*出典元:https://thanhnien.vn/

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第98弾の今回も、前回に引き続き「オーランド・ブルームの腕時計」をお送りします。

☞ #97『【実は時計マニア】オーランド・ブルームの腕時計』を読む

今回は「番外編」として、オーランド・ブルームがプライベートで愛用する腕時計にフォーカスしていきたいと思います。なぜなら彼が日頃着けている腕時計が、実に「時計好きには堪らない逸品」ばかりだから。

それではさっそく見て参りましょう。

パテックフィリップ

ノーチラス ジャンボ【Ref.3700/1】

*出典元:https://deployant.com/

まず一本目は、お子さんを抱っこする腕に着けられたパテックフィリップ ノーチラス。2針で耳のラインが直線的に見えますので、おそらく初代ノーチラス(Ref.3700/1)と思われます。1976年に登場した「Ref.3700/1」は、左右に突き出た耳を含めて42mmという、当時としては巨大なサイズに由来する「ジャンボ」の愛称で呼ばれる一本。船窓をモチーフとした独創的な八角形のデザインは、この前年にオーデマピゲ ロイヤルオークをクリエイトしたジェラルド・ジェンタの手によるものです。

ノーチラスと言えば、初出から30周年となる2006年に登場した「Ref.5711」を真っ先に思い浮かべる方が多いと思います。しかし、現代的に再構築された「Ref.5711」ではなく、パテックフィリップのスポーツモデルの原点である「Ref.3700」をあえて選ぶあたりに、オーランド・ブルームの腕時計に対する強い「こだわり」が感じられますね。

パネライ

ルミノールマリーナ 8デイズ【Ref.PAM00511】

*出典元:https://rubberb.com/

続いては、パネライ ルミノールマリーナ 8デイズ(Ref.PAM00511)。1910年代よりイタリア海軍に納品されていた関係で軍事機密に指定され、民間への販売が禁止されていたパネライの腕時計。1992年に機密指定が解禁され民間への販売が始まると、堅牢性を高める「巨大ケース」や「リューズプロテクター」、視認性を高める「サンドウィッチ文字盤」「強力な夜光」といったミリタリーウォッチの特色が生み出す存在感で、ハリウッドスターやセレブたちがたちまちパネライの虜に。そして2000年代には「デカ厚ブーム」の立役者ともなりました。

オーランド・ブルームが着用する「Ref.PAM00511」は、2013に発売された「8デイズ」シリーズの一本。外見はベーシックな「ルミノールマリーナ」そのものながら、クラシカルなサンドウィッチ文字盤と先進的な自社ムーブメント「Cal.P.5000」を兼ね備えており、パネライの過去と未来をリンクさせたモデルと言ってもいいでしょう。

ラジオミール 1936【Ref.PAM00249】

*出典元:https://www.paneraimagazine.com/

続いては、ラジオミール(Ref.PAM00249。1936年にイタリア海軍からの依頼で製造された「パネライファーストモデル」を忠実に復刻したこちらは、2006年に世界限定1936本のみでリリースされたレアモデルです。

47mmの迫力あるケースサイズに、文字盤の上半分がローマンインデックス、下半分がアラビア数字という、通称「カリフォルニアダイヤル」を備え、焼けたようなインデックスとプラスティック風防がよりクラシカルな雰囲気を醸し出しています。

こちらも「パネライの腕時計」のスタートとなった歴史的モデルの復刻であり、オーランド・ブルームの「腕時計の歴史」に対する並々ならぬリスペクトが窺える一本です。

IWC

ドッペルクロノグラフ【Ref.IW3786】

*出典元:https://deployant.com/

続いては、IWC ドッペルクロノグラフ(Ref.IW378601。「ドッペル」とはドイツ語で「2倍」「2重」といった意味で、ドッペルクロノグラフというモデル名は「スプリットセコンドクロノグラフ」をあらわしています。

44m径×17mm厚という迫力あるサイズは、コックピットの計器が発する磁力から腕時計を守るための軟鉄インナーケースを内蔵するため。それでもブラックセラミックとチタンとを組み合わせ、わずか118gという軽量化が図られています。

