【ヴァシュロンコンスタンタン】は、世界三大時計ブランドとして、創業260年の長い歴史を持つ、スイスの老舗高級腕時計ブランド。代表モデルの『オーヴァーシーズ』はラグジュアリースポーツウォッチとして人気が高く、腕時計好きな方から絶大な人気を誇ります。

今回は、そんな【ヴァシュロンコンスタンタン】の魅力や歴史、おすすめのモデルを解説します。「ヴァシュロンコンスタンタンの時計が気になる」「ブランドについて詳しく知りたい!」という方は特に本記事を参考にしてみてください。

【ヴァシュロンコンスタンタン】とは


1755年に創業され、世界最古のマニュファクチュールブランドと言われている老舗高級腕時計ブランド【ヴァシュロンコンスタンタン】。実は、1735年に創業した【ブランパン】が最も古い腕時計ブランドではありますが、1970年代に起きたクォーツショックによって経営難に陥り、一時休業状態に追い込まれています。しかし【ヴァシュロンコンスタンタン】は、クォーツショックを乗り越え、一度も途切れることなく経営を続けてきたことから、“世界最古”と言われているのです。

また、他の世界三大ブランドである【パテックフィリップ】の創業が1839年、【オーデマピゲ】の創業が1875年、ということから見ても、いかに長い歴史を持っているかがお判りいただけるかと思います。

厳格な独自基準「ジュネーブシール」

*出典元:https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/home.html

「ジュネーブシール」とは、スイスのジュネーブ地方に伝わる、時計の伝統的な製造技術を守るために制定された、特別な称号です。この「ジュネーブシール」は、時計のパーツ毎の加工や装飾技法はもちろん、組み立てや調整方法も詳細に規定されており、取得はかなり困難とされています。

例えば、【ロレックス】や【オメガ】といった有名ブランドでは、クロノメーターの認定を受けていますが、「ジュネーブシール」はこのクロノメーター基準よりも厳しい条件となっています。このことからも、世界三大時計と称されるブランドの技術力の高さを感じていただけるのではないでしょうか。

王室御用達のオーダーメイド時計

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【ヴァシュロンコンスタンタン】は古くから、複雑機構を搭載した時計をはじめ、オーダーメイドで時計を製造してきました。昔は、王室や貴族たちが顧客の中心であり、市民向けの時計は一貫して作らず、高級路線の時計を作り続けてきました。その歴史が、今日における高級腕時計の路線を確立したと言っても過言ではないでしょう。

【ヴァシュロンコンスタンタン】の歴史

ここからは、世界最古のブランドとも言われる【ヴァシュロンコンスタンタン】が、創業から260年に渡り、どのような歴史を辿ってきたのかご紹介致します。

ブランド名となった2人の偉人

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【ヴァシュロンコンスタンタン】の歴史は、当時24歳にして既に一流の時計技師として知られていた『ジャン・マルク・ヴァシュロン』が、見習いの職人を雇い入れたことによって始まります。『ヴァシュロン』が作った懐中時計は、ムーブメント脱進機の周囲をアラベスク装飾の彫刻にて彩ることで、美しい見た目を演出しています。その美的センスは、息子の『アブラアム』、孫の『ジャックバルテルミー』へと受け継がれていきます。

その後、『ジャックバルテルミー』がイタリアへの販路拡大に成功した際に『フランソワ・コンスタンタン』と出会い、彼のビジネスセンスに惚れ込んだことで、1819年に共同経営者として招き入れました。ここで初めて【ヴァシュロンコンスタンタン】という名前が誕生したのです。『コンスタンタン』の高いビジネス手腕により、ブランドはフランスやアメリカ、メキシコ、キューバ等、更に販路を拡大し、国際的なブランドとして名を馳せることとなりました。

生産体制を確立したパンタグラフの発明

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国際的なブランドへと成長した【ヴァシュロンコンスタンタン】は、『ジョルジュ・オーギュスト・レショー』によって、高い生産力を手に入れました。彼はムーブメントパーツを複製できるパンタグラフを開発したことで、それまで手作業で複製していた部品製造の効率化と高品質化に成功したのです。この発明は【ヴァシュロンコンスタンタン】だけでなく、スイスの時計業界全体の精度や品質を向上させたと言われています。

【ヴァシュロンコンスタンタン】を象徴するマルタ十字

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ブランドを象徴するシンボルであるマルタ十字。こちらは1880年に採用されました。マルタ十字とは、キリスト教の騎士修道会・聖ヨハネ騎士団が用いていたマークで、4つの扇形を合わせた8つの角が特徴です。この8つの角には中世騎士道の精神である8つの美徳を表しています。かつて、香箱のカバーにつけていた部品のデザインと似ていたことから、マルタ十字を採用したと言われており、現行モデルにも文字盤やリューズ、ベルトなどに用いられています。

250周年記念の時計

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2005年に【ヴァシュロンコンスタンタン】は創業250周年を迎えました。それを記念し、これまでの時計製造に関わる技術を結集した、記念碑的なコレクション「トゥール・ド・リル」ウォッチを発表しました。16もの複雑機構を搭載したダブルフェイスの時計で、この年のジュネーブウォッチグランプリで最優秀賞、エギューユ・ドール賞にも選ばれ、大きな話題となりました。

