来ました。本当にありがとうございました。
アンティークウォッチは、実物を見るからこそ分かる・感じるところが多いと思います。なかなか実際に手に取れる機会は少ないので、このような機会をいただけた際は、しっかりと実物を見た感想を踏まえて、皆さまにご紹介させていただきたいと思います。
それでは次回もお楽しみに。
ではまた!