*出典元:https://thelogicalindian.com/story-feed/get-inspired/inspirational-success-story-of-sylvester-stallone-rags-to-riches/
映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第6弾の今回は、80年代を代表する筋肉アクションスター、シルヴェスタ・スタローンの腕元に迫ってみたいと思います。
1976年、自らが脚本を書き主演を果たした『ロッキー』の大ヒットにより、一躍国際的スターとなったシルヴェスタ・スタローンは、大の時計好き俳優として知られており、ロレックスの宝飾モデルやパテックフィリップのノーチラスなど、高価な時計を着用したプライベート写真が数多く撮影されています。
*出典元:https://superwatchman.com/sylvester-stallone-rolex-day-date-yellow-gold-ruby-bezel/
それでは、時計愛好家であるスタローンが、主演する映画の中でどのような時計をチョイスしてきたのか、じっくりと見ていきたいと思います。
スタローンと「パネライ」
スタローンが劇中で着用した時計としてまず筆頭に挙げられるのは、パネライの「Ref.PAM5218-201/A ルミノール プレヴァンドーム」でしょう。
*出典元:https://www.panerai.com/
1996年に公開されたパニック映画『デイライト』において、スタローンが演じる緊急医療士の筋肉隆々とした腕に、それに負けるとも劣らない「ゴツい」時計が着けられており「あのバカでかい時計は何だ!?」と世界中で大きな話題となりました。
*出典元:https://perezcope.com/2020/03/30/an-exceptionally-rare-luminor-submersible-sly-tech-panerai/
今では時計好きなら誰もが知っているパネライですが、もともとはイタリア軍などに納品されていた「軍事機密品」であり、軍需契約が終了する1993年までは、一般への販売が許されていませんでした。そのため、映画公開時の1996年には、まだ一部の時計マニアにしかその存在を知られてはいない「レア」なブランドだったのです。
パネライが有名になる前の1995年頃、イタリアのローマでパネライの時計に出会ったスタローンは、それまでに見たことのない、堅牢で巨大なケースを一目で気に入り、オリジナルモデルを特注します。それが『デイライト』の劇中で着用した「プレヴァンドーム」と呼ばれる「Ref.PAM5218-201/A ルミノール」でした。
*出典元:https://www.forbes.com/
この映画を契機として、パネライは「スタローンが惚れ込んだ時計」として世界中で大ブレイクを果たし、時計業界に「デカ厚」ブームという一大旋風を巻き起こします。
それまでの「薄くて軽いこと」が技術力の証であり、何よりも時計に「上品さ」が求められた
時代から、高級時計にも「存在感」や「インパクト」、「力強さ」が求められる時代に向かう牽引役を、スタローンとパネライが果たしたと言ってもいいのではないでしょうか。
これ以降、現在に至るまでスタローンとパネライの蜜月関係は継続しており、映画のタイトルにちなんだ「PAM00196 デイライト ルミノールクロノグラフ」や、スタローンの意見を取り入れ、彼の愛称である「スライ」を冠した「スライテック」モデルが複数リリースされております。
*出典元:https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2019/watches-online-7/panerai-luminor-chronograph-daylight-reference-pam
また、スタローンが脚本・監督・主演を務める近年の『エクスペンダブルズ』シリーズにも
「PAM00332 ルミノール 1950 ラトラパンテ レガッタ2009」や「PAM00382 ルミノール サブマーシブル 1950 3デイズ ブロンゾ」など、パネライの時計が複数登場しており、スタローンは映画界を代表するパネリスティとしての役割を果たし続けています。
*出典元:http://www.mitteleuropa.ihostfull.com/filmlocations_expendables_02.html?i=1
2020年12月には、スタローンが映画『デイライト』の劇中で実際に着用したプレヴァンドームのルミノールがフィリップスのオークションに出品され、214,200ドル(約2,230万円)の
高額落札となったことも、記憶に新しいところです。
*出典元:https://www.panerai.com/
スタローンと「リシャールミル」
2014年公開の人気アクションシリーズ『エクスペンダブルズ3』では、脚本と主演を務めるスタローンの腕に、パネライではない時計が着けられていることが話題になりました。
その時計はリシャールミルの「RM032 オートマチック クロノグラフ ダイバー」。
無骨なミリタリーウォッチでありながらアニュアルカレンダー機能を搭載した、赤色が目にも鮮やかな一本です。
*出典元:https://blog.dupontregistry.com/watches/five-of-sylvester-stallones-personal-watches-heading-to-auction/
この時計のチョイスには、死んだらそれまでの「エクスペンダブルズ=消耗品」と呼ばれる戦闘部隊の腕に、消耗品とは正反対のリシャールミルの時計が着けられているという皮肉であったり、恐るべき堅牢性を備えた唯一無二のスペシャルピースに「どのような極限状態でも生き延びる戦闘員」の役柄を表現させるなど、スタローンが登場人物の時計にいろいろな意味を持たせているであろうことが伺われます。
*出典元:http://oceanictime.blogspot.com/2014/08/expendables-3-watches.html
また、スタローンはリシャールミルとのコラボレーションも行っており、共同開発した
「RM 25-01 アドベンチャー トゥールビヨン クロノグラフ」は、コンパスや水準器を備えたまさに「究極の機械式アウトドアウォッチ」と呼べる時計に仕上がっております。
*出典元:https://www.richardmille.com/
【2021年度版】機械式腕時計 ”リシャール・ミルの人気おすすめモデル8選”
スタローンの「ヘリテージ」感覚
「80年代アクション映画」という過去の遺産を現代に蘇らせ、次世代に継承させるという
困難なミッションに挑み、新世代のエンターテインメントとして成功させた『エクスペンダブルズ』という映画は、時計業界で言えば、歴史的な過去の時計デザインやスタイルを最新技術を用いて現代に蘇らせる「ヘリテージ」的な手法で作られていると言えます。
『デイライト』で着用し、デカ厚ブームの礎となった「Ref.PAM5218-201/A ルミノール プレヴァンドーム」も、元々は1860年に創業したパネライが、自社の初期モデルを復刻(ヘリテージ)した時計です。スタローンは、過去の遺産を蘇らせ、トレンドに乗せることが昔から上手かったと言えるのではないかと思います。
自分が作り、誇りに感じている80年代アクション映画を、往年のファンにも、現代の若い映画ファンにも楽しめる映画として蘇らせるため、もしかしたら、愛好する時計の世界でトレンドとなっている「ヘリテージ」の手法や感覚を、制作のヒントにしたのではないか?などと考えてしまうのは私だけでしょうか。
まとめ
『007』シリーズのように、時計業界のトレンドが映画の世界に影響を与えることもあれば、今回のパネライのように「映画で使われたことで時計業界のトレンドが変わる」ということも起こり得ます。
時計業界のトレンドを捉えたい人は、是非とも映画やテレビの出演者が着用している時計に注目してみてください。
もしかしたら「次に来る時計」が見つかるかもしれませんよ!
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