【ヴァシュロンコンスタンタン】の魅力

時計業界の中でも、確固たる地位を築いている【ヴァシュロンコンスタンタン】ですが、その魅力を改めて掘り下げてみたいと思います。

高い芸術性

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一つ目の魅力は、唯一無二の芸術的な時計を製造する点です。前述の通り、【ヴァシュロンコンスタンタン】は古くから王室や貴族たちにオーダーメイドで時計を作ってきた背景があります。長い歴史の中では、時計製造の技術だけでなく工芸的な技法も培われてきました。創業者である『ジャン・マルク・ヴァシュロン』が得意としていたのは、エングレービング技法であり、息子や孫たちもエナメルやギョーシェといった時計の装飾を得意としていました。こういったことからも「美しい時計作り」にこだわりを持っていることが分かります。

時計製造の技術力の高さ

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長い歴史を持つブランドというだけあって、時計製造における技術力の高さも随一であり、中でも複雑機構を搭載した時計製造において高い評価を得ています。1884年に製作された懐中時計では、表と裏の両面に文字盤が表示されたダブルフェイスの仕様となっており、一方には複雑機構であるパーペチュアルカレンダーを搭載しています。ダブルフェイス自体が高度な技術を要する上に、そこに複雑機構を備えるのは、並大抵なことではありません。この懐中時計は、ブランドの技術力の高さを示す時計として当時、話題となりました。

永久修理保証

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ほとんどの時計ブランドは、ムーブメントを構成する部品の製造期間に製造終了期限が存在します。多くは該当モデルの生産が終了すると順次、修理の対応も終了します。そのため古いモデルの時計が壊れてしまうと、ブランドで修理の対応をしてもらえず、民間の時計修理店を頼るしか方法がありません。しかし、【ヴァシュロンコンスタンタン】の場合、ブランドで購入した時計は永久に保証することを約束しています。最近では永久保証を掲げるブランドも出てきましたが、【ヴァシュロンコンスタンタン】は昔から一貫して永久保証を掲げてきました。
高級時計の醍醐味といえば「一生もの」、更には子どもや孫に受け継いでいけるという点です。永久保証を約束してくれるというのは、技術力・信頼性が高いブランドならではと言えるのです。

【ヴァシュロンコンスタンタン】の代表モデル

最後に、代表的なモデルをご紹介していきたいと思います。

オーヴァーシーズ

1996年に初めて登場し、ステンレスモデルやクロノグラフ、ピンクゴールドのものまで多数のコレクションを展開している『オーヴァーシーズ』。近年人気が急上昇しており、価格高騰には目を見張るものがあります。ベゼルにデザインされたマルタ十字が一番の特徴で、【ヴァシュロンコンスタンタン】のシンボルであるマルタ十字の角を、ベゼルにさりげなくアレンジして配置しています。

ちなみに、ブランド創立222周年の記念として1977年に発表された『ヴァシュロンコンスタンタン222』を基に、作成された『オーヴァーシーズ』は、『ロイヤルオーク』と『ノーチラス』をデザインした『ジェラルド・ジェンタ』デザインのモデルと勘違いされることも多いですが、実際は『ヨルグ・イゼック』によるデザイン。彼は【ロレックス】のデザイン部門に所属していた経歴を持ち、当時『ジェラルド・ジェンタ』に並ぶデザイナーとして知られていました。【ブレゲ】の『マリーン』や【タグホイヤー】の『キリウム』なども彼のデザインによるものです。

パトリモニー

【ヴァシュロンコンスタンタン】が得意とする極上のドレスウォッチコレクションで、2004年に登場した『パトリモニー』。伝統的な意匠を受け継ぎながらも、モダンにアレンジされているため、古さを感じさせません。一見するとシンプルな文字盤ですが、よく見ると12・3・6・9時位置のインデックスは、くさび形になっておりブランドのシンボルマークへのオマージュを体現しています。また、シンプルな2針モデルから、ミニッツリピーターや永久カレンダーといった複雑機構を搭載したモデルまで、様々なラインアップを展開しているのも魅力です。

マルタ

2000年に誕生した『マルタ』。名前の通りブランドのシンボルであるマルタ十字を強く反映しています。伝統的なスタイルとモダンなスタイルを融合したコレクションとして、性別や年齢を問わず人気を集めています。トノー型とラウンド型のケースがあり、シンプルなデザインから複雑機構を搭載したモデルや、レディースモデルなど幅広いラインアップを展開しています。また『オーヴァーシーズ』に比べて値上がりの幅はそこまで大きくなく、手に入れやすいモデルというのも大きな魅力の一つです。

フィフティーシックス

2018年に登場した新しいコレクションの『フィフティ―シックス』。ブランド初となる自動巻ムーブメントを搭載したモデル「Ref.6073」をもとにしており、『オーヴァーシーズ』のスポーティーさと『パトリモニー』のドレッシーさを融合したような仕上がりとなっています。また、雲上ブランドと言われている【ヴァシュロンコンスタンタン】の中で、エントリーモデルとも呼ばれている程、手に届きやすい価格が魅力的なモデルですので、初めて雲上ブランドに挑戦する方にオススメのモデルです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

1755年創業と、継続して経営している時計ブランドの中では最も古いブランドとして知られ、圧倒的な技術力を武器に世界三大時計の一角を担っている【ヴァシュロンコンスタンタン】。その長い歴史と品質の高さから、雲上ブランドとも称されていますが、比較的低価格なエントリーモデルを用意するなど、時計が好きな方への配慮が最大限なされているようにも思えます。

そんな極上な品質の【ヴァシュロンコンスタンタン】のモデルを一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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