皆さん、こんにちは。

今回は、2022年5月27日、28日に開催された【PHILLIPS(フィリップス)】”The Hong Kong Watch Auction: XIV”の結果から、予想落札金額と落札金額との差(上昇率)が大きかったモデルの上位TOP10を、ランキング形式でご紹介したいと思います。一体どのモデルがランクインしたのでしょうか?是非最後までお楽しみください!

*価格については、オークションの落札価格に手数料(26%)が入った金額となっております。
*日本円につきましては、オークション開催直近レートを参照しております。
*HKD(香港ドル)=16.61円換算
*画像は全てPHILLIPSを参照しています

【※文中に出てくる用語について】
*LOT(ロット):オークション出品物に付けられた番号。競売はこのロット番号の順に行われる。
*Estimate(エスティメート):各オークション会社が想定している『落札予想価格』。

予想落札金額越え!TOP10ランキング

第10位 ■LOT.995
【F.P. Journe】
『Octa Zodiaque』

Point
2004年から2007年頃まで世界限定150本で製造されていた【F.P.ジュルヌ】のプラチナ製『オクタ ゾディアック』。ゾディアックとは星座のことを指しており、ダイヤル外周部分に表示される12星座(黄道12星座)が目を引くデザインとなっています。ムーブメントには「研究に3年、開発に2年を要した」とする、ロジウム仕上げが施された真鍮製の地盤に、ローズゴールド製ローターを採用した「Cal.1300-1」が搭載されています。120時間のロングリザーブもさることながら、その色彩の対比が美しく、貴重なムーブメントを搭載していることも最大限評価された要因かと思います。

Estimate : HKD 235,000 – 390,000
SOLD:HKD 1,512,000(JPY 25,114,320)
上昇率:388%

【出典】フィリップス

第9位 ■LOT.939
【Patek Philippe】
『Perpetual Calendar』「Ref.3940」

Point
現【パテックフィリップ】会長「フィリップスターン」も愛用している「Ref.3940」。1985年から2007年頃までの約20年間で7000本ほど製造されたと言われています。今回出品されたのは、1760年に創業したスイス最古の時計店として知られる、チューリッヒの時計宝飾店「バイヤー・クロノメトリー」の225周年を祝い、25本限定で製造されたモデル。「Ref.3940」の大半はシルバーダイヤルが採用されていることもあり、こちらのシャンパンダイヤルは非常に珍しく、まさにオークションピースといえる1本です。

Estimate : HKD 320,000 – 470,000
SOLD:HKD 1,890,000(JPY 31,392,900)
上昇率:402%

【出典】フィリップス

第8位 ■LOT.1056
【Rolex】
『GMT-Master II “Chuck Yeager”』「Ref.16710」

Point
世界で初めて音速の戦闘機を操縦したといわれる、アメリカ空軍パイロット「チャックイェーガー」の音速飛行50周年を記念し、1997年に登場した『GMTマスターⅡ』「Ref.16710」。日本のミリタリーファッションブランド「リアルマッコイズ社」が企画したダブルネームモデルです。こちらの個体はシリアルが1番(1/50)、付属品が完品、なおかつ未使用品ということもあり、高値での落札となりました。
【1997年発売1stモデル内訳(U番のみ)】
・『GMTマスター』Ref.16700(50本/黒ベゼルのみ)
・『GMTマスターⅡ』Ref.16710(50本/赤黒ベゼルのみ)
【1999年発売2ndモデル内訳(A、P番のみ)】
・『GMTマスター』Ref.16700(150本/黒&赤青ベゼル)
・『GMTマスターⅡ』Ref.16710(150本/赤黒ベゼルのみ)

Estimate : HKD 160,000 – 240,000
SOLD:HKD 1,008,000(JPY 16,742,880)
上昇率:420%

【出典】フィリップス

第7位 ■LOT.905
【Universal】
『Compax “Nina Rindt”』「Ref.885105/02」

Point
1894年に「エミーユ デコーム」と「ジョルジュ ペレ」によって、スイスのル・ロックルで設立された【ユニバーサルジュネーブ】。実用性の高いクロノグラフを製作し、大戦時には階級が高い将校、航空や医療等に従事する人々の要望に応えて、多くの名機を生み出したブランドです。こちらは、F1ドライバー「ヨッヘン リント」の妻である「二ナ リント」が愛用していたことがきっかけとなり、通称”Nina Rindt(二ナ リント)”とも呼ばれているモデルです。ヴィンテージ【ロレックス】好きな方はご存知だと思いますが、手巻き『デイトナ』にも搭載されているムーブメント「Cal.バルジュー72」ベースの「Cal.85」を搭載していることでも有名です。また「TACHYMETRE」表記ではない「PULSATIONS」表記のベゼルは、1966年から1967年の短期間にかけて存在し、その製造本数は200本以下と言われています。

Estimate : HKD 55,000 – 95,000
SOLD:HKD 403,200(JPY 6,697,152)
上昇率:424%

【出典】フィリップス

第5位 ■LOT.1081
【Konstantin Chaykin】
『Clown II Audacity』

Point
こちらは、ロシア初の独立時計師であるKonstantin Chaykin(コンスタンチン・チャイキン)がオーナーを務めるブランドから発売された『クラウンⅡ』。彼は通称”アカデミー”と呼ばれる、AHCI「Academie Horlogere Des Createurs Independants(国際的独立時計師団体)」に所属しており、独創的な時計を製作することで知られています。2017年バーゼルワールドで発表となった『クラウン』は、小説家「スティーブン キング」の作品の影響を受けてデザインされた時計です。こちらは2020年に88本限定で発売された『クラウンⅡ』ですが、その独創性あるデザインには驚愕ですね。

