みなさま、こんばんは。
高級腕時計ブランドの中でも”超”が付く程のハイプライスで有名な【リシャールミル】。定価が1000万円を超えるのは当たり前で、モデルによっては1億円を超えるものもあります。そしてその多くのモデルが入手困難とされ、二次流通市場でも高価格で取引が行われております。さらに驚くべきポイントは、高級腕時計ブランドの多くが長い歴史を持つなか、【リシャールミル】は2001年に創業した新進気鋭のブランドということ。それにも関わらず、トップブランドたちと肩を並べるほどの地位を確立しているのです。
今回は、そんな【リシャールミル】が超高額である理由や人気の秘密について解説していきます。「リシャールミルの時計が気になる!」「ブランドについて詳しく知りたい!」という方は、特に本記事を参考にしてみてください。
2001年に創業した高級腕時計ブランド【リシャールミル】。
創業者であるリシャールミル氏は、勤めていた【モーブッサン】を退職後、自身のブランドを立ち上げました。そのブランド第1作目となる「RM001」は、定価1,900万円という超高額な時計として誕生します。
※RM001 参照:richardmille.com
当時の高級腕時計業界といえば、高額なモノでも500~600万円。それも、ゴールドやプラチナ素材かつダイヤモンドや珍しい宝石などをあしらった、宝飾腕時計が中心でした。しかし【リシャールミル】が発表したのは、チタンケース×トゥールビヨンで装飾は一切無し。それまでのトゥールビヨンは、衝撃に弱くすぐに壊れてしまうという弱点がありましたが、この弱点を克服させたのです。さらには、文字盤から内部の機構を覗けるスケルトン仕様にもなっており、現在では当たり前になっていますが、これは当時、異例のデザインコードでした。
無名のブランドにも関わらず、耐衝撃性に特化したトゥールビヨンを搭載し、圧倒的な価格での販売という常識破りな腕時計を生み出したことで、【リシャールミル】は一気に注目を集めることとなります。当然、始めは「高額すぎるのではないか?」と首を傾げる人もいました。しかし限定生産”17本”は即完売。以降も2,000万円以上のコレクションを次々と発表し、現在では1億円を超えるモデルが珍しくないというレベルにまで至っているのです。
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/page/manufacture
衝撃的な登場で注目を集めた【リシャールミル】。実は、この登場時に話題となった時計業界の常識を破る”特徴”こそが、【リシャールミル】が高額である理由に繋がってきます。ここでは、【リシャールミル】の時計が高額である理由について、3つの点から解説していきます。
優れたブランド戦略
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/page/rd
1つ目は、ブランド戦略が優れているという点。
創業者であるリシャールミル氏は、【モーブッサン】をはじめとした複数の時計ブランドでマネージャーを務めており、自身を「ウォッチコンセプター」と称しています。彼は時計に詳しいとは言え、時計デザイナーや時計師ではありません。あえて相手の土俵で勝負するのではなく、プロダクト・マネージャーに近い立ち位置にて時計を作ることで、オリジナリティ溢れる時計を生み出すことに成功しました。
また、時計作りのプロではないからこそ、”常識に囚われない”時計を作り出すことができています。前述した衝撃のデビュー作「RM001」は、あえて内部の機構が見えるスケルトン仕様にしたり、カーボンナノファイバーといった新素材を採用したりと、正にその常識破りな思考を証明しているかと思います。それは単に、”エキセントリックな時計”で注目を集めようというわけではなく、”理想の時計作り”への熱い情熱によるもの。”高い時計を売る”ではなく、“理想の時計を作るためならコストを惜しまない”という考えなのです。
究極の時計作り
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/page/rd
リシャールミル氏は時計作りについて「私の時計にコストはない」と話すほど、時計製作への熱い情熱を持っています。理想をコンセプトに落とし込むことで、人々を圧倒する時計作りへと繋げているのです。
例として、下記のモデルは他ブランドでは成し得なかった次の特徴を持っています。
「RM038」:ゴルフのスイングスピードを計測できるトゥールビヨン
「RM036」:ドライブ中の減速時にドライバーが受ける重力加速度を表示
各々の時計に共通しているのが「軽量化」と「耐衝撃性」です。こういった特徴を網羅した時計を製造するためには、それに見合った素材やパーツを用意する必要があります。そしてこの素材やパーツを作ることこそ、一番コストが掛かるのです。
