映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第77弾の今回は、「映画に登場したロレックス デイトジャスト」をお送りします。

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1945年、文字盤の3時位置の小窓に日付を表示する初の自動巻防水クロノメーターとして誕生したロレックス デイトジャスト(Ref.4467)。エレガントな金無垢モデルながら、オイスターケースとパーペチュアル機構を備え、堅牢性と実用性を兼ね備えた最強の実用ドレスウォッチとして生まれたデイトジャストは、現在「最も所有率の高いロレックス」であると言われています。

ロレックスの名を世に広めた真の人気モデル「デイトジャスト」。
今回の「Actor’s Watch」は、この「デイトジャスト」に注目して参ります。

『007』シリーズに登場したデイトジャスト

『007 美しき獲物たち』のロジャー・ムーア

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シリコンバレーを壊滅させてデジタル産業の独占を狙う天才的大富豪ゾリン(クリストファー・ウォーケン)。死んだ同僚スパイ「003」が持っていたマイクロチップから、ゾリンの野望に感づいたジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、ゾリンの陰謀を阻止するためにサンフランシスコへと向かう。

まずはお約束の『007』シリーズから。シリーズ14作目の『007 美しき獲物たち』(1985)でロレックス デイトジャスト(Ref.16013)を着用しているのは、3代目ジェームズ・ボンドを演じるロジャー・ムーア。1980年代前半にはスポンサーのセイコークォーツやデジタルウォッチを着けることが多く、本作でもセイコーの腕時計を着用しているのですが、画像のシーンでは、腕時計の付け替え忘れによってロジャー・ムーア本人の愛用腕時計が映り込んでしまったと言われております。

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1970~1980年代の映画に登場したデイトジャスト

『ロッキー2』のシルヴェスター・スタローン

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ボクシングのヘビー級チャンピオン、アポロ・クリードとのフルラウンドの死闘の末に破れたロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)。しかし世間は無名の挑戦者ロッキーを讃え、彼は人気ボクサーとなる。しかし、ロッキーの身体を心配する妻のエイドリアン。ロッキーはボクシングを続けるべきか苦悩する、、、

アカデミー作品賞に輝く名作『ロッキー』(1976)の続編、『ロッキー2』(1979)。試合も増え、スポンサーも付き始め「金が稼げるボクサー」となったロッキーが、妻のエイドリアンと共に高級腕時計店を訪れるシーンにロレックスが登場します。スクリーンに映るのは、デイデイトGMTマスターデイトジャストレディース。いずれも金無垢のロレックス。

「大金を稼ぐようになったら、人は何を買うのか?金のロレックスでしょ!」という世間のイメージをズバリ映像化したシーンと言えるのではないでしょうか。

『ハスラー2』のポール・ニューマン

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25年前に賭けビリヤードの世界で名を馳せた凄腕ハスラーのエディ(ポール・ニューマン)と、彼が見出した若きビリヤードプレイヤーのヴィンセント(トム・クルーズ)。エディの教えによって勝負師としての頭角を現すヴィンセントだが、やがて二人の間にすれ違いが生じ、チームとして目指していた大会に個人で参加することになる。しかし、持ち前の実力で勝ち上がっていった二人には、準々決勝での対決が待ち受けていた。

ハスラー』(1961)から25年の時を経て、ポール・ニューマンが再び伝説のビリヤード師、”ファースト・エディ”を演じた『ハスラー2』(1986)。この映画でロレックス デイトジャスト(Ref.16234を身に着けているのは、もちろんポール・ニューマン。彼とロレックスと言えばデイトナのエキゾチックダイヤル「Ref.6239」が有名ですが、老齢に差し掛かった勝負師の腕には、ドレッシーでセクシーさも兼ね備えたデイトジャストがよく似合っています。

『フランティック』のハリソン・フォード

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学会のためパリを訪れたアメリカ人医師のリチャード(ハリソン・フォード)と妻のサンドラ。どこかでスーツケースの取り違いが起きたらしく、ホテルで広げた荷物には全く見覚えがなかった。そして彼がシャワーを浴びている間に妻の誘拐が起きる。誘拐の原因が荷物の取り違えにあると考えた彼は、スーツケースから発見したマッチの電話番号を頼りに、妻を捜しパリの街を駆け巡る。

不条理なサスペンスミステリー映画の巨匠、ロマン・ポランスキー監督の『フランティック』(1987)では、失踪した妻を捜す医師を演じたハリソン・フォードがロレックス デイトジャスト(Ref.16014と思われる)を着用しています。高収入であろう医師の腕には、患者からの信用をイヤミなく高められる、SS/WGのデイトジャストは最適な選択と言えるでしょう。

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『テキーラ・サンライズ』のカート・ラッセル

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麻薬捜査官のニック(カート・ラッセル)は、元麻薬ディーラーのマック(メル・ギブソン)の身辺を捜査するうち、彼が常連となっているレストランにたどり着く。そのレストランを麻薬取引の現場としてマークしたニック。しかし彼は、レストランの女性オーナー、アン(ミシェル・ファイファー)の魅力に次第に惹かれ始めてしまう。

