映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第14弾の今回は「映画の中のオメガ スピードマスター【後編】をお送りいたします。

前編では宇宙飛行士、殺し屋、スパイ、新聞記者など的確な瞬時の判断力が求められる「プロフェッショナル」なキャラクターの着用が目立ったオメガ スピードマスター
果たして後半は…?

『ゼロ・グラビティ』


“Gravity”(2013)

スペースデブリ(宇宙ゴミ)の飛散によってスペースシャトルを破壊され、宇宙空間に投げ出された二人の宇宙飛行士のサバイバルを描く『ゼロ・グラビティ』

観客自身が宇宙に放り出されたかのような虚無感と孤独感に囚われるため、「宇宙嫌い」の方は絶対に観ない方がいい本作。タイトル通り「重力(Gravity)」のありがたみが身に染みて感じられる映画となっております。

この映画でスピードマスター プロフェッショナルを着用しているのは、前編でご紹介した『ラスト・ターゲット』と同じくジョージ・クルーニー。危機に直面しても冷静な判断を下す経験豊富な宇宙飛行士、コワルスキー役を演じています。

*出典元:https://www.spotern.com/

コワルスキーが宇宙服の上から着けているスピードマスターはタキメーターベゼルが取り外されており、一見すると別の時計のように見えますね。これにはどのような意図があるのか気になりますが、詳細は不明です。

『マネーモンスター』


“Money Monster”(2016)

テレビの投資番組を信じて全財産を失った男が、株価の不正操作を疑い番組に乱入。銃と爆弾を武器に真相究明を求める社会派サスペンス映画『マネーモンスター』

この映画でスピードマスターを着用しているのも投資番組の司会者役を演じるジョージ・クルーニー。腕元には無垢のイエローゴールドに黒文字盤のスピードマスター(Ref.3195.50.00 または Ref.3195.59.00ではないかと思われる)が見て取れます。

*出典元:https://www.hodinkee.com/

ジョージ・クルーニーのスピードマスター着用率が高いのは、実は彼がオメガのアンバサダーを務めているから。今後もスピードマスターを始めとするオメガの時計を様々なキャラクターの腕元に着けてくれるはずですので、時計好きの方は要チェックと言えるでしょう。

『メカニック・ワールドミッション』


“Mechanic: Resurrection”(2016)

感情に流されることなく、機械のように正確無比に仕事をこなすことから「メカニック」と呼ばれる凄腕の殺し屋アーサー・ビショップ。1972年に公開された チャールズ・ブロンソン主演の映画をリメイクしたサスペンスアクション映画の第2作目です。

「メカニック」ことアーサー・ビショップを演じるのは、映画『トランスポーター』シリーズなどでお馴染みのジェイソン・ステイサム。パネリスティ(パネライ愛好家)としても有名で出演作でもパネライを着用することが多いようですが、今作ではスピードマスター プロフェッショナルを革ベルトで着用しています。

*出典元:https://www.watchuseek.com/

筋肉隆々の肉体派アクションスターであるジェイソン・ステイサムにパネライはよく似合っていますが、事故や自然死などを装い、職人のようにターゲットを暗殺する「メカニック」というキャラクターには、ややトゥーマッチに感じられそうです。パネライに比べ自己主張がそこまで強くないスピードマスターの「ほどよい存在感」 がこの映画には相応しいのではないでしょうか。

『ファーストマン』


“First Man”(2018)

人類初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号の船長、ニール・アームストロングの自伝を原作とした、アメリカ宇宙開発の裏側に迫る実録映画『ファースト・マン』
アポロ計画を描いた映画の為、劇中で着用されている時計はもちろんスピードマスターです。

*出典元:https://www.fashionsnap.com/

『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングが再びタッグを組んで描かれるのは、宇宙開発そのものというよりアームストロング船長とその家族の人間ドラマ。アメリカの威信をかけた計画だけに当時は相当なプレッシャーがあったのでしょう。全体的に暗くヘビーなイメージの映画に仕上がっています。

*出典元:https://www.esquireme.com/

華々しい歴史的偉業の裏にある家族の苦しみや同僚の悲劇。それでも計画を成功させなければならなかったアームストロングとそれを支えたスピードマスター。こう考えると「ムーンウォッチ」という言葉にもより一層の重みが感じられます。

『ウルトラセブン』

“Ultra Seven”(1967)

前編のまとめで予告した「スピードマスターが登場する日本のテレビシリーズ」 とは、ズバリ『ウルトラセブン』でした(『帰ってきたウルトラマン』にも登場)。前編のYoutube配信で「某特撮ヒーローもの?」とコメントをいただいておりましたC2608様、ご明察でございます。

ペガッサ星人が登場する「ダークゾーン」(第6話)では、謎の怪電波を計測するウルトラ警備隊職員と、ペガッサ星人の居住基地の爆破時間を確認するアマギ隊員の腕に、スピードマスターが着けられています。
*引用元:ウルトラセブン 第6話「ダークゾーン」(円谷プロ)

また、チブル星人が登場する「アンドロイド0指令」(第9話)ではキリヤマ隊長が、 ユートムが登場する「地底GO!GO!GO!」(第17話)ではモロボシ・ダンが着用。ウルトラ警備隊で制式支給されているとしか思えない重用されっぷりです。

映像を見る限り、リューズガードの無いケースに「Professional」の無い2行表記から、年代的にもスピードマスター3rd(1966年頃~)ではないかと思われます。

*引用元:ウルトラセブン 第9話「アンドロイド0指令」(円谷プロ)

オメガにも円谷プロにもタイアップ等が行われた記録はなく、制作スタッフが愛用していた時計を撮影に使用したという話が定説となっています。

この後『帰ってきたウルトラマン』(1971)には、クロノグラフ針がオレンジ色の通称「ウルトラマン」と呼ばれるスピードマスターが登場。

*出典元:https://www.ablogtowatch.com

さらに47年の時を経て2018年には、記念モデル「スピードマスター ウルトラマン リミテッド エディション スピーディ チューズデー」が発表され、スピードマスターのヒストリーに 「ウルトラマン」の名が刻まれるという快挙が成し遂げられました。時計&特撮ファンとして誠に嬉しい限りでございます。ちなみに世界限定の2012本はわずか2時間で完売したそうです。

まとめ

前編からあまり変わり映えしなくて誠に申し訳ございませんが、宇宙飛行士、殺し屋、テレビ司会者、ウルトラ警備隊員など、一瞬の判断が生死を分かつ「プロフェッショナル」がスピマス着用者として並ぶ結果となりました。

しかしこれは、ステイタスや個性の演出などではなく「いかに実用的で信頼がおける時計として世の中に認識されているか」の証であると考えられます。

「実質本位」かつ「質実剛健」を旨とされるプロフェッショナルな皆様が時計を選ぶ際には、ぜひともオメガ スピードマスターをご検討ください。宇宙空間でも地底の奥深くでも正確に時間を刻み続け、あなたの仕事を支えてくれることは間違いありません。

ではまた!

Actor's watch