映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第126弾の今回は、「シャイア・ラブーフの腕時計」をお送りします。
ローティーンの頃から様々なオーディションを受け、ファミリードラマの子役として活躍していたシャイア・ラブーフ。20代に入ると、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務める『トランスフォーマー』シリーズ(2007~)や、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)といったハリウッド超大作に抜擢。「スピルバーグの秘蔵っ子」として、一躍スター俳優の座へと昇り詰めます。
*出典元:https://ew.com/
しかしその後はアルコール依存症となり、不法侵入や飲酒運転など、数々のトラブルを起こして低迷。挙句の果ては、ダウン症の俳優、ザック・ゴッサーゲンのデビュー作『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(2019)を飲酒トラブルでお蔵入りにしかけるという事件を起こしたことで大反省。リハビリ施設への入所を決意し、依存症を克服します。これをきっかけに、シャイア・ラブーフは「若手スター」から脱却。自らの子役時代の経験を元に脚本・出演を務めた『ハニーボーイ』(2019)は批評家の絶賛を受け、「演技派俳優」「映画製作者」へとステップアップを果たします。
今回は、そんな彼が劇中で着用した腕時計に迫ってまいりましょう。
ウォール・ストリート
WALL STREET: MONEY NEVER SLEEPS(2010)
*出典元:https://www.theaceblackblog.com/
インサイダー取引と証券詐欺罪で8年の懲役刑を受けた大物投資家ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)。刑期を終えて出所したゴードンは、疎遠になっていた娘、ウィニーとの関係修復を図ろうとするが、ウィニーは犯罪者となった父を許していなかった。そんな中、ゲッコーはウィニーの恋人であり、ウォール街の若きトレーダーでもあるジェイコブ(シャイア・ラブーフ)と出会う。
しかしある日、ジェイコブが勤める証券会社「KZI」が突然の株価急落で経営破綻。彼は仕事と財産を失ってしまう。破綻の原因が投資銀行の経営者ブレトン(ジョシュ・ブローリン)の陰謀によるものと知ったジェイコブは、ブレトンへの復讐を計画する。
*出典元:https://lacotedesmontres.com/
1980年代のマネーゲーム隆盛を描いた金融サスペンス『ウォール街』(1987)。その26年ぶりの続編となる『ウォールストリート』(2013)で若きトレーダーを演じるシャイア・ラブーフが着用している腕時計は、IWC ポルトギーゼ パーペチュアルカレンダー(Ref. IW502218)と思われます。
証券マンやトレーダーは顧客の資産を預かる仕事ですので、一目で高額と判る腕時計の着用は避けたいもの。一般的には高額とは判りにくく、それでいて腕時計愛好家からの評価は高く、かつスーツとの相性が抜群に良い「ポルトギーゼ」を愛用している金融マンは現実にも多く、それを反映したチョイスと思われます。
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
TRANSFORMERS: DARK OF THE MOON(2011)
*出典元:https://www.film-rezensionen.de/
善のトランスフォーマー「オートボット」と協力し、悪のトランスフォーマー「ディセプティコン」による地球侵略の危機を2度も防いだサム(シャイア・ラブーフ)は、その後、宇宙開発に携わる企業で働いていた。しかしそこで、宇宙飛行士たちの謎の死や、人工衛星のトラブルが続出していることを知る。エンジニアの協力により、それがディセプティコンの暗躍によるものであると気づいたサムは、オートボットのリーダー「オプティマス・プライム」に助けを求める。
その頃オプティマス・プライムは、月の裏側で長く眠りについていた伝説の戦士「センチネル・プライム」との再会を果たす。しかしセンチネル・プライムは、トランスフォーマーたちの故郷「サイバトロン星」を復活させる為、ディセプティコンと裏で密約を交わし、地球を侵略する計画を立てていた、、、
*出典元:https://www.spotern.com/
人気シリーズの3作目となる『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(2011)では、1~2作目に続き、オートボットと協力してディセプティコンと戦う若者サムを演じたシャイア・ラブーフ。本作で彼は、ブルガリ ディアゴノ X-PRO(Ref.DP45BSTVDCH/GMT)を着用しています。
こちらはGMT針で第二時間帯の時刻を表示し、ベゼルを回転させることで第三時間帯までカバーできる優れもの。ブルガリのメンズウォッチの中でも、特にメカニカルな印象のディアゴノ X-PROが選ばれたのは、トランスフォーマーたちのメカメカしさに負けない「機械っぽさ」のある腕時計だからのように思えます。なんだか変形してロボットになりそうな感じ、ありますよね(そう感じているのは私だけ?)。
マン・ダウン 戦士の約束
MAN DOWN(2015)
*出典元:https://www.hollywoodreporter.com/
妻子と離れ、アフガニスタンに派兵されたアメリカ海兵隊員のガブリエル(シャイア・ラブーフ)。現地での過酷な任務を終え、心身ともに疲弊しきって帰還した彼の目に映ったのは、多くの建物が崩壊し、荒れ果てた故郷の姿だった。自宅には着いたものの、愛する妻のナタリー(ケイト・マーラ)や、息子のジョナサンの姿はどこにも見当たらない。共に帰還した友人のデヴィン(ジェイ・コートニー)を連れ、行方不明となった妻子を求めて彼は荒廃した街中を彷徨う。
数日後、ガブリエルとデヴィンが双眼鏡で廃墟の様子を窺っていると、遠くの建物の前で子供が何者かに連れ去られていく姿を発見する。連れ去られた子供が息子のジョナサンに違いないと確信したガブリエルは、息子を助け出すため、その建物へと侵入していくが、、、、
*出典元:https://theplaylist.net/
湾岸戦争以降、ハリウッドで制作される本数が増えている「帰還兵のPTSD問題」をテーマとした社会派映画。その中の一作『マン・ダウン 戦士の約束』(2015)でシャイア・ラブーフが演じているのは、文明が崩壊したかのような荒れ果てた世界で妻子を探し求める帰還兵、ガブリエル。派兵前の幸せそうな彼の腕に着けられている腕時計は、タイメックス アクア(Ref.不明)と思われます。
全米シェアNo.1を誇る大衆時計メーカーの「タイメックス」は、アメリカ人が「子供の頃に初めて買ってもらった思い出の品」として思い浮かべる事も多い腕時計。派兵前のガブリエルが愛する妻を優しく抱き寄せている姿が、今となっては「良き思い出」となってしまったことを象徴しているように思えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
シャイア・ラブーフ本人も、演じた役柄も、なかなかに波乱万丈な人生を歩んでいるキャラクターが多いようですが、劇中で着用している腕時計もそれを反映してか、他の映画ではあまり見ることの無い個性的なラインアップとなっているようです。
*出典元:https://www.t13.cl/
さて、かつてのヤングスターも30代半ばを過ぎ、四十路の声も近くなって完全なる「オッサン」と化しておりますが、最近の味わいの出てきた表情を見ると、シャイア・ラブーフはいいタイミングで挫折し、いいタイミングでリハビリが出来たことで、大人の俳優として一肌剥けたように思えますね。
人生で酸いも甘いも味わった男がこれから見せてくれるであろう演技と、それに似合う腕時計。それを楽しみに次回作の公開を待つといたしましょう。
ではまた!