Estimate : HKD 50,000 – 80,000
SOLD:HKD 352,800(JPY 5,860,008)
上昇率:441%

【出典】フィリップス

第5位 ■LOT.899
【Gérald Genta】
『Retro “Mickey Mouse”』「Ref.G3632」

Point
ウォルトディズニーのキャラクター使用の権利を取得し、数々の『レトロファンタジー』シリーズをリリースした【ジェラルド ジェンタ】。こちらはゴルフとミッキーマウスをモチーフにしたモデルで、文字盤4時位置の表示窓は”時”を、ミッキーの持つゴルフクラブは”分”を示しており、60分まで行くとキャラクターが腕を振り”0”の位置に戻る仕様となっています。また、自動巻きムーブメントには、「レトログラード」と「ジャンピングアワー」の複雑機能が搭載されており、「レトログラード」表示にはさりげなくホワイトシェルが使用されています。高品質な素材と高い技術、そして遊び心を上手く融合させたタイムピースですね。

Estimate : HKD 24,000 – 40,000
SOLD:HKD 176,400(JPY 2,930,004)
上昇率:441%

【出典】フィリップス

第4位 ■LOT.903
【Patek Philippe】
『Aquanaut “Japan”』「Ref.5066A-010」

Point
1997年に発表された人気のラグジュアリースポーツモデル『アクアノート』。こちらは1998年頃発売のブルーダイヤルが採用された日本限定500本モデルです。ちなみに【パテックフィリップ】は国にフォーカスした限定モデルをほとんどリリースしていません。『アクアノート』では「ウォッチアート・グランド・エグジビション シンガポール2019」にて、シンガポール限定500本でリリースされた「Ref.5167A-012」しかないかと思います。今でこそ、ブルーダイヤルの『アクアノート』は「Ref.5168G-001」がありますが、ホワイトゴールド製であり、日本限定モデルのステンレス製とは異なることもあって、希少性とともに高値がついたと思われます。

Estimate : HKD 160,000 – 250,000
SOLD:HKD 1,134,000(JPY 18,835,740)
上昇率:454%

【出典】フィリップス

第3位 ■LOT.838
【Rolex】
『Oyster Perpetual 41 “Tiffany Blue”』「Ref.124300」

Point
CHRISTIE’S(クリスティーズ)】での高額落札が記憶に新しい【ロレックス】『オイスターパーペチュアル』「Ref.124300」。シンプルなデザインに爽やかなターコイズカラーの文字盤が特徴のモデルです。今回、エスティメートこそ低い設定とはなっていましたが、実勢相場に近い金額での落札でしたので、まだまだ今後が期待出来るモデルとして認識されているのかもしれません。それにしても、様々なブランドがこぞってターコイズカラーのモデルを発表しておりますが、このブームはいつまで続くのか、気になるところですね。

Estimate : HKD 40,000 – 60,000
SOLD:HKD 302,400(JPY 5,022,864)
上昇率:504%

【出典】フィリップス

第2位 ■LOT.1014
【Lang & Heyne】
『Georg “Enamel”』

Point
時計師家系5代目として生まれた「マルコ ラング」と【ランゲ&ゾーネ】の見習工であった「ミルコ ハイネ」の二人により、2001年に設立された、ドイツ:ドレスデン発の【ラング&ハイネ】。今回出品されたのは、ブランド初となるレクタンギュラーモデル『ゲオルグ』。搭載されている「Cal.Ⅷ」は専用の角形ムーブメントで、ドイツ時計らしい美しい造形が最大の魅力です。その手間の掛け方から、年間製造本数が50本から70本程度とも言われ、なかでもこちらは、エナメルダイヤルにプラチナ製ケースを備えた希少モデルとなります。

Estimate : HKD 64,000 – 94,000
SOLD:HKD 504,000(JPY 8,371,440)
上昇率:536%

【出典】フィリップス

第1位 ■LOT.1118
【Ressence】
『Type 1S HOD』

Point
2010年設立、ベルギーのアントワープ発の工業デザイナー「ペノワ ミンティエンス」が理想の時計作りを目標に創業した【レッセンス】。ブランド名はルネッサンスとエッセンスを融合した造語となっています。【レッセンス】の時計の特徴は、凹凸のない丸みのあるシルエット、そしてリューズ・ブランドロゴが無く、機械式ムーブメントを搭載していること、さらに短針・長針・秒針・AM/PM針がそれぞれ独立して回って動くという、レギュレーターディスプレイとなっている点です。こちらは2021年に「Hodinkee」と共同製作で20本限定で発売された2ndモデルで、文字盤がスケルトン化されており、独特なデザインとなっています。

Estimate : HKD 20,000 – 40,000
SOLD:HKD 226,800(JPY 3,767,148)
上昇率:567%

【出典】フィリップス

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回のオークション結果を見ると、人気や注目度でエスティメートが高めに設定されているモデルが、順当に落札されていた印象でした。そして、近年の傾向でもありますが、状態や付属品も重要視されていたと感じます。ランクインしたモデルは、新興ブランドや今後の上昇期待も含めて注目されたモデルだと思いますが、初めてその名を聞いたブランドもあったのではないでしょうか。

また、コミット銀座店主 阿部が「パテックフィリップ論」にて今回のPHILLIPS(フィリップス)】”The Hong Kong Watch Auction: XIV”で注目した 【パテックフィリップ】を解説していますので、是非そちらもご一読ください。

ではまた!

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