こちらもまた、パイロットウォッチの歴史と先進性を兼ね備えた一本と言えるでしょう。

ビッグ パイロットウォッチ【Ref.IW5002】

*出典元:https://www.lecalibre.com/

続いては、IWC ビッグパイロットウォッチ(Ref.IW5002。キルスティン・ダンストとの2ショットということは、前回ご紹介した『エリザベスタウン』の頃の宣材写真と思われます。

1940年代に製造されたビッグパイロットウォッチ キャリバー52 T.S.C.(Ref.IW431)からインスピレーションを受けて2002年に発表されたこの腕時計。オリジナルの55mm径のケースサイズは流石に大きすぎる為、46.2mmという「現代的な巨大ケースサイズ」にリファインされていますが、パイロットグローブを着けていても操作しやすい大型リューズは、オリジナルを踏襲したものとなっています。

この写真が撮られた頃は、まだ28歳だったオーランド・ブルーム。『ロード・オブ・ザリング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』への出演で既にスター俳優の仲間入りを果たしていたとは言え、20代の頃からパイロットウォッチの歴史を象徴するこのモデルを選択しているあたり、彼の「腕時計への愛」は一朝一夕の付け焼刃ではなく、ライフスタイルに根付いたものであることがわかります。

ヴィンテージ ロレックス

エクスプローラーⅡ【Ref.1655】

*出典元:https://www.bobswatches.com/

最後はヴィンテージロレックスを2本ご紹介いたします。まずはエクスプローラーⅡ(Ref.1655)。広告に起用されたスター俳優「スティーブ・マックイーン」の名を愛称に持つ、非常にマッシブで男らしさを感じさせる個性派モデル。洞窟探検など、昼夜がわからない場所での使用が想定され、オレンジ色の24時間針が目を惹くデザインとなっています。

特筆すべきはオーランド・ブルームのスタイリング。「Ref.1655」を本来のブレスレットではなく、レザーのブンドストラップに付け替えて着用するという、ワンランク上の着けこなしを見せています。数あるロレックスの中でも、とりわけエクストリームなシーンでの着用が想定されているエクスプローラーⅡ。手首上での保持を安定させ、汗の侵入を防ぐブンドストラップへの変更は、そのバックボーンや機能に精通した愛好家のカスタマイズと言えます。

サブマリーナー 英国軍モデル【Ref.5517】

*出典元:https://www.accessonline.com/

最後にご紹介するのは、サブマリーナー 英国軍モデル(Ref.5517)。英国軍からの依頼により、1960~70年代にかけてサブマリーナー(Ref.5513)をベースに製造された「Ref.5517」は、日本では「軍サブ」や「ミリサブ(ミリタリーサブ)」と呼ばれている超レアモデル。

「Ref.5513」との大きな違いは「ソードハンド」「アロー秒針」「1分刻みの目盛付ベゼル」「6時側のT(トリチウム)マーク」「溶接で固定されたバネ棒」「裏蓋のブロードアローとシリアル刻印」といったところ。流通は極めて少なく、実物を見られる機会は滅多にない希少品です。

このような博物館クラスのモデルをカジュアルに着けこなすオーランド・ブルーム。高級腕時計も希少なビンテージウォッチも、彼の身体の一部であるかのようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

過去にマーク・ウォルバーグが愛用する、ギンギラギンで全くさりげなくない超絶レアウォッチの数々をご紹介いたしましたが、それとはベクトルが異なる激シブな「腕時計愛」を見せてくれたオーランド・ブルーム。是非ともご紹介せねば!と思った私の気持ち、おわかりいただけましたでしょうか?

☞ #43『マーク・ウォルバーグの「超絶&レア」腕時計』を読む

ここで悲しいお知らせなのですが、2010年頃、オーランド・ブルームの自宅に窃盗団が侵入し、今回ご紹介させていただいた腕時計の多くが盗難されるという悲しい事件が起きております。その多くは警察の捜査により取り戻されたとのことですが、いくつかは未だに行方不明のままだそうです。

ハリウッドセレブに憧れる若者が窃盗団を結成し、数々の盗みを働いていたこの事件は『ブリングリング』(2013)というタイトルで映画化されており、劇中ではオーランド・ブルームが登場する当時のニュース映像も一部に使われております。

世の時計愛好家の皆様におかれましても、腕時計は厳重に保管しておくことをおオススメさせていただき、まとめに替えさせていただきたいと思います。

ではまた!

Actor's watch