例えば、「RM027」はトップテニスプレイヤー『ラファエル・ナダル』氏のために作られ、着用したままテニスができる耐衝撃性と軽量さを兼ね備えた時計として知られていますが、この時計の重さは僅か”20g“。当時、世界最軽量のトゥールビヨン搭載の腕時計と称されていました。一般的な腕時計は”140g”前後、”100g”でも軽いとされている為、それだけでも【リシャールミル】の技術力の高さがお判りいただけるかと思います。
この軽さを実現するために使用されたのは「チタン」と「LITAL」の合金。軽量さと耐久性に優れたこの素材は、人工衛星やロケット、F1レーシングカーなどに採用されています。これによって、ムーブメントの重量わずか3.83gの世界最軽量のトゥールビヨンが完成したのです。
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/page/quality-control
また、衝撃に強い時計を実現するために、金属ハンマーによって時計を弾き飛ばす耐久テストが行われるなど、そのテストも他ブランドにはない圧倒的な工程を経ています。製品としての基準に合格する時計はごく僅かであるため、その分多大なコストが掛かります。
更には、コストだけでなく1つの時計が出来上がるまで、膨大な時間がかかり、生産本数も自然と限られます。他ブランドでは、希少価値を高めるためにあえて生産数を絞っているところもありますが、【リシャールミル】の場合、そもそも作れる本数が限られているのです。
プロを起用したマーケティング戦略
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/friends-and-partners
ブランドはいくらコンセプトや製品が優れていたとしても、マーケティングが優れていなければヒットには繋がりません。【リシャールミル】は明確なコンセプトと究極の時計作りに加えて、”アンバサダー“を起用することでブランドの地位を確立することに成功しました。
【リシャールミル】というと、芸能人や一流スポーツ選手が着用しているイメージが強いかと思います。これこそがブランドの”マーケティング戦略”の成功の証とも言えます。ただ単に究極の腕時計を作るだけでなく、各ジャンルのプロフェッショナルの要望を聞き、それを実現した腕時計を作っているのです。
*出典元:https://1016watch-style.com/richardmille-geinoujinn
前述の通り、「RM027」はラファエル・ナダル氏の「着用したままテニスの試合ができる時計を」という要望で誕生し、彼からは「肌の一部」と称されるほどの軽さを実現しました。
他ブランドと契約しているテニスプレイヤー達が試合終了後、慌てて時計を着用してインタビューへ答えているのに対し、ナダル氏は約5時間にも及ぶテニスの試合を【リシャールミル】を着用したまま、戦い抜いています。
*出典元:https://italianwatchspotter.com/hands-on-richard-mille-rm50-03-mclaren-f1/?lang=en
また、2017年に登場した「RM50-03」は、FAチーム《マクラーレン》のために「F1レース中に着用できるトゥールビヨン」として作られました。こちらは、クロノグラフウォッチでありながらも、”40g”という軽量さと激しいF1レース耐えられる耐衝撃性を備えています。
他ブランドのブランドアンバサダーは、あくまで”イメージ”という印象が強い一方、【リシャールミル】は“ブランドアンバサダーのための腕時計”として製造することで、彼らが本当に求める腕時計を作り、より効果的な認知拡大をしているのです。これが「リシャールミル=真の成功者のための時計」というブランディングを成立させているといえるでしょう。
ここからは【リシャールミル】の人気モデルをご紹介いたします。
「RM055」
『バッバ・ワトソン』
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/collections/rm-055-bubba-watson
プロゴルファーで圧倒的なドライバーの飛距離から”飛ばし屋”と呼ばれるバッバ・ワトソン氏のために作られたモデル『バッバ・ワトソン』「RM055」。
2012年のマスターズで初優勝を果たした際に着用していた「RM038」の継承モデルとして登場したこちらは、シンプルなデザインながら、ベゼルには硬度の高い「ジルコニア」と「アルミナ」を使用し、ムーブメントの地板にはグレード5”チタン”を採用したことで、5,000Gもの耐衝撃性を持つなど、その作りは圧倒的な高性能時計となっています。
「RM27-04」
