みなさん、こんばんは。

前回に続き、11月24(金)、25日(土)香港で開催されたPHILLIPS(フィリップス) の時計オークションの結果をお伝えしていきます!ご存じの方も多いかと思いますが、今回は久々に現地へと赴き、実際に自分の目で見てきましたので、感想も含めてご紹介出来ればと思いますので、早速見ていきましょう!

※価格については、オークションの落札価格に手数料(27%)が加わった金額となっております。
※日本円につきましては、オークション開催時の直近レートを参照しております。
※HKD(香港ドル)=19.17円
※画像は全てPHLLIPS参照

Lot.810
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KWG
「Ref.5970G-001」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/810

Estimate:HKD 800,000 – 1,400,000
(JPY 15,336,000 – 26
,838,000)

Sold for HKD 1,524,000(JPY 29,215,080)

『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』第四世代にあたる「Ref.5970G-001」。

2004年のバーゼルワールドにて発表されたこちらは、ややグレーがかったシルバーの文字盤と18KWG(ホワイトゴールド)ケースの組み合わせが美しく、大人の品格が漂う一本となっています。当店でも過去に販売した実績はございますが、入荷しても即販売と、非常に人気が高くなっておりましたが、今回の落札結果を見ても、しっかりとEstimateを越えており、その人気の高さが伺えるのではないでしょうか。

Lot.842
『パーペチュアルカレンダー レトログラード』18KRG
「Ref.5059R-017」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/842

Estimate:HKD 630,000 – 1,250,000
(JPY 12,077,100 – 23
,962,500)

Sold for HKD 635,000(JPY 12,172,950)

スナップ式バックケースを採用したオフィサーケースが特徴的な『パーペチュアルカレンダー レトログラード』「Ref.5059R-017」。

サンバースト加工が施されたブラウン文字盤に、アップライドのローマンインデックスを配した美しい仕上がりのこちらは、ケースバックを開けると、2100年2月末までカレンダー調整が不要と言われているムーブメント「Cal.315S-QR」を鑑賞いただけます。表裏どちらからも見ても魅力的なモデルでありましたが、実際に時計を手に取って見てみると、やはりブラウン文字盤と、アップライドのローマインデックスの組み合わせが、非常にお洒落で魅力溢れる一本となっていました。

Lot.843
『ミニットリピーター パーペチュアルカレンダー レトログラード』18KRG
「Ref.5013R-013」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/843

Estimate:HKD 2,300,000 – 3,900,000
(JPY 44,091,000 – 74
,763,000)

Sold for HKD 2,540,000(JPY 48,691,800

トノー型のケースに複雑機構を複数搭載した『ミニットリピーター パーペチュアルカレンダー レトログラード』「Ref.5013R-013」。

1992年から2010年までの約18年間に渡り生産されていたこちらは、文字盤上に表記こそございませんが、ニューヨークのTIFFANYブティックで販売された個体とのことです。希少な18KRG(ローズゴールド)ケース×黒文字盤の組み合わせでもあり、時計の来歴も非常に興味深くなっておりますので、まさにオークションピースに相応しい一本ではありますが、落札価格は非常にリーズナブルになっていたのではないでしょうか。購入出来た方はラッキーですね!

Lot.850
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT
「Ref.5971P-001」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/850

Estimate:HKD 1,300,000 – 1,950,000
(JPY 24,921,000 – 37
,381,500)

Sold for HKD 2,413,000(JPY 46,257,210)

レマニアベースのムーブメントを搭載した、『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』「Ref.5971P-001」。

PT(プラチナ)ケース×バゲットダイヤモンドベゼル仕様のこちらは、流通個体が極めて少なく、市場で見る機会はほとんどございません。ゴージャスでありながらもブラック文字盤がクラシックな印象を与え、堂々たる佇まいとなっています。落札価格はEstimateを越えておりますが、市場相場と比べてみるとリーズナブルな結果なのではないでしょうか。

Lot.858
『ミニットリピーター パーペチュアルカレンダー』PT
「Ref.3974P-001」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/858

Estimate:HKD 8,800,000 – 17,600,000
(JPY 168,696,000 – 337
,392,000)

Sold for HKD 14,365,000(JPY 275,377,050)

