みなさんこんにちは。

今回は、昨今の人気・価格上昇が目まぐるしいノーチラスについて書きたいと思います。先ず、ノーチラスを語る上で外せないのが、1976年に発表された「Ref.3700/1」通称ジャンボではないでしょうか。

今では海外オークションでもたまにしか出品されておらず、状態や付属品によっては1000万円を超えてくるモデルとなっています。

15年ほど前、私が時計業界に入って間もない頃、3700のSSモデルは個体自体が少ない印象であり、200〜250万円くらいの販売価格だったと記憶しています。

3700のムーブメントは、日付の送りを2時と前日の10時(22時)を行き来させ変更させる、ジャガールクルト製の「Cal.28-255SC」を搭載。秒針の無い時分針のみのデザインは、知る人は見た瞬間に3700と分かると思いますが、当時はロイヤルオークしかり、デザインを見ると何の変哲もない時計というイメージが強かったです。しかし、後に知るIWCのインヂュニアも含め、かのジェラルド・ジェンタ氏がデザインした時計であり、今となっては無駄がなく完成されたデザインは、逆に研ぎ澄まされたカッコ良さへとイメージが変わりました。

その数年後に、ミディアムサイズの「Ref.3800」が登場する訳ですが、自分の中では、15〜10年くらい前は比較的見ていたモデルで、素材や文字盤の種類、付属品の有無によっては、60〜70万円くらいから売られていた記憶があります。


SSモデル「3800/1A」の最終仕様が、黒文字盤にローマインデックス、リーフハンドの組み合わせで、生産終了近くでも新品の物が160〜170万円で売られていた記憶があります。ただ、プラチナのモデルは珍しく、今まで2、3本は見てますが、当時でも400万円以上はしていたと思います。18KWGのモデルも珍しく数は少ないと思います。サイズ感はやや小ぶりではありますが、日本人は手首回りが細い方も多く、支持がされているモデルだと思います。当店でも多数扱いがありますが、SSモデルでブルーの文字盤は特に人気があります。

ジャンボサイズで文字盤にパワーリザーブ表示を備え、インデックスがローマ数字へと変わった「Ref.3710/1A」当時の印象は薄いのですが、今となっては面白いデザインです。市場に出回っている本数は、今ではあまり多くはないと思います。

まだ購入がしやすい時期、価格帯(300万円代)の時に私が特におすすめしていたのが「Ref.3711/1G」18WGのケース・ブレスレットに黒文字盤で三針という究極にシンプルでありながらもカッコいい時計。生産期間も比較的短く、流通されていた個体も少ないのも手伝って、今では1000万円オーバーになっていると思います。

ノーチラス生誕30周年

2006年。ノーチラス生誕30周年を記念して、複数のモデルが発表されます。
最も有名な「Ref.5711/1A」

ミディアムサイズの「Ref.5800/1A」

その他「Ref.3712/1A」「Ref.5712G」「Ref.5712R」「Ref.5980/1A」

中でも、先行で2005年に製造された「Ref.3712/1A」「Ref.5800/1A」は、生産期間が短く本数も少ないため、現時点では当時予測をし得ないほどに価格が上がったモデルといえます。いずれも2ピースのケース構造に裏蓋がシースルー、リューズがねじ込み式ではないのが共通しています。「Ref.3712/1A」は、ノーチラスにプチコンのムーブを搭載したモデル。初めて見た時に文字盤上に無駄なく配列されたデザインのカッコ良さに惹かれたのを今でも覚えています。自分の中では、ノーチラスのモデルの中で、サイズも含めて一番カッコいいと思っているのが、このプチコンモデルです。

「Ref.5800/1A」は、生産期間が比較的長かった「Ref.3800」の後継モデル。当時のイメージとしては、先代からの革新的な変化は感じられず、裏蓋がシースルーに変わった程度でしたが、当時からほとんど見かける機会がなく、中古相場も高かった印象です。あらためて見ると、「Ref.3800」のデザインを引継ぎ、うまく落とし込んだ感はさすがだなと思います。コミットでも過去に数本取り扱いがございますが、現在では【付属品完備で状態の良い個体】だと、市場で500万円以下で見つけるのは難しいと思います。

また、個人的に好きなモデルとしては、プチコンプリケーションのレザーストラップ仕様である「Reff.5712G」と「Ref.5712R」。未だに現行として続いているロングセラーモデルで、最近扱った「5712G」2020年の製造モデルを見て思ったのは、文字盤がシルバー感が強くなり、良い意味でイマっぽさが醸し出され、非常にカッコイイ印象でした。

【 Ref.5980 】

今までのパテックフィリップの時計からすると、斬新なデザインが目を引いた、ノーチラス のクロノグラフモデル「Ref.5980/1A」

自社製ムーブメントを搭載し、6時位置には60分計と12時間計を同軸で統合したデュアル・サブダイヤルが備えられています。当時、話題性はかなりありましたが、発売当初はそこまで人気は高くなかったと記憶してます。インダイヤルが同色の白文字盤、黒文字盤と3種類の文字盤があり、それぞれの良さがありますが、青黒の文字盤の人気は高く、価格も高値で安定していると思います。

2010年にはローズゴールド仕様でストラップモデルの現行「5980R」がデビュー。2013年にはSSとRGコンビネーションでブルーの文字盤が鮮やかな「5980/1AR」、見た目と裏腹に250g超の重さで圧倒的なインパクトがあるRGブレスタイプの「5980/1R」が同色インダイヤルで発表され、現行ラインアップとなっています。「5980/1AR」の発表当初は、斬新なイメージが強く、あまりかっこ良くないのかな?と思ってましたが、先日扱った際にあらためて見ると、とてもカッコ良い時計だと思いました。「5980/1R」は、発表当初は市場で800万円代で売られていたのを記憶してます。数もそこまではなかった気がしてますが、今ではとんでもなく高い値段で取引がされていると思います。

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ノーチラスは書き始めると本当に書く内容が豊富です。(笑)なかなか語り切れそうにないので、続きは第4回目に書かせていただきますね。決して書き疲れたわけではありませんよ。(笑)

次回もいい内容がお送りできるように毎日ノーチラスの事を考えるようにします。一番人気の「Ref.5711」につきましては、続編でしっかりと触れて行きますので、その辺りも楽しみにしていてください。

阿部泰治のパテック論