映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第134弾の今回は、「ジェームズ・バッジ・デールの腕時計」をお送りします。

2001年に全米で放映が開始され、日本でも大ヒットを記録した連続TVドラマ『24』。
テロ対策ユニット「CTU」の捜査官、ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)の活躍を毎週楽しみに観ていた方も多いのではないでしょうか。

*出典元:https://bloody-disgusting.com/

ジェームズ・バッジ・デールは、『24』のシーズン3でジャック・バウアーの娘、キム・バウアーの「彼氏」だった捜査官、チェイス・エドモンズを演じていたイケメン俳優です。

あれから20年、多くの映画で脇を固める名バイプレーヤーとして、現在でもハリウッド映画界に欠かせぬ存在となっているジェームズ・バッジ・デール。

今回は、彼が劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

RUBICON 陰謀のクロスワード

RUBICON(2010)

*出典元:https://m.imdb.com/

API(アメリカ政策研究所)で働くウィル(ジェームズ・バッジ・デール)は、同時多発テロ事件で妻子を失くして心に大きな傷を負い、失意の日々を過ごしていた。彼はある日、その日に発行された複数の新聞のクロスワードパズルの答えが、同じ「四葉のクローバー」であることに気づく。これは何かの暗号かもしれないと考えた彼は上司のデヴィッド(ピーター・ゲレッティ)にそれを報告するが、偶然で片づけられてしまう。そして翌朝、デヴィッドは列車事故で命を落とす。

デヴィッドの役職を継ぎ、秘密裏に彼の死の謎を調査していたウィルは、彼から誕生日に贈られた本に暗号が隠されていたことを知る。それを解読するうち、ウィルは、世界中で起きる出来事を裏で操る秘密組織の存在に気づき始める、、、

*出典元:https://chinese.fansshare.com/

世界を牛耳る巨大な秘密組織と政府機関のデータアナリストの戦いを描いた陰謀ドラマ『RUBICON 陰謀のクロスワード』(2010)。ジェームズ・バッジ・デールは9.11の同時多発テロで妻子を失った政府職員、ウィル・トラバースを演じています。彼が本作で着用している腕時計は、IWC スピットファイア UTC(Ref.IW325105)

シックなデザインながら、いかにもパイロットウォッチらしい、大きな三角形の意匠(戦闘機の操縦中でも瞬時に12時位置を把握するためのマーク)を備えたプロフェッショナルモデル。「巨大な陰謀と戦うデータアナリスト」というキャラクターイメージに相応しい、知性アクティブさを兼ね備えた腕時計と言えるでしょう。

13時間 ベンガジの秘密の兵士

13 HOURS: THE SECRET SOLDIERS OF BENGHAZI(2016)

*出典元:https://mubi.com/

世界で最も危険な場所のひとつと呼ばれていた2012年のリビア。その港湾都市ベンガジにあるアメリカ領事館がイスラム過激派の武装集団の襲撃を受ける。秘密裏にベンガジに駐屯していたCIAは領事館からの救援要請を傍受するが、リビアにおいて極秘の存在であるCIAは、救援に向かうことができず、CIAに派遣されていた民間軍事企業の傭兵チーム「GRS」も、CIAのチーフであるボブ(デイヴィッド・コスタビル)から待機を命じられる。

領事館は過激派に放火され、領事館内のシェルターに隠れていた大使の生命にも危機が迫っていた。我慢の限界に達した「GRS」の傭兵たちは、リーダーであるロン(ジェームズ・バッジ・デール)の指揮の元、大使を救うためにCIAの命令に背き、領事館へと向かう。

*出典元:https://www.rolexmagazine.com/

2012年に実際に起きた「アメリカ在外公館襲撃事件」の真相を描く、ポリティカルアクション映画『13時間 ベンガジの秘密の兵士』(2016)。民間軍事企業の傭兵チーム「GRS」のリーダー、ロン・ウッズを演じたジェームズ・バッジ・デールは、本作でロレックス グリーンサブマリーナーを着用しています。アメリカ海軍の精鋭部隊「ネイビーシールズ」出身のロン・ウッズらしい、堅牢性と防水性を兼ね備えた腕時計と言えるでしょう。

劇中に登場するこの腕時計、身に着けているシーンでは「Ref.116610LV」、破損した腕時計が回収されるシーンでは、1世代前の「Ref.16610LV」のように見えます。破損した方は小道具用に作られたプロップのように思われますね。本物のロレックスをボロボロにするのは、流石に躊躇われたのでしょう。

オンリー・ザ・ブレイブ

ONLY THE BRAVE(2017)

*出典元:https://lrmonline.com/

長期の旱魃に見舞われた2012年のアリゾナ州では、多数の山火事が発生。地方自治体の森林消防隊長であるエリック(ジョシュ・ブローリン)は、長年の経験を活かした見事な手腕で山火事の延焼を食い止めていた。しかし、エリックは延焼の動きを予測していたが、指揮権を持つカリフォルニア州の精鋭部隊「ホットショット」は、それを地方レベルの余計な口出しと考え聞く耳を持たなかった。その結果、全てが燃やされ尽くしてしまう。

山火事から人々の命と財産を守る為、自分達も強い指揮権を持つ「ホットショット」になるべきだと考えたエリックは、彼を敬愛する副官のジェシー(ジェームズ・バッジ・デール)らと共に、森林消防隊の「ホットショット」昇格の審査を受ける事になった。しかし、地方自治体の消防隊が「ホットショット」に昇格した前例は、過去に一例すら無かった、、、

*出典元:https://twitter.com/

地方自治体の森林消防隊が、強い指揮権を持つ「ホットショット」の認定を求めて奮闘する災害映画『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)。本作でジェームズ・バッジ・デールは、消防隊長を慕う副官、ジェシーを演じています。

彼が劇中で着用しているのは、カシオ G-SHOCK DW6900。G-SHOCKは世界中の軍人や特殊部隊員など、危険な仕事に就く男たちから「命を預けられるタフな腕時計」として愛されている腕時計。現場では常に死と隣り合わせの消防士にも愛用者は多く、消防隊とのコラボモデルもリリースされております。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

24』(2006)での肉体派イケメンぶりからは、個人的に「数年経ったら若手アクションスターかな」などと思っていたジェームズ・バッジ・デール。しかし私の予想は良い方にハズれ、バイプレーヤーとして映画の脇を固め、作品にスパイスを効かせる良い役者になってくれました(謎の上から目線)。見てくださいこの写真。いい味出してると思いませんか?

*出典元:https://daman.co.id/

売り出し始めのイケメンが、やがて経年変化で落ち着きのある「いい味」になってくるのは俳優も高級腕時計も同じ。新品や新作には無いヴィンテージの味わいが、映画にも腕時計のスタイリングにも、落ち着いた雰囲気と、地に足のついた個性をもたらしてくれます。

「トム・クルーズは、何の映画に出てもトム・クルーズ」などと言われます。実のところ、映画に個性を作り出しているのは主役のスター俳優ではなく、作品ごとに違う顔とキャラクターを見せる、このような脇役の力によるのです。

腕時計の世界でも、人気や知名度を誇るブランドの現行品だけ扱っていても、店の個性は演出できません。ヴィンテージや、知名度は低くても味わいのある腕時計がスパイスとなって、その店の個性を作り出しています。これからも、このような「スターではないが、いい味の俳優や腕時計」を積極的にフィーチャーしていきたいと思います。だって好きなんだもん。

ではまた!

Actor's watch