映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第19弾の今回は、60年代後半~70年代前半にかけての「激動のアメリカ」を舞台とする映画に注目したいと思います。

*出典元:https://www.thenation.com/

ベトナム戦争の泥沼化やニクソン大統領の辞任などにより「常勝大国アメリカ」の勢いに陰りが見えてきた1960年代。政治不信が渦巻く暗い世相を反映して、ハリウッドもそれまでの「夢と希望」「勧善懲悪」「甘いラブロマンス」などのハッピーエンド路線から、反戦・反体制的な映画が若者の間で人気を博すようになっていきます。

この時代を舞台とした映画にいったいどのような時計が登場するのか、さっそく見てまいりましょう。

イージーライダー

Easy Rider(1969)

自由を求めてカスタムバイクで放浪の旅に出た二人のヒッピーが「保守的なアメリカ」に自由を奪われていく様を象徴的に描いた、アメリカン・ニューシネマの傑作『イージーライダー』。

*出典元:https://www.theguardian.com/

この映画の主人公、ワイアット役を演じたピーター・フォンダが身に着けているのは、ロレックス GMTマスター。このリューズガードの無いプロトタイプの金無垢モデルはオフショットでも着用が確認されており、ピーター・フォンダ自身の愛用時計と言われております。

*出典元:https://www.rolexmagazine.com/

*出典元:https://www.rolexmagazine.com/

この映画の旅はピーター・フォンダ演じるワイアットが、着けている腕時計を投げ捨て「俺たちを束縛するものは何もない」とカスタムバイクにまたがるシーンから始まります。ですが、これはどうみても前のシーンのロレックスとは違う時計です。

*出典元:https://digilander.libero.it/

さすがに愛用の金無垢ロレックスを乱暴に投げ捨てるわけにはいかなかったのでしょう。その気持ちはよくわかります(笑)

ディアハンター

The Deer Hunter(1978)

アメリカ片田舎の気のいい若者が、戦争体験によって精神を蝕まれ、以前と同じ日常を取り戻せないまま破滅していく様を描く人間ドラマ『ディアハンター』。ベトナム戦争が舞台となっていますが戦闘シーンはほとんどなく、ロシアンルーレットを強制される捕虜たちが精神的に追い詰められていくことで「戦争の異常性」が描かれます。

この映画では主人公のマイケルを演じるロバート・デ・ニーロが、ロレックス シードゥエラー(Ref.1665)を着用しています。鹿狩りの名人(ディアハンター)という役に相応しいガッチリした腕に、ゴツめのダイバーズがよく似合っています。

*出典元:https://timeandtidewatches.com/

*出典元:https://timeandtidewatches.com/

ロバート・デ・ニーロといえば、2011年公開の映画『キラー・エリート』では「ハンター」と呼ばれる殺し屋を演じていますが、その腕に着けられているのはRef.5512Ref.5513と思われるロレックス サブマリーナー。

*出典元:https://timeandtidewatches.com/

もしかしたら、デ・ニーロの中では「ハンター」が着けるべき時計は『ロレックスのダイバーズであるべき』というこだわりがあるのかもしれません。

大統領の陰謀

All the President’s Men(1976)

民主党本部への不法侵入と盗聴が発覚した1972年の「ウォーターゲート事件」。ホワイトハウスや捜査機関の妨害に遭いながらも事件の真相を突き止め、ニクソン大統領を辞任に追い込んだ新聞記者、ボブ・ウッドワードの戦いを描いたノンフィクション映画『大統領の陰謀』。

*出典元:https://productplacementblog.com/

この映画では、実在の新聞記者ボブ・ウッドワード役を演じたロバート・レッドフォードが、ロレックス サブマリーナーを着用しています。真偽のほどは定かではありませんが、この時計はボブ・ウッドワード本人から借りた物が撮影に使われたという説もあるようです。

フルメタルジャケット

Full Metal Jacket(1987)

『時計仕掛けのオレンジ』のスタンリー・キューブリック監督が描くベトナム戦争映画『フルメタルジャケット』。リアリティを追求するキューブリック監督は、凄まじい罵倒や体罰を用いて新兵を訓練するハートマン軍曹役に、元海兵隊の訓練教官だったR・リー・アーメイを起用します。

*出典元:https://www.smh.com.au/

もともとは訓練教官の演技指導者として呼ばれていたアーメイですが、演技指導の迫力が圧倒的だったため、急遽自らが演じることになりました。その結果、戦争映画史に残る新兵訓練シーンができあがったというわけです。

この『フルメタルジャケット』には、コレといった特筆すべき腕時計は登場しません。
ではなぜ取り上げたかというと、R・リー・アーメイが大のロレックス愛好家だから。

*出典元:https://www.rolexmagazine.com/

ベトナム戦争にも従軍し、退役後はPTSDと闘いながら俳優となったアーメイがロレックスを信頼し愛好していることは、ロレックスがいかに「究極の実用時計」であるかを如実に物語っているのではないでしょうか。

まとめ

1960年代後半から70年代前半にかけ、殺伐とした暗い世相を反映した映画が多い中であっても、「ロレックス」が映画に登場する機会は減ることがありませんでした。その圧倒的な支持や人気から、世の風潮や世相をものともしない時計であることが確認できるかと思います。

どのような時代でも、誰もが安心して着けられる腕時計「ロレックス」。当分の間、その地位は盤石であり続けるであろうと考えられます。絶対的な安心感を基に時計を探してみるのも良いかもしれませんね。

ではまた!

Actor's watch