1989年~2002年まで約120本製造されていた『ミニットリピーター パーペチュアルカレンダー』「Ref.3974P-001」。

こちらのモデルは、PT(プラチナ)仕様の他に、18KYG(イエローゴールド)、18KRG(ローズゴールド)、18KWG(ホワイトゴールド)が製造されていますが、PT(プラチナ)仕様は10本程しか製造されていないと言われています。更にこちらの個体、ほぼ最終に近い製造であることに加え、通常はバーインデックス仕様のはずが、ブレゲ数字のインデックスが使用されているということで、Estimateが驚愕の金額を付けていました。世界オークションならではの落札金額となっていますが、これだけの希少品であれば納得であります。

Lot.863
『ワールドタイム クロワゾネ』18KRG
「Ref.5131R-001」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/863

Estimate:HKD 620,000 – 1,100,000
(JPY 11,885,400 – 21
,087,000)

Sold for HKD 698,500(JPY 13,390,245)

ワールドタイム「Ref.5130」をベースとした、『ワールドタイム クロワゾネ』「Ref.5131R-001」。

文字盤中心部にクロワゾネで描かれた世界地図には、日本も描かれており、色味も美しいモデルとなっています。ここのところ市場で見かけることもめっきり少なくなりましたが、こちらのモデルはなんと!ビニール未開封のシングルシールド状態!過去の世界オークションでは、幾度となく記憶に残る落札価格を叩き出してきた『ワールドタイム クロワゾネ』ですが、今回はリーズナブルな結果となっていました。しかしながら、今までの動向を加味すると、今後もっと評価されるモデルへと進化していくのではないでしょうか。

Lot.864
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT
「Ref.5271/13P-001」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/864

Estimate:HKD 2,200,000 – 3,800,000
(JPY 42,174,000 – 72
,846,000)

Sold for HKD 5,842,000(JPY 111,991,140)

グリーンのエメラルドが散りばめられた『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』「Ref.5271/13P-001」。

こちらのモデルは、ベゼル、ラグ、バックルに80個のバゲットカットのエメラルドがセットされた非常に豪華な仕様となっています。ブラックの文字盤に映えるよう、12時位置のインデックスにもエメラルドがセットされ、グリーンのクロノグラフ針もセットされるなど、とにかくグリーンとブラックのコントラストが美しい一本となっています。こちらの「Ref.5271」はエメラルドの他、ルビー、ブルーサファイアがセットされたモデルもございますが、取り分けこちらのエメラルドの人気が特に高く、落札価格もEstimateを大幅に上回る結果となっていました。この美しさを考えれば、納得の一言です。

Lot.880
『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』PT
「Ref.5004P-041」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/880

Estimate:HKD 2,600,000 – 5,200,000
(JPY 49,842,000 – 99
,684,000)

Sold for HKD 6,286,500(JPY 12,656,820)

1994年にPT(プラチナ)仕様で登場した『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』「Ref.5004P-041」。

アラビア数字のアップライドインデックス、インダイヤルのデザイン、リーフハンド等、純粋に「カッコいい!」と思える箇所が盛り沢山のこちらは、36mmのやや小ぶりなケースに、スプリットボタンを兼ね備えた大きめのリューズを備えたことで、実寸以上に大きく感じる、”インパクト大”のデザインとなっています。ただでさえ希少な「Ref.5004」ですが、こちらのモデルは特別にデザインされた文字盤を採用した、極めて稀な個体となっており、今回のオークションの中で一番注目していたモデルでもあります。落札結果はと言うと、Estimateを当然のように越えて、納得の結果となりました。そして、直接このモデルを見る事が出来たのは幸運であったかと思います。

Lot.921
『10デイズ トゥールビヨン』18KRG
「Ref.5101R-001

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/921

Estimate:HKD 700,000 – 1,400,000
(JPY 13,419,000 – 26
,838,000)

Sold for HKD 889,000(JPY 17,042,130)

10日間のパワーリザーブの他、トゥールビヨンも搭載している、実用性に優れた仕様の『10デイズ トゥールビヨン』「Ref.5101R-001」。

特徴的な形状のケースに、背面からのみ鑑賞することが出来るトゥールビヨンが搭載されたこちらは、まさに【パテックフィリップ】の技術力が詰まった一本です。2003年に発表された初代の「Ref.5101P-001」は、当店でも販売実績がございますが、やはり注目度は高く、問い合わせを多数いただき即販売完了に至っています。そして今回の結果はと言うと、非常にリーズナブルだったのではないかと思います。好みこそ分かれますが、トゥールビヨン搭載モデルでありながらも、まだこのような価格帯で留まっているのであれば、今後まだまだ伸びしろがあるかと思います。

