日本が世界に誇る高級腕時計ブランド【グランドセイコー】。【セイコー】の上位コレクションとして1960年に登場し、日本だけでなく世界から高い評価を得て2017年にブランドとして独立しています。
今回は【グランドセイコー】と【セイコー】の違いや歴史、そして人気モデルをご紹介致します。「グランドセイコーとセイコーの違いは何?」「グランドセイコーの時計が気になる!」「ブランドについて詳しく知りたい!」という方は、特に本記事を参考にしてみてください。
2017年に【セイコー】から独立した【グランドセイコー】。1970年代のクォーツショックの当事者である【セイコー】の上位コレクションとして1960年に初めて登場し、以来、実用性と優れたデザイン性、そして圧倒的な技術力の高さで世界的な評価を獲得してきました。
多くの高級腕時計ブランドの中でも、数少ないマニュファクチュールブランドとして知られ、(※マニュファクチュールとは、ムーブメントの部品製造から組立、時計作りに関わる全てを自社で担うことを指します。)多くのブランドがムーブメント製造を専門会社に依頼することが多い中、その全てを自社で担っている稀有なブランドと言えます。
スイスの高級腕時計ブランドにも匹敵する、圧倒的な技術力を持ちながらも、100万円以下で買えるモデルが多数あり、コストパフォーマンスに優れている点は大きな魅力の一つです。高品質でありながら、これだけ価格を抑えて腕時計を入手できるというのは、【グランドセイコー】ならではと言えるでしょう。
*出典元:https://www.webchronos.net/features/51609/
前述の通り、【グランドセイコー】は【セイコー】から2017年に独立しています。【セイコー】が汎用モデルの取り扱いをメインとしているのに対し、【グランドセイコー】は高級路線の時計を中心に取り扱っております。
【セイコー】は幅広い層に向けたモデル展開。一方で【グランドセイコー】は、世界でもトップクラスの高級腕時計ブランドと肩を並べる為に、その方針の舵を切ったと言われています。2018年にはアメリカに【グランドセイコー】の新会社も設立し、明確に国際路線へと展開していることが分かりますね。
ここからは【グランドセイコー】の歴史をターニングポイントとなった出来事を中心にご紹介いたします。
初代【グランドセイコー】の誕生
*出典元:https://www.webchronos.net/features/51609/
【セイコー】が世界の高級腕時計ブランドに対抗するモデルとして、【グランドセイコー】を生み出したのは1960年。搭載ムーブメント「Cal.3180」は、当時最も高精度とされたスイス・クロノメーター検査基準の優秀級規格と同等レベルの高精度を実現し、大きな話題となりました。上級国家公務員の初任給が12,000円だった当時、25,000円という発売価格だったことからも、破格の高級品だったことが分かります。
1967年には、現在の【グランドセイコー】のデザインを確立させた「44GS」や、ブランド初の自動巻きモデル「62GS」を発表します。この頃には、スイス天文台コンクールで上位を独占するようになり(※スイス天文台コンクールとは、時計の精度の高さを競うコンクールであり、初めてスイス以外のブランドである【セイコー】が、上位に食い込む快挙を成し遂げました。)翌年からこのコンクールは開催されなくなりましたが、それは【グランドセイコー】が上位を独占することを避けたためとも言われているのです。
新たなムーブメント、スプリングドライブの開発
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/worldofgrandseiko/Manufacture/shinshuwatchstudio
1969年、【セイコー】が開発した世界初のクォーツ式時計によって、機械式時計が売れなくなってしまう「クォーツショック」が起こります。実はこの「クォーツショック」の波は、機械式時計である【グランドセイコー】にも影響を及ぼしていました。
「クォーツショック」によって【グランドセイコー】はしばらく休眠状態となりますが、1988年に年差±10秒という高精度なクォーツ時計「95GS」を発表し、復活を遂げます。2004年には【セイコー】独自の新たなムーブメント”スプリングドライブ“を搭載したモデルを発表し、時計業界を驚かせました。(※スプリングドライブとは、ぜんまいを動力源にしながら、クォーツ並の精度を実現するという、機械式とクォーツ式の良いとこ取りをしたようなムーブメントのことです。)ちなみに、この”スプリングドライブ”は1999年に開発自体はされていましたが、【グランドセイコー】の高い基準の時計に搭載するため、更に4年の開発期間を要したのです。
そして、2017年に【セイコー】から独立し、【グランドセイコー】という1つのブランドとして新たなスタートを切ったのです。
【グランドセイコー】では数多くの時計がラインアップされています。そんな多くのモデルの中から、実際にどうやって選べば良いのか?参考となる選び方をご紹介したいと思います。
コレクションから選ぶ
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/heritage/h4
現在【グランドセイコー】は、大きく5つのコレクションが展開されています。
【エレガンスコレクション】:ドレスウォッチを中心としたコレクション
【スポーツコレクション】:カジュアル、アクティビティ向けのコレクション
【マスターピースコレクション】:ブランドのハイエンドコレクション
【エボリューション9コレクション】:日本の美意識をデザインに落とし込んだコレクション