『トゥールビヨン ラファエル・ナダル』
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/collections/rm-27-04-tourbillon-rafael-nadal
2010年にラファエル・ナダル氏と始まったパートナーシップで登場した「RM27」。その後、2013年、2015年、2017年と新作を発表してきたこのモデルの最新作が『トゥールビヨン ラファエル・ナダル』「RM27-04」。
重量は僅か”30g”にもかかわらず、”12,000G”もの耐衝撃性という圧倒的な機能を有したこちらは、ムーブメントをケーブルで吊り下げるという、これまた常識はずれの仕組みとなっております。また、このケーブルがテニスラケットからインスパイアされているデザインというのも抜け目ない拘りですね。定価は1億1500万円。仕組みと同様、価格も驚異的です。
「RM11-02」
『オートマティック フライバック クロノグラフ デュアルタイムゾーン』
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/historical-models/rm-11-02-automatic-flyback-chronograph-dual-time-zone
フライバッククロノグラフを搭載した初期モデル「RM011」の後継機として、デュアルタイムゾーン機構を追加して2015年に登場した『オートマティック フライバック クロノグラフ デュアルタイムゾーン』「RM11-02」。
他にもアニュアルカレンダー、オーバーサイズデイト表示、カウントダウンタイマーの複雑機構を搭載しているこちらは、セカンドタイムゾーンの設定に使用する9時位置のプッシュボタンを、レーシングカーのペダルから着想を得て作られております。カーレーサーの為の様々な時計が世には出回っておりますが、搭載している機能を考えると、言うこと無しの最上級モデルと言えるのではないでしょうか。
「RM67-02」
『オートマティック エクストラフラット』
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/collections/rm-67-02-automatic-extra-flat
オリンピックの金メダリストであり、300mと400mの世界記録保持者であるウェイド・バンニーキルク氏と、2度のオリンピックでメダルを獲得し、”Mr.ハイジャンプ”と呼ばれるムタズ・エサ・バルシム氏の、2人の選手のシグネチャーモデル『オートマティック エクストラフラット』「RM67-02」。
アスリートとの「共生」を目指し、トップアスリート向けのモデルとして登場したこちらは、2種類のTPT複合素材、グレード5チタン、そして滑りにくく伸縮性に優れた新型ストラップによって、ベゼル・ケース・裏ブタを合わせて7.8mmの薄さを実現しながらも“32g”という軽さを実現しています。これは【リシャールミル】の中で最軽量の自動巻き腕時計となっています。
「RM25-01」
『トゥールビヨン クロノグラフ アドベンチャー』
*出典元:https://www.richardmille.com/ja/collections/rm-25-01-tourbillon-chronograph-adventure
ハリウッドスター、シルヴェスター・スタローン氏とのコラボレーションモデル『トゥールビヨン クロノグラフ アドベンチャー』「RM25-01」。
こちらは、『ランボー』をはじめとしたアクション映画で知られるスタローン氏とのコラボということもあり、アウトドアウォッチを極めた機能を備えています。交換用のベゼルにはコンパスが付いており、360度目盛りと4つの基本方位、24時間目盛りを備える両方向回転ベゼルの2種類があります。更には水準器や、浄水タブレット用のピルケースまで内蔵するなど、【リシャールミル】らしい機能満載の時計となっています。こちらのモデルは、可動部が多いため、機能性、デザイン性だけではなく、触っても楽しい時計になっているところは男心をくすぐりますね。ただ、多機能ということもあり、定価は驚異の1億1060万円と、一般人が到底買えるレベルの時計ではありませんね。(笑)
いかがでしたでしょうか。
【リシャールミル】が設定している圧倒的な価格には、時計ファンや専門家も納得する理由があります。また、常識を打ち破り、圧倒的な時計を生み出し続ける【リシャールミル】は、知れば知るほどその魅力の虜となってしまうこと間違いありません。なかなか手が出せない価格の腕時計ではありますが、【リシャールミル】の腕時計を購入出来る程の人物に是非なりたいものですね。
世界随一の”超”高級腕時計【リシャールミル】。皆様も一度手にしてみてはいかがでしょうか。