Lot.932
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KWG
「Ref.5270G-013」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/932

Estimate:HKD 550,000 – 1,100,000
(JPY 10,543,500 – 21
,087,000)

Sold for HKD 825,500(JPY 15,824,835)

2014年に登場した「Ref.5270」の第二世代にあたる「Ref.5270G-013」。

初代に比べ、時分針、インダイヤルの針、インデックスがシルバーカラーに、文字盤外周部がタキメーターに、そして3時、9時位置のインダイヤルのデザインが変わるなど、多くの変更点が加わったことで、人気を博した「Ref.5270」。しかし、人気ながら製造期間僅か1年と、非常に短命となってしまったことで、未だに探している方が多い希少モデルとなっています。落札価格を見てみると、市場での販売価格は10%〜15%ほど上であるかと思いますので、非常にお得感があったのではないかと思います。こちらのように、思いの外”リーズナブル”に購入出来るのも、オークションならではの醍醐味でもありますね。

Lot.933
『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』PT
「Ref.5004P-033」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/933

Estimate:HKD 1,950,000 – 2,750,000
(JPY 37,381,500 – 52
,717,500)

Sold for HKD 2,794,000(JPY 53,560,980)

レマニア製のムーブメントを搭載した『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』「Ref.5004P-033」。

こちらは、PT(プラチナ)ケースにダイヤモンドのインデックスを配した上品な仕様となっていますが、主張が激しすぎず、使い勝手の良い一本であるかと思います。更に、ビニール未開封のシングルシールド状態、且つ高年式個体であるという点は非常に魅力的で、やはりEstimateを上回る結果となりました。このような状態の固体は市場で見掛けることがほぼありませんので、落札された方は重宝するのではないでしょうか。

Lot.961
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT
「Ref.5271/12P-001」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/961

Estimate:HKD 2,000,000 – 3,500,000
(JPY 38,340,000 – 67
,095,000)

Sold for HKD 4,635,500(JPY 88,862,535)

ルビーが至るところに散りばめられた豪華な仕様の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』「Ref.5271/12P-001」。

こちらは、Lot.864でご紹介したモデルと基本的には同じ仕様となっておりますが、ベゼル、ラグ、バックル、12時位置のインデックスに、見ての通りバゲットカットのルビーがセットされています。更には、こちらはビニール未開封のシングルシールド状態と、より希少な一本となっています!そして気になる結果は、エメラルドほどの落札価格とはならなかったものの、Estimateを大きく上回りました!シングルシールドの状態は、時計の良さが伝わり辛いところもありましたが、手に取った時のオーラは凄まじく、妖艶さも持ち合わせた魅力的なモデルでした。

Lot.983
『ノーチラス』PT
「Ref.5711/1P-010」

*出典元:https://www.phillips.com/detail/patek-philippe/HK080423/983

Estimate:HKD 3,900,000 – 7,800,000
(JPY 75,763,000 – 149
,526,000)

Sold for HKD —

【パテックフィリップ】の上顧客向けに、2012年~2016年の間に製造・販売された『ノーチラス』「Ref.5711/1P-010」。

こちらはカタログにも掲載されていなかったPT(プラチナ)ケースの『ノーチラス』で、個体数については諸説ございますが、50本程ではないかと言われている希少個体です。結果を心待ちにしていたのですが、残念ながら出品自体が取り止めになってしまったとの事でした。今後の『ノーチラス』相場、今の市況を見るバロメーターとして、現状のオークションでの温度感(落札価格)を知りたかったところでしたが、またの出品を楽しみに待ちたいと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は11月24日(金)、25日(土)に香港で開催された【PHILLIPS(フィリップス)】の時計オークションの中で、注目すべき個体を厳選してご紹介させていただきました。結果を見ると、やはり希少且つ人気のモデルはどれも高い金額で落札されており、市況の影響こそ幾ばくかはございますが、【パテックフィリップ】は雲上時計と呼ぶに相応しいブランドなのだと改めて実感いたしました。オークション結果は市場の実勢価格とリンクしている部分もありますので、その他オークション結果も注視し、パテック論にてお伝えできればと思います。

ではまた!

阿部泰治のパテック論