映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第93弾の今回は、「映画に登場したヴァシュロンコンスタンタンの腕時計」をお送りします。
*出典元:https://www.vacheron-constantin.com/
1755年、ジャン=マルク・ヴァシュロンによりスイスのジュネーヴで創業したヴァシュロンコンスタンタン。創業以来、休眠期間の無いウォッチメーカーとして世界最古の歴史を誇るブランドであることは、皆様ご存知の事かと思います。
またブランドの歴史が長いだけでなく、「オーヴァーシーズ」「フィフティーシックス」などの新作モデルが高い人気を誇るヴァシュロンコンスタンタンは、パテックフィリップ、オーデマピゲと並ぶ「世界三大腕時計ブランド」の一角として、現代の時計業界においても圧倒的な地位を確立しています。
今回の「Actor’s Watch」は、そんなヴァシュロンコンスタンタンの時計が登場する映画に迫っていきたいと思います。
マイアミ・バイス
MIAMI VICE(2006)
*出典元:https://www.timeout.com/
司法機関の捜査情報がドラッグコネクションに漏洩。全米各地に散らばる潜入捜査官たちの身元が犯罪シンジケートに知られかねない事態となる。この危機に情報の漏洩源を突き止める任務を任されたのは、マイアミ警察特捜科のソニー(コリン・ファレル)とタブス(ジェイミー・フォックス)の刑事コンビ。
信頼する情報屋と、その家族の死をきっかけに潜入捜査を引き受けた二人は、裕福なドラッグディーラーになりすまして犯罪組織と接触。南米のドラッグコネクションに乗り込んだ二人は、危険な潜入捜査を開始する。
*出典元:https://www.watchprosite.com/
1980年代に日本でも高い人気を誇った刑事ドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』。その脚本や製作総指揮を担当していたマイケル・マンを監督として製作されたリメイク映画『マイアミ・バイス』(2006)では、コリン・ファレル演じるワイルドな二枚目刑事ソニーが、ヴァシュロンコンスタンタン マルタ パーペチュアルカレンダー クロノグラフ(Ref.47112/000P-8915)を着用しています。
パーペチュアルカレンダーとムーンフェイズを備えたクロノグラフムーブメント「Cal.1141QP」をプラチナケースに収めた本機は、定価1千万円超えの雲上モデル。潜入捜査の為、金回りのいいドラッグ・ディーラーに成りすます必要のあるソニーが着けるにはもってこいの腕時計ですが、果たして警察の経費で落ちるのか、気になるところです。
彼が二度愛したS
DECEPTION(2008)
*出典元:https://mubi.com/
退屈な毎日を送っていた真面目な会計士ジョナサン(ユアン・マクレガー)は、ハンサムな色男の弁護士ワイアット(ヒュー・ジャックマン)と出会い、食事やテニスを楽しむ仲となっていく。ある日、携帯電話の取り違えにより、ワイアットが「秘密クラブ」の会員であることを知ったジョナサンは、自らクラブに接触し、エロティックな欲望の世界にのめり込んでいく。
やがて彼はクラブで謎の女性「S」(ミシェル・ウィリアムズ)と出会い、彼女に惹かれていく。それがワイアットの仕掛けた罠であるとも知らずに、、、
*出典元:https://www.salon.com/
ユアン・マクレガーとヒュー・ジャックマンという二大スター共演で贈るエロティックサスペンス『私が二度愛したS』(2008)。本作で官能的な欲望に溺れていく堅物会計士を演じたユアン・マクレガーが着けているのは、ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー コンテンポラリー(Ref.81180/000R-9159) と思われる一本。
高年収であっても「いかにも」な高級腕時計は憚られるであろう、会計士という役柄。ヴァシュロンコンスタンタンの中でも、シンプルでありながら、バー&クサビの特徴的なインデックス形状で「判る人にだけ判る」高級感や個性を醸し出す『パトリモニー コンテンポラリー』というチョイスには説得力がありますね。
ウォールストリート
WALL STREET : MONEY NEVER SLEEPS(2013)
*出典元:https://www.microsoft.com/
証券詐欺罪とインサイダー取引で懲役刑を受けた大物投資家ゴードン(マイケル・ダグラス)。刑期を終えて出所した彼は、疎遠になっていた娘、ウィニーとの関係修復を図ろうとするが、彼女は犯罪者となった父を許していなかった。そんな中、娘の恋人で、ウォール街の若きトレーダーとして名を馳せるジェイコブ(シャイア・ラブーフ)と出会ったゴードン。
