2025年も、高級腕時計市場は激動の1年となりました。特定のモデルに人気が集中、廃盤(ディスコン)情報の余波で相場が急変動したりと、片時も目が離せない状況が続きました。
今回は、2025年を通して特に「売買の動きが速かったモデル」や「問い合わせが殺到したモデル」を5つ厳選してご紹介します。現場の肌感覚として感じたリアルなトレンドを振り返っていきたいと思いますので、是非最後までお楽しみください。

①【ロレックス】『デイトナ』


まず筆頭に挙がるのは、やはり「キング・オブ・ロレックス」と呼ばれる『デイトナ』です。2025年も「最も売れたモデル」と言っても過言ではありません。
現行モデルである「Ref.126500LN」の安定した人気はもちろんですが、特筆すべきは「エル・プリメロ」搭載の5桁モデル「Ref.16520」や、手巻き『デイトナ』の動きの速さです。入荷した個体がHPに上がるやいなや、次のお客様のもとへ旅立っていく光景が多々ございました。
素材に関してもステンレススティール(SS)モデルだけでなく、SS/YGのコンビネーションモデル、そして無垢モデルに至るまで幅広く動いていた印象です。それに伴い、再入荷連絡(インタレスト)の問い合わせも非常に多くいただきました。
特に「Ref.16520」に関しては、初期の「フローティング」「4ライン」「200タキ/225タキ」といった希少仕様はもちろん、「パトリッツィ(ブラウンアイ)」や「逆6」ダイヤルなど、細かな仕様違いに拘って探しているコレクターの方が非常に多かったのが印象的です。

②【ロレックス】『オイスターパーペチュアル』


【ロレックス】の入門モデルながら、そのシンプルなデザインと実用性から『オイスターパーペチュアル』も幅広く問い合わせのあったモデルです。
オーソドックスなサンレイダイヤルよりも、ソリッドな「カラーダイヤル」の需要が圧倒的に高く、中でも昨年廃盤となった「セレブレーションモチーフ」への問い合わせが急増しました。
人気ダイヤルとしては、以前と変わらず「ターコイズブルー」が不動の地位を築いています。一方で、2025年に登場した新色については、想定よりも再入荷連絡(インタレスト)が落ち着いている印象を受けました。その反動か、年末にかけては「キャンディピンク」の需要が再燃し、相場・問い合わせ共に熱を帯びていました。
サイズ別では、36mm径の「Ref.126000」と41mm径の「Ref.124300/Ref.134300」が特に需要が高く、ジェンダーレスに楽しめる36mmケースに軍配が上がっている印象です。

③【パテックフィリップ】『アクアノート』


【パテックフィリップ】においては、2025年の「Ref.5167/1A-001」の廃盤が市場に大きなインパクトを与えました。元々入手困難なモデルでしたが、廃盤決定により需要がさらに加速した形です。
シンプルな3針モデルに限らず、クロノグラフ、トラベルタイム、さらにはダイヤベゼルのルーチェ(ユニセックス)に至るまで、入荷から販売までのスピードは目を見張るものがありました。「見つけた時が買い時」という状況は依然として続いており、出回りの少なさからタイミングを逃すと次はいつ出会えるか分からないモデルです。
2025年はまさに、『アクアノート』の争奪戦が激化した1年だったと言えるでしょう。

④【パテックフィリップ】『ノーチラス』


言わずと知れたラグジュアリースポーツの最高峰、『ノーチラス』も圧倒的な需要を誇りました。
その背景には廃盤(ディスコン)の歴史が大きく関わっています。2020年(白文字盤)、21年(ブルー文字盤)のSSモデル「Ref.5711/1A系」、2022年のRGモデル「Ref.5711/1R」の廃盤による高騰に加え、2025年にはプチコンプリケーションモデルである「Ref.5712/1A(SSモデル)」までもが廃盤となりました。これにより、ノーチラス全体の相場高騰が加速の一途を辿った印象です。
3針モデルだけでなく、クロノグラフ、トラベルタイム・クロノグラフ、アニュアルカレンダーと、複雑機構を搭載したモデルへの需要も多岐に渡っています。
そして今年2026年は、ノーチラス誕生50周年という記念すべき年です。新作発表から今後の相場動向に至るまで、世界中が注目する最もホットなモデルになることは間違いありません。

⑤【オーデマピゲ】『ロイヤルオーク』


最後にご紹介するのは、【オーデマピゲ】のアイコンウォッチ、『ロイヤルオーク』です。
ジェラルド・ジェンタによる完成されたデザインのかっこよさはもちろんですが、近年高騰を続ける『ノーチラス』や『アクアノート』と比較した際、「まだ現実的に手が届くラグジュアリースポーツ」としての割安感(バリュー感)も、よく売れた理由の一つではないでしょうか。
また、『ロイヤルオーク』の強みは「サイズ展開の豊富さ」にあります。腕時計選びにおいてケースサイズはデザインと同等、あるいはそれ以上に重要な決め手となります。廃盤モデルを含め、自分の手首にジャストフィットするサイズが見つけやすい点は大きな魅力です。
王道の3針モデルに加え、エクストラシン(2針)、クロノグラフ、そしてトゥールビヨンやパーペチュアルカレンダーといった雲上ブランドらしいコンプリケーションまで、幅広いラインナップが常に動いていた1年でした。

まとめ

2025年を振り返ると、やはり「廃盤情報」や「周年記念」といったトピックが市場を大きく動かす要因となっていたことが分かります。特に【ロレックス】と【パテックフィリップ】の特定モデルへの需要は凄まじいものがありました。
2026年は、記事内でも触れた通り「ノーチラス50周年」という大きな節目を迎えます。これらが市場にどう影響を与えるのか、私たちも今後が非常に楽しみなモデルです。

ご興味ある時計がございましたら、この機会に是非インタレスト(再入荷希望)をご登録ください。

監修者のプロフィール

下川裕の写真

下川 裕(しもかわ ゆう)

高級腕時計専門店 コミット銀座 シニアアドバイザー / 鑑定士歴:2014年~現在

34歳 群馬県出身

大学卒業後に某ブランド買取・販売店に就職。各種ブランド品を幅広く見ている中で、高級腕時計の虜に。
高い向上心から、専門性の高い知見を有していることでも著名な鑑定士 阿部・金子が在籍しているコミット銀座へ入社。10年以上の鑑定士キャリアを持ちながらも、時計に対する勤勉で真摯な姿勢は、多くのお客様の心を鷲掴みにし、指名して来店いただくことも多数。今後のコミット銀座を担うまさに中心人物。

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