特に人気が高いのは【ヘリテージコレクション】。スーツに合わせやすいクラシックなデザインで、視認性に優れた文字盤や高精度といった実用性の高さが魅力的です。
ムーブメントから選ぶ
*出典元:https://www.webchronos.net/features/51609/
歴史からも分かるように、【グランドセイコー】には3種類のムーブメントがあります。各ムーブメントの名称は9から始まる数字で示され、その後にくるアルファベットによって見分けることができます。
【クォーツムーブメント】:9F系
【スプリングドライブ】:9R系
機械式ムーブメントである9Sキャリバーを搭載した時計は、裏蓋がシースルーになっており、そこから美しいムーブメントを眺めることができます。また、他社と比べてクォーツムーブメントも圧倒的な高精度を誇ります。通常、月差±20秒と言われるなか、【グランドセイコー】は、年差±10秒という圧倒的な精度を実現。ちなみに、”スプリングドライブ”はクォーツと機械式のハイブリッドであり、【グランドセイコー】でしか味わえないムーブメントです。
ここでは、【グランドセイコー】のおすすめモデルをご紹介いたします。
『ヘリテージコレクション』「Ref.SBGH297」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbgh297
【セイコー】創業の地である銀座の街並みをダイヤルに表現した「Ref.SBGH297」。”銀座グリッドパターン”で描かれたダイヤルは、昼下がりの銀座を想起させる色鮮やかなスカイブルー色で配され、腕元を華やかに照らしてくれます。また、デザインだけに留まらず、「グランドセイコースタジオ 雫石」にて熟練の匠の技によって組み立てられた、毎秒10振動のメカニカルムーブメント「Cal.9S85」を搭載しているのも特徴の一つです。
【ロレックス】の『オイスターパーペチュアル』に始まり、【パテックフィリップ】×【ティファニー】の『ノーチラス』の発売で人気が爆発した”ターコイズカラー”は、国内260本限定の、資産性においても今後が楽しみなモデルですね。
『エレガンスコレクション』「Ref.SBGW285」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbgw285
夏から秋にかけて移ろう季節を表す杪夏(びょうか)を全面に表現した「Ref.SBGW285」。深い緑色で配されたダイヤルとベルトは、クラシックで大人の落ち着いた印象を与えます。また、手巻きムーブメント「Cal.9S64」を搭載したことで、薄型化に成功。日本人の腕周りには非常に馴染みやすい設計となっています。
高級腕時計ブランド各社が展開している、どの”グリーンカラー”のモデルよりも深い色合いのこちらは、ふっと心が落ち着く、日本の良さを最大限に引き出したモデルと言えるでしょう。
『スポーツコレクション』「Ref.SBGE275」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbge275
2002年に誕生した【グランドセイコー】初のGMT機能搭載モデルから20周年を記念して発売された「Ref.SBGE275」。GMT機能搭載ならではの2カラーベゼルに、”シュカブラ”の雪面模様を再現したダイヤルが美しいデザインのモデルです。(※シュカブラとは、深く積もった雪を風が削り取った模様のことを指します。)
月差±10秒の高精度ムーブメント「Cal.9R16」を搭載し、パワーリザーブは72時間を実現。高機能、且つ数量1500本(※国内500本)限定の希少モデルですね。
『マスターピースコレクション』「Ref.SBGD201」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbgd201
スプリングドライブの新ムーブメント「Cal.9R01」が搭載されている「Ref.SBGD201」。通常1つの香箱を3つ直列に配したことで、パワーリザーブが従来の3日間を遥かに越える、8日間となっている点が最大の特徴です。
ケース素材にはPT950(希少なプラチナが95%含有されている)を採用し、新たに開発されたザラツ研磨法を施すことで、今までのプラチナケースでは実現できなかったエッジの際立った端正な美しさを表現しています。見事な仕上げのケースに純白のダイヤルは、洗練された印象を与えるデザインとなっていますね。
『エボリューション9コレクション』「Ref.SLGH005」
*出典元:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/slgh005
壮麗な白樺林をダイナミックな型打模様と繊細なカラーリングのダイヤルで表現した「Ref.SLGH005」。見ているだけで神秘的な印象を与えるこちらのモデルには、メカニカルハイビートムーブメント「Cal.9SA5」が搭載されています。毎時36,000振動のハイビートでありながらも、最大巻上時には約80時間駆動を達成すると共に、独自の水平輪列構造によって薄型化も実現しています。
腕馴染みの良いケース・ブレスレットに、美しいダイヤルパターンの組み合わせは、身に着けている人の格をも上げてくれる逸品であるかと思います。
いかがでしたでしょうか。
【セイコー】の高級ラインとして登場し、洗練されたデザインと圧倒的な技術力から来る機能性によって、40~50代を中心に人気を博している、日本だけに留まらない、世界中で認められる【グランドセイコー】。他の高級腕時計ブランドと比較すると、機能性、デザイン性が劣らないにもかかわらず、圧倒的なコストパフォーマンスを誇っております。そんな【グランドセイコー】は、間違いなく今後も更に腕時計界での注目を集めていくことになるでしょう。
日本が誇る最高峰の腕時計、みなさまも一度手にしてみてはいかがでしょうか。