*出典元:https://www.007.com/no-time-to-die-jp/

コロナ禍の影響により、ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの最終作、『007/ノータイム・トゥ・ダイ』の劇場公開日がなかなか決まらず、ヤキモキされている時計愛好家の方も多いのではないでしょうか。

前作『007/スペクター』では、秘密兵器開発メンバー「Q」特製の改造シーマスター300で最大のピンチを脱したジェームズ・ボンドですが、新作でもスポンサーであるオメガの時計が大活躍するハズ!と期待を膨らませながら、私も公開を待ち続けております。

*出典元:https://www.007.com/no-time-to-die-jp/

そのようなわけで今回は、世界中の時計愛好家に最も注目されている映画と言っても過言ではない、スパイ映画の金字塔『007』シリーズに出演している時計についてお話ししたいと思います。新作が公開された際に、違った目線でも映画を楽しめるよう掘り下げてお伝えしますので、一つの知識として覚えておけばより楽しんで頂けるかと思います。

とは言いましても、007シリーズは未公開の新作を含めて全25作もありますので、1回のコラムでは到底まとめきれません。今回は「初代007」こと、昨年10月に逝去された故ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドの腕元に注目していきたいと思います。また、2代目以降の方々については次回以降の機会にでもお話ししたいと思います。

初代007の愛用時計はロレックス サブマリーナー

ショーン・コネリー版ジェームズ・ボンドの時計として最もよく知られているのは、1962年公開の第一作『ドクター・ノオ』から、1965年公開の第四作『サンダーボール作戦』にかけて着用が確認されている「ロレックス サブマリーナー」でしょう。

しかし、最初の2作品『ドクター・ノオ』『ロシアから愛をこめて』については時計のクローズアップシーンが無く、サブマリーナーであることは判るものの、映像のディテールは鮮明でなく、リファレンスまで特定することは難しいかと思われます。

*出典元:http://watchspotting.blogspot.com/2011/02/from-russia-with-love-1963.html

『ゴールドフィンガー』のサブマリーナー

世界中の時計愛好家が注目したのは、第三作『ゴールドフィンガー』です。ボンドが敵地への潜入工作のため爆薬を仕掛けるのですが、その爆破時刻を確認するシーンでボンドの腕元がクローズアップされます。スクリーンに大きく映し出されたサブマリーナーの特徴は…

●ノンデイト
●ベンツ針
●リューズガード無し
●デカリューズ
●「OFFICIALLY CERTIFIED CHRONOMETER」無しの2行表記
●メーターファーストの「200m」表記

この特徴を持つサブマリーナーは「クロノメーター表記なしのRef.6538(初期)」もしくは「Ref.5510」の2つのリファレンスに絞られます。

*出典元:https://www.jamesbondlifestyle.com/comment/23291

外見上の違いがほとんど無いこの2つのリファレンスを、映像だけで見分ける事は非常に困難ですが、劇中のサブマリーナにはそれを見分けるための、もうひとつ大きな特徴が見て取れます。

それは「2行表記と6時位置インデックスの間隔が非常に狭い」ということです。
Ref.6538には、この特徴に該当する文字盤が確認されておりますが、Ref.5510には、同様の文字盤の存在は確認されていないようです。

このことから、現在ではジェームズ・ボンドが『ゴールドフィンガー』の劇中で着用していた時計は、「ロレックス サブマリーナー Ref.6538」であると考えられております。

ロレックス サブマリーナー Ref.6538の特徴

Ref.6538は、サブマリーナーとして初めてクロノメーター仕様となった第二世代モデルです。Cal.1030を搭載し、効率の高い「両巻き」の自動巻機構が初めて採用されたモデルでもあります。インパクトのある直径8mmの通称「デカリューズ」には、仏語で「特許」を意味する「BREVET」の刻印が施されております。当時としては画期的な200mの防水性能が謳われたダイバーズウォッチで、1950年後半に製造されました。

ショーン・コネリーが着用したもの以外にも、4行表記、ルミナスポイントの逆三角形が赤い、通称「レッドトップベゼル」、短針がペンシル針になったものなど、バリエーションやディテール違いが多いことも特徴のひとつに挙げられます。

※コミット銀座では、ヴィンテージのサブマリーナーの預かり販売・買取を強化中です!
【預かり販売について】 | 【買取について】

ショーン・コネリー版ボンドの時計コーディネート

『ゴールドフィンガー』において、ジェームズ・ボンドは白のタキシードにNATOストラップのサブマリーナーを合わせていますが、これは堂々たる服飾規定破り、ドレスコード違反といっていいでしょう(笑)

しかし、自信満々で女性にもモテる、英国が誇る腕利きの情報部員というキャラクター性によって「ジェームズ・ボンドならこれもアリ」と、ついつい思わされてしまいます。たった一人で世界を破滅から救うヒーローたる所以ですね。

もちろんこのような時計の着こなしは『完璧なるヒーローによる、究極の外しコーデ』ですので、完璧なるヒーローを自認する方以外、真似をしないようお願い申し上げます(笑)

*出典元:https://www.gq-magazine.co.uk/article/james-bond-rolex-submariner-explorer

秘密兵器としての時計

『サンダーボール作戦』劇中において、サブマリーナーの他にもう一本、印象的な時計が登場します。その時計とは、ブライトリングのトップタイムです。

劇中でこのトップタイムをガイガーカウンターとして用いるシーンがありますが、これこそが映画『007』シリーズにおいて、最初の「秘密兵器として改造された、ガジェットとしての時計」ということになります。以降『007』シリーズにおいて、時計は強力な磁力を発したり、ベゼルが回転ノコギリになったり、爆発したりすることで、ジェームズ・ボンドの窮地を救う「相棒」の役割を担うことになっていきます。

*出典元:https://oracleoftime.com/unsung-heroes-breitling-top-time/

余談ですが、2013年にイギリスのフリーマーケットでわずか25ポンド(約3,750円)で売られていたトップタイムが、後に『サンダーボール作戦』の撮影で実際に使われたものであることが判明し、直後のクリスティーズでのオークションで10万4000ポンド(約1,560万円)もの高値で落札されました。元値の4,000倍以上の高額落札となったのですから驚きです。

まとめ

このように、時計に関するエピソードには事欠かないのが映画『007』シリーズの魅力のひとつです。
新作の公開は2021年の秋頃の予定だそうですので、それまでの間、旧作を未見の方はもちろん、観たことのある方も、各作品をボンドの腕元に注目して観返してみるというのはいかがでしょうか?

時計好きの方であれば、どの作品にも新たな発見があると思います!

※コミット銀座では【ヴィンテージのサブマリーナー】の預かり販売・買取を強化中です!

Actor's watch