本作でカート・ラッセル演じる麻薬捜査官が身に着けているのは、ロレックス デイトジャストのコンビモデル(Ref.16013と思われる)。刑事サスペンスと思いきや、「捜査官」と「麻薬ディーラー」と「一人の女性」の三角関係を描いたメロドラマに近い『テキーラ・サンライズ』(1988)。大人の色気あるコンビモデルのデイトジャストが、ロマンスに華を添えています。

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1990年代の映画に登場したデイトジャスト

『リベンジ』のアンソニー・クイン

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アメリカ海軍のパイロットだったジェイ(ケビン・コスナー)は、退役後のバカンスを兼ね、メキシコに住む元上官のティビー(アンソニー・クイン)の元を訪れる。ジェイがそこで出会ったのは、若く美しいティビーの妻ミリエラ。やがて恋に落ちた二人だが、妻の裏切りに気づいたティビーはジェイに瀕死の重傷を負わせ、ミリエラも売春宿に売り飛ばしてしまう。生死をさまよいながらも一命を取り留めたジェイは、ティビーへの復讐を誓うのだった。

本作でロレックス デイトジャストを着用しているのは、移住したメキシコで地元の権力者となった元軍人ティビーを演じる、名優アンソニー・クイン。年代的に「Ref.16233」あたりのモデルではないかと思われます。非道ながらも威厳ある権力者役として重厚な演技をみせた、老名優らしい華やかなモデル。主人公に復讐される側のキャラクターを際立たせています。

2000年以降の映画に登場したデイトジャスト

『アメリカン・サイコ』のクリスチャン・ベール

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*出典元:https://timeandtidewatches.com/
80年代のニューヨーク。高級マンションに住み、美しい婚約者のいる銀行の副頭取という若きエグゼクティヴ(クリスチャン・ベール)が、満たされぬ心の闇を抱えて快楽殺人におぼれていく。

90年代を代表するアメリカの作家、ブレッド・イーストン・エリスの小説を原作とするサイコサスペンス『アメリカン・サイコ』(2000)。本作でロレックス デイトジャスト(Ref.16013)を着用しているのは、主人公のベイトマンを演じるクリスチャン・ベール。いかにも90年代の成功者らしい知的で華やかなコンビのデイトジャストが、エリート銀行マンから快楽殺人鬼への落差を強く印象付ける一本と言えるでしょう。

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『ロスト・イン・トランスレーション』のビル・マーレイ

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CM撮影のために来日した落ち目のハリウッドスター、ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)。25年連れ添った妻とはうまくいっておらず、CM撮影現場では通訳の問題で監督の要求に応えることができない。ストレスを抱えた彼は、同じホテルに泊まっているカメラマンの妻、シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)と知り合う。歳の差はありながら、なぜか気が合った二人は、お互いが東京にいる短い間だけ行動を共にする。

慣れない異国の地で偶然出会った男女の「友達以上恋人未満」の関係を描く、大人のロマンス映画『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)。本作では、来日したハリウッドスター役を演じるビル・マーレイがロレックス デイトジャスト(Ref.16234を着用。黒文字盤にジュビリーブレス、SS/WGというシンプルなデイトジャストが「渋めのオヤジ」の腕元をイヤミなく飾っています。

『IT/イット THE END』のジェームズ・マカヴォイ

*出典元:https://www.rolexforums.com/
小さな田舎町、デリーで起きた連続児童失踪事件から27年。恐怖に震える子供を食べることで何十億年も生き永らえると言われているピエロ姿の魔物「ペニーワイズ」(ビル・スカルスガルド)が復活の時を迎える。当時「27年後に蘇るはずのペニーワイズを倒す」と誓い合った子供たちは、大人になった今、その誓いを果たすためにデリーの街に集まる。

ペニーワイズとの戦いを生き延びた子供たちが27年の時を経て再会し、ペニーワイズを倒すための戦いを繰り広げる『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり』(2019)。ペニーワイズに弟を攫われ、その後悔に囚われ続けるビル(ジェイムズ・マカヴォイ)が、ロレックス デイトジャスト(Ref.116234と思われる)を着用しています。

子供時代の吃音症を克服し、作家として成功した「大人になったビル」。シンプルなデイトジャストが「大人」を象徴する小道具として選ばれているように思えます。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?
映画の中では、「サブマリーナー」「GMTマスター」「デイトナ」といったスポーツモデルが2000年代以降に「富裕層の腕時計」を演出する小道具になったのに対し、デイトジャストは1979年の『ロッキー2』の時点から、途切れることなく「大金を稼ぐ者の腕時計」として描かれていることがわかります。

こうやって見ると、現在のスポーツロレックス高騰は「デイトジャストがロレックスの信用を高めてきた長い歴史の結果」であると言っても過言ではないでしょう。

ロレックスと言えばスポーツモデルが圧倒的な人気を誇る昨今ですが、「真の実力者」であるデイトジャストの近年のモデルは実に素晴らしいものばかり。今のうちから目をつけておくことを是非オススメいたします。

ではまた!

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