ある日、ジェイコブが勤める証券会社が突然の株価急落で経営破綻し、彼は全てを失ってしまう。破綻の原因が投資銀行の経営者ブレトン(ジョシュ・ブローリン)の陰謀によるものと知ったジェイコブは、ブレトンへの復讐を計画する。
*出典元:https://www.pinterest.se/
1980年代のマネーゲーム隆盛を描いた金融サスペンス『ウォール街』(1987)。その26年ぶりの続編となる『ウォールストリート』(2013)では、利益のためなら汚い手も厭わない投資銀行の経営者ブレトンを演じたジョシュ・ブローリンが、ヴァシュロンコンスタンタン ヒストリーク アメリカン1921(Ref.82035/000R-9359)を着用しています。
フォードが自動車の大量生産を開始し、誰もが自家用車の運転を楽しむ時代の到来となった1920年代。当時のカーマニアに向けて作られた、このドライバーズウォッチの復刻モデルが小道具として選ばれたのは、アメリカ経済の歴史の象徴たる「自動車産業の栄枯盛衰」を表現しているのではないかと個人的に推察しています。このモデルが、ウォール街の新旧時代の対比を描く本作に登場するのは、けだし必然と言えるのではないでしょうか。
ブラックハット
BLACKHAT(2015)
*出典元:https://www.gala.de/
正体不明のハッカーの暗躍により、中国の原発やアメリカの金融市場が甚大な被害を受ける。FBIは中国政府と合同捜査を行なうが、彼らはブラックハット(悪意を持つハッカーの総称)の正体を掴むことができず、捜査は難航していた。
唯一の手掛かりは、ブラックハットがハッキングに用いたプログラム。そこには、クレジットカード詐欺の常習犯として刑務所に服役中の天才ハッカー、ニコラス(クリス・ヘムズワース)が過去に作成したコードが使われていた。それに気づいた捜査陣は、事件解決後の釈放を報酬として、ニコラスにブラックハット追跡の任務を依頼する。
*出典元:https://www.watchuseek.com/
前述の『マイアミ・バイス』(2006)や、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの共演で話題となった『ヒート』(1995)など、「プライドを賭けて戦う男」を描かせたら右に出る者はいないマイケル・マン監督が、IT時代の男の戦いを描く『ブラックハット』(2015)。
本作の主人公、天才ハッカーのニコラスを演じるのは『マイティー・ソー』(2011)のソー役でお馴染み、クリス・ヘムズワース。この時点で「頭脳よりも筋肉と腕っぷしで事件を解決するハッカー映画」であることは、どなたの目にも明らかなことでありましょう。そんな本作で彼が着用しているのは、ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ(Ref. 47040)。
オーヴァーシーズのベゼルデザインが8葉から6葉に変わったのは2016年の第三世代から。ですので、2015年公開の本作で着用されているのは、間違いなく第二世代のオーヴァーシーズでしょう。筋肉隆々でセクシーなイケメンスター(繰り返しますが、天才ハッカー役です)の腕に、ヴァシュロンコンスタンタンを代表するラグスポウォッチ、オーヴァーシーズが力強く華を添えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
運上コンプリケーション、シンプルなドレスモデル、ドライバーズウォッチ、人気のラグスポと、見事にニーズの異なる四本が並びました。数ある中から選んだ四本ではなく、少ない映画の中からようやく見つけた四本のタイプが、このように綺麗に分かれることは、なかなか無いように思います。
*出典元:https://www.vacheron-constantin.com/
これ即ち、ヴァシュロンコンスタンタンというブランドが、ある特定の層だけではなく、いかに多面的なパーソナリティに向けて腕時計を作っているか、ということの証明であると言えるでしょう。
言い換えれば、ヴァシュロンコンスタンタンの腕時計は「どのような人でも、自分のライフスタイルやフィロソフィーに合致した一本を見つけることができる」ということにほかなりません。
高級腕時計といえば、ロレックスやパテックフィリップが真っ先に頭に浮かぶ方が多いと思いますが、「自分の個性にハマる腕時計」をお探しの方は、ヴァシュロンコンスタンタンを候補に入れていただくと「コレ!」という一本に巡り合える確率が高まるかもしれませんね。
ヴァシュロンコンスタンタン、「次の一本」には、是非ご検討